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ファンタジーな世界に転生…みたいな?  作者: プラン9
学園、そして鬼畜外道へ……
2/4

第1話:主人公はドSではなくド外道

「まだ信じられないわ。 私たちに子供が出来るなんて……」


「…そりゃおめでたです」


外の雨音はやまない。

妊婦が乗っているタクシー、いつも通りの何気ない会話。

なんだかんだで、この人とはもう10年の付き合いになる。

勿論、頭の中での話だが……。

ラブレター、届け損ねたな…。


そう昔の事を考えていると、いきなり後ろから強い衝撃が走った。

どうやらトラックが突っ込んできたようだ。

俺はこれで、この人と一緒になれるのなら、それも悪くない…。

彼らの死体は、まるで恋人の様だった。

だが、彼らは恋人ではない。 ただの片思いと、幸せになるはずだった妻。

そして、その死を祝福するとでもいうように、飴は勢いを増した。




「で、どうしてこうなってしまうのかね? ハーデスくぅーん?」

「え、ちょっタナトス君! なんで転生者君いきなり死んでんの!? 生まれる前に物語終わってんの!?」


横で普通に緑茶を啜ってる黒い服を着た青年……タナトスが口を開いた。

重々しい、まるで地獄の底から響いてくるような唸り声が聞こえる ああ、これケルベロスだ。


そう、タナトスの後ろでケルちゃんが餌を食べてるのだ。

うん、どうでもいいだろう?

ちなみに俺は、ケルちゃんにもたれ掛りながらせんべいを齧っている。 ケルちゃんは人形みたいで気持ちいい。


「いや、元々あの人は死ぬ予定だたんすよ? それに勝手に転生させたあんたが悪いだろ」


「ぺルセポネさん、いつもこんな感じ?」


「まあ、大体は……ケルベロスがここで餌を食べる事とあんたがケルベロスにもたれ掛ってる事以外は…」


つまり、いつもはケルちゃん居ないのね。

こんなに良い子なのに。 ああ、いいもふもふだ。


「ケルちゃん、あのおっさんを噛んでくれたら、チョコあげるよ」


「痛い痛い! 痛いからケルちゃん! あ、でも頭皮復活に良いかも…でも痛い!」


ペットに牙をむかれる。 しかも痛がってるのはハデスの方。

おっさんが三つ首の犬とじゃれてる。 シュールな光景だな。


「じゃあ、次こそは…!」


「あ、そうだ。 生前の記憶は……」


「言われんでもわかってるわい。 記憶が無くちゃ、なんかアレだもんな!」


おい、また穴か。 と、思っていたら今度は上からクレーンみたいなので放り投げられた。

くそぅ、Gが凄い。 あ、今口に入ったぞハデス! 俺が死んだら、貴様を呪ってやる!


そう心に決めた俺、in冥界。



とある病院、とある場所。そこで俺は生まれた。

ぺルセポネさんが言うには、母乳シーンと一緒にお風呂に入るとかそういうのでは、俺自身の意識が無くなるらしい。

要らん事しおって、折角美人の妻を…母を持ったのに…。

俺は若干、マニアックなのが好きなのだ。

いや、流石に死体とか機械とかとはちょっと…理解できないな。


さて、今いる此処は病院。隣に寝ているのは女の子らしい。

もっとも、こいつは偶然此処で生んだだけらしい。 なのでどこか行くのだ。

残念、もしかしたら幼馴染になっていたかもしれんのに……。

いや、窓から着替えを覗こうとかそんな事は考えてないからな! 間違えたと装って、風呂に入る事が可能!・・・な、筈。


おや、ナース姿のいい乳の娘さんがこっちへ向かって……。


「はーい、オムツ替えますよー」


ちょ、待っ イ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! !


もうお婿に行けない……。

はい、オムツ替えられました。 若干良かったです。

さて、一気に高校生ぐらいまで飛ばすぜ!

無駄にテンションあげなきゃ、やってらんないぜ!



≪……でさあ、ゼウスの野郎キャバから帰ってきてもうゲロぶちまけてさあ…≫


「耳ん中で愚痴るな、ハデス」


今居る此処は高校。 いきなり飛んだ?ぶっちゃけ学生時代なんてなんもいい事無かったぞ。

こう、ラッキースケベ的な展開は無かったな。 残念だ。

外では学○都市みたいなのがデカく見える。 それはもう、富士山のように…。

で、俺は今ゼウスの愚痴を聞いてやってんだ。 何故か右耳は冥界と繋っているらしい。

幼稚園児の頃、耳の中からハエが出てきたのには驚いた。 意外と不便なんだよな、この右耳…。

勝手に虫出てきたりするから、寝てる時にブーンブーンと…それはもう凄く煩かったです。


そして今は自己紹介とかそんなの。人の名前を覚えるのは苦手なので、もう開き直って覚えない事にした。

開き直りって、凄いね。


「これで全員終わったな。 はい、気を付けー、礼ー。 次の時間は体育だからなー。 各員、魔導書を持ってくるようにー」


「あのさあ、なんで入学式に授業やんの?」


ふと気になったので、長髪でフケだらけの教師…たしか、アルテウス=ディメンションとか言ったっけか?

DQNネームだな、って思った俺は悪くない筈だ。


「あー、簡単に言うとアレだ。 実践で即使えるようにー、OK?」


「OKだ先生。 ではもう一つ聞く。 なんで教室でくわえ煙草?」


そう、この教師は教室で普通にくわえ煙草。 そして安物のサンダルで怠く歩くのが特徴だ。

流石に教室でくわえ煙草はいかんだろ。


「ニコチン中毒者、略してニコ中だからだ」


そう清々しく言ったアルテウス先生は、何故かドヤ顔だった。

ああ、むっちゃムカつく。 もっとも、ムカつくから脳内で殴りまくるだけだがな。


「まあ、とりあえず体育館に集合な。 さぁて、今日もバンバンジャリジャリ希望を掴みに行きますか!」


「先生、パチンコはほどほどに…」



さて、グリーンの体操服を着てやってまいりました体育館。

若干臭いのは、ハデスが昔使ってたやつだかららしい。 それを聞き、ハデスの耳元でデスメタルを最大音量で流してやったのはいい思い出。

いきなり契約をしろとか言われたんだけど……。

まあ、契約しなきゃ魔法が使えないらしいがな。


≪まあ、もう冥界の俺らとほぼ契約したも同然なんだけどね≫


「あっそう。じゃあとりあえず…蠱毒でもするか!」


「「「なんつう物騒なんと契約しようとしてんだおい!」」」


皆からの突っ込み、ありがとう。 それが欲しかった。



彼は大きい魔方陣を描き、不思議な詠唱を唱えだした。

どちらかと言うと、聖なるというより邪悪な、まるで悪魔でも呼び出そうとしているのか…黒い霧が出ている。


「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム…」


≪それ悪魔くんじゃん! それで出てくんの!?≫


「舞え、黒炎よォ! 人類すべての魂を生贄に捧げる!」


≪おい待て、それ絶対ダメフラグd「グオオオオオオオオオオ!!?」 何!?≫


声。 いや、唸り声のした方を彼は向く。

どうやら、オークが出て来たようだ。 醜く、獰猛で不潔な怪物。

近辺には生息していない筈。 だが、彼ら生徒はそんな事を考えている暇は無かった。

とにかく逃げる、誰よりも遠く。 一番安全な職員室へ…。

だが、そこへ立っている一人の男。 彼は不敵に笑った。


「死者の霧、生者の絶望…全てを飲み込み、全てを破壊し、全てを黒く、禍々しい炎で焼き尽くせ……行け、死霊共!」


彼の手から何百、何千、何万もの死霊がオークの体に入り、勢いよく爆発させた。

彼の体に、オークの肉片がかかる。 そして彼は、勢いよく笑った。 まるでこれが遊びかのように。


《冥王との契約者、面白い男だね。 ねっ、ルル♪》


「そうだね、アルテミス」


そう、面白くなりそうね。 ちょっと悪色が強すぎて、友達にはなれそうにないけど…。



「うし、肉ゲット!」


「いや喰うの!?」


何を言っている、豚を食べずにどうするか。

つか顔にかかった血潮どうしよう。 若干臭い。

あ、あと魔方陣からケルちゃん出てきたんだけど、どうしよう…。

いや、好きなのよ。 好きだけどさあ、なんか、餌代が…。


「まあ、とりあえず血抜きだろ。 うーし、グッチャグッチャにするぞヒャハハ!」


腕から腐敗臭のする、眼がある刀が生えた。

まるで生きてるかのように、ドクン、ドクンと脈打つ心臓の音を、此処に居る全員が聞いていた。


「まずは四股切断だ、テメェ等しっかりと見とけや!」


《おい、こっち食事中なのに何をするつもりだ!?》


「そりゃ持ち運びやすいように…まあ、少しは我慢しろよ!」


脈打つ心臓を持つ刀を、勢いよく振り下ろした。

そして、オークの死体に深々と刺さり、オークを腐敗させた。


「あ、ミスった。 後処理、頼んだZE☆」


「ちょ、君、待っ」


彼は眼鏡を掛けた、少しぽっちゃりした少年に後始末を押し付けた。

走るその姿は、まるで借金取りから逃げる中年男性を連想s「すなッ!」すいません。


そして、彼の命を狙おうとする少女が、この学園へ居る事などまだ、彼は知る由も無かった。

つうか知ってたら怖い。 なにそのエスパー怖い。

まさかのまだ名前が出ていない。 たぶん、こんな小説他にないんじゃないでしょうか。


まあ、それはどうでもいいのですが…。


さて、コレを書いていてふと気になったことなのですが、オークってどんな味するんだろう。

やっぱ臭いのかな? いや、もしかしたら意外とイケたり…。


さて、次回はヒロイン的キャラが出るかもしれません。

もしかしたら、出ないかもしれません。


ちなみにツッコミしてる人は、ただのモブです。

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