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南国の魔法  作者: ありま氷炎
はじまり
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はじまり

 なんで僕がこんな目に……

 山元ケンジは自分よりも重いのではないかと思われる

 大きな荷物を抱えて、森の中を歩いていた。

 森の中なんて歩くことなんて一生ないと思ってたのに……

「ちょっと、山元くん。遅いわよ!」

 橘ユリが後方を休み休み歩くけんじに痺れを切らして、怒鳴り声をあげる。

 ああ、会社で見たときはなんて、きれいな子だと思ったのに。

 ケンジはかわいい顔を台無しにして怒るユリの顔を見て、そう思った。

「山元くん、私が持ってあげようか。多分、私のほうが力があると思うけど」

 ユリに後ろから、美青年……、美青年になってしまった上司の上杉カナエが、顔を覗かせる。

 そうだよな。

 今は男だもん

 ケンジはそう思って口を開く。

「上杉主任、すみません。持っていただいても……」

「だめよ!」

 しかしユリが鬼のような形相でケンジを睨みつける。

「上杉さんはあんたの上司でしょ。しかも元は女性なんだから。しっかり持ちなさいよね。男でしょ」

 ユリに睨まれてケンジはため息をついた。そしてカナエに渡そうとしていた荷物を持ち直す。

 なんてことだ……

 そうあれは数時間前の出来事だった。

 僕の、僕たちの運命を狂わせた社員旅行でのあの噴水……

「それではみなさん。今からこの国で一番有名な光の噴水に行きます。これは世界で一番大きい噴水でして……」

 ミニバスのガイドさんがこれから行く場所を説明するの聞き流しながらケンジは手元のゲームに集中していた。

 ケンジの斜めにはあこがれの橘ユリが座っている。

 そしてそのユリの隣には上司のカナエがおり、ユリの話をすこし顔を引きつらせながら聞いているのが見えた。

 橘ユリってレズなのか??

 入社してから数カ月、ユリは気がつけば上司のカナエのところにいた。

「山元くん、それはなんのゲーム?」

 人がよさそうな笑みを浮かべて聞いてきたのは係長の武田タカオ。わずか28歳というのに、もう係長に出世した会社一の出世頭で、カナエとは同期だとケンジは先輩から聞かされていた。

「これはエヴィンゲリオンです。使徒と言われる敵をやっつけるゲームですよ」

 ケンジが武田係長に説明すると、タカオはちょっと困ったように笑った。

「あ、あの有名なアニメかあ。楽しそうだね」

 そしてタカオはそう言って後、自分の席にいそいそと戻っていった。

 バスの中にはツアーガイド、運転手を含めると6人だけだった。その理由はこの噴水ツアーを希望したのがケンジ達4人だけだったからだ。

 まあ、世界一大きい噴水だから見る価値はあるよな。

 しかも願い事叶えるらしいし。

 ケンジその時、そんな風に気楽に考えて、バスの中でゲームを楽しんでいた。

 まさか数時間後にあんな目に会うとは予想すらしてなかった……

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