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第4話 目撃者 パイロット養成高校2年 北向ミラ

 □


 2069年3月2日、土曜日。

 パイロット養成高校一年生の北向きたさきミラは、映画を見るために民間居住区地下アーケード街へ来ている。

 移動手段がバスしかないため、入場可能時間よりも30分以上早く着いていた。


 彼女はいつものように暇つぶしで地下アーケード街を歩いていると、映画館から少し離れたゲームセンターで大量の人が熱狂している様子が見えた。

 入って何をしているのかと見てみると、ローナ11の簡易シミュレーターを使ったイベントが行われているようだ。

 壁面液晶には黄土色のカサドールがキニケッソ99の金属外装を切り裂いて、異常な軌道で離れていく。

 沈黙したキニケッソ99は爆発を起こして、周囲の仲間にダメージを与えた。


「どうしてカサドール?」

「ん? 今さっき来たのか嬢ちゃんは?」

「はい」


 北向の言葉に反応したのは、熱狂している人たちとは少しタイプが違い、がっしりとした体形のまるで軍人のような人だった。

 いや、彼女は自分の父親やその友人を知っているため、軍人だと決めつける。


「俺も偶然通りかかったんだけど、同じこと呟いてよ」

「そうですか。ライドウ5式でいいと思うんですが」

「だよな。まあ、優秀なパイロットは機体を選ばないんだろうけど、練習機ってのはいただけねぇよな」

「はい。理由があるかもしれませんが、自らハンデを背負う理由の想像がつきません」


 北向はそう言いながら、戦闘の様子をジッと見ていた。

 壁面液晶の端には『80/200』その隣には『残り4分』と表示されている。

 攻撃されれば70ミリハンドガンで動きを邪魔し、六半刀で切り裂く。

 キニケッソ99の数が増えれば、歩行や走行ではなくスラスター移動で距離を取って倒している。

 無傷というのなら遠距離武器を積むのが普通であるはずなのに、近接戦を仕掛ける武器しかないのは北向からすると理解が及ばないようだ。


「あんなのでも、無傷で倒せそうだな」

「そうですね」

「お。じゃあな嬢ちゃん」


 話をしていた男はスマホを確認してから、すぐにゲームセンターを出て行った。

 北向もスマホを確認すると、後5分で入場時間だ。

 ……残り10体なのに時間がない!

 パイロットの顔が分からないのは残念でならないが、北向は壁面液晶の写真を撮って、映画館へ急いだ。

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