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被験者X/兄
「振られちゃったよ、兄さん」
Kはつぶやいた
「そうか、ところで君は誰だい?」
「やだなぁ兄さん、僕はK、君の愛していた妹だよ、また忘れちゃった?」
「すまない」
困惑しながら椅子に座るXは謝る
「定期的に記憶が消えるってのは不便だね、また学校に顔を出そうよ、」
いつからかXは学校に来なくなった
彼は怖くなったからだ
人と関わり忘れることを
罪悪感で体が萎みそうで
彼は空を見上げる
星の名前も覚えてない
空虚な空を
次は覚えてられるかな
そう自分に言い聞かせ、
健忘症系兄貴