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4・この世界の真実は?

 興奮からか、デイビスの目が爛々と輝いている。そしてフッと笑いながら全く予想出来ないことを言うデイビスが!


 「ここはゲームの世界…ってやつ?そうだよね?私が攻略対象者で、その婚約者のロビンはさしずめ悪役令息ってトコか。それでアンジーがヒロインの立ち位置?あっ、BLだとそれ何て言うのかなぁ…ヒーローじゃないだろうし」


 (な、なんだって!?ゲームの世界…知ってるの?どうしてこの世界の住人のデイビスがそれを!)


 僕は驚きで震えた。まさか、デイビスも転生者…なのか!?だけどそれだと納得出来る。BLゲームの筈なのに、イマイチそうなりきれていないこの世界…何よりヒロインポジのアンジーが、誰も攻略していないようなぁ…

 おまけに対象者筆頭である筈のデイビスは、何故か僕にご執心。何でだ?って思ってたけど…


 「驚いたかな?僕はね、あの時君に助けて貰った白い犬です!と言ってもその又前世は人間だよ?ブラック企業の社畜でね、働き過ぎて呆気なく死んじゃって。死ぬ間際に今度は犬に生まれ変わって寝て暮らしたい!って思ったんだよ。それで気付いたら犬に転生してて」


 何だか情報があり過ぎて、全然理解が追い付かない。それに順序立てて思い出そうとして…


 (何だって?犬…そんな馬鹿な!おまけに僕が助けたんたって?確かに僕が死ぬキッカケになった犬は、真っ白い犬だったけど…)


 「だけど傑作だったのは、犬でも寝て暮らせたりしなかったんだよね~。賢すぎて警察犬にさせられそうになっちゃって。それで脱走したら路頭に迷っちゃってさ…何とかエサにありつけそうになった時、それを横取りしてきた猫を追いかけてたら車に()ねられそうになっちゃって。それを助けようとしてロビンも死んじゃったんだもんね?」


 (嘘!?それじゃあ、犬だったデイビスと同時に転生しちゃったってコト?それって偶然が過ぎない?あっ、そういえば猫も居た!犬をかばった時、側にいた猫に危ないからどきな!って僕言ってたな。そしてあの猫はきっと助かったんだろうな。だけど待てよ…死に際に何してるんだ?僕って…)


 続々の衝撃の事実におっかなびっくりで…じゃあ恩返し的なアレ?それしか考えられないんだけど。その時の恩があるから、婚約解消出来ないってこと?


 「違うよ!今、恩返しか?って思ったでしょ。そうじゃなくて、助けてくれたロビンに一目惚れだよね~。そして同時に死んだ時、今度はこの人と同じ世界で、尚且つ他人には絶対に影響されないような絶対的権力者に生まれ変わりますように!って願ったんだ。だからさ、十歳のあの時ロビンに会えて天にも昇る気持ちだったよ!直ぐに君だって分かった」


 絶対的権力者?だから王子なんか…おまけに既にこの国を陰で支えているのはデイビスだというのは、誰もが知っている事実。そうなるとこの後きっと…この世界の覇王になるのは決まりかっ!

 そして僕は呆然としていた…僕とデイビスが同時に転生してて、婚約者として再び出会って…んでもって僕に一目惚れ?そんなアホなっ。そして僕は、肝心なことをデイビスに聞いてみる。これだけは聞かなければと…


 「じゃあさ、全然アンジーのこと何とも思ってない訳?あれだけ可愛いアンジーを前にしても、ちょっとも心動かされない?それでも僕がいいって言うの…」


 恐る恐るそう聞く僕にデイビスは、呆れたように笑う。シニカルな笑いを貼り付けながら、さも当たり前かのように…


 「当たり前でしょ!君に前世から一筋なのに、何でアンジーなんかを?冗談はよしてくれ!」 

 

 僕は下出しっぱなしなのも忘れて、あの時のことを思い返していた。そう言えば十歳のあの時、いやにデイビスが嬉しそうだったんだよね…初対面なのに物凄いキラキラの笑顔を浮かべて。なるほどね…でも待てよ?それじゃぁ…


 「じゃあ、僕ら両想いじゃん!デイビスをアンジーには譲らなくていいんだよね?今の話を総評するとそういうことになるよね…良かった!」


 僕は思わず声に出していた。それを聞いてデイビスの瞳は再び爛々(ランラン)と輝いて…


 「ロビ~ン!嬉しいっ私も愛してるー!一緒に幸せになろ?」


 それにはギョッとする僕。やべぇ…寝てる子起こした気分!


 (しまった!この状態での告白はマズかった?だけどさ、それが本心でもあるんだよねぇ。僕だってずっと好きだったから…それは間違いないんだ)


 満面の笑顔のデイビスは、もう遠慮など一切しない!両想いと言う名の免罪符を得て僕にのしかかって来る。それに抗える筈もない僕…


 「あ…んんっ…ハン、あっ」


 僕をすっかりと裸にさせ、身体を弄り始める。

 自分の所有印を押すようにあらゆるところに跡を付けてきて…わぁお!


 (あうっ、どうしよう…気持ちいい!ヤバい~)


 それからチラッと見えたものに僕は凍り付く!嘘だよね?と。あれ…デイビスのそれはぁ~


 (何それ!凶器?異世界のサイズ感スゲェ…)


 それからこんな場ではこれが限界だろうと、いつの間にかお互いの両の手で…この先は自粛!それからお互いの身体を抱き締め合って幸せの中で微睡(まどろ)んだ…


 (ただただ、気持ち良かった!癖になりそう…)


 それからデイビスは満足したように、眩しい笑顔を向けてくる。幸せそうで何より!だからまあ、いいか…


 それから僕達は身なりをサッと整え、素知らぬ顔で再度パーティーに合流する。それから微笑み合って、今までの遠慮が嘘みたいに親密になって楽しく過ごす。


 (だけど何だったんだろ?この世界って。僕が知ってるBLゲームじゃなかったのだとしたら…犬の恩返し的な?ジ〇リの世界かよ…)


 「来年私は正式に王太子になるとこが決まっているし、そうしたら結婚しようねー!王太子妃にロビンを迎えて、そしてあっという間に王と王妃になってさ、一緒にこの世界の全てを牛耳ろう!楽しみだねぇフフッ」


 そうデイビスが満面の笑顔で言ってくるけど…


 (おいおい!怖えぇよ。それはお手柔らかに頼む~)


 「うん…まあ、程々にしとこう。ほら!領地が増え過ぎると大変だしね。このままでもデイビスに何か言える人って居ないんじゃないかなぁ?二人の時間が少なくなると僕淋しいし!それに子供でも出来たら、子育てにも追われるよ?サッカーチーム作らなきゃだし…ねっ?」


 そんな訳の分からない意見にもデイビスは「可愛いっ!」と言いながら僕をぎゅうぎゅうに抱き締めてくる。愛されるって痛いのね?そう思うけど、まあ幸せならいっか!だけどそんな僕らを…


 そんな二人をじっと見つめる人物が!少し離れたことろから、一時も目を離してはいない。柱の陰から二人をじっと見つめるその人物…アンジー・ホワイトだ!その手には先程ロビンから手渡されたハンカチが握られている。そしてそのハンカチを広げると、ワンちゃんのワンポイントが刺繍されていて…


 「ったく、可愛いねぇ…ロビン!さっき君が可愛い過ぎて涙が出ちゃったよ?それにもっと僕をイジメていいんだよ?誰にも渡したくない!このハンカチは、猫のワンポイントに刺繍し直して返してやろーっと!」


 いつもの可愛さは影を潜めて、そう言って仲睦まじい二人を冷ややかに見つめているアンジー。それから…


 「僕はあの時、助けていただいた猫です。君に一目惚れしました!ロビンは渡さないニャ~」


     ──The end.



読んでいただいて、ありがとうございました!

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