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ある会社員のサスペンス復讐劇

たかなりょうたは都内に勤める会社員だ。今日は朝から資料作成がある。ある程度前段階は終わらせているが、またいつ社長から呼び出しが入るか分からない。昨日も仕事疲れで今すぐにでも寝たい気持ちだったが、震える頭をたたき起こしてデスクワークに向かった。今日はそのせいもあって寝不足だ。ここ最近、十分な睡眠が思うようにとれていないのである。休みたい気持ちを抑えて、会社のエントランスへと入る。入り口には係員がいて、監視していて、会社専用のパスキーを通すと中へと入れるようになっている。いつもより早くついてしまった。りょうたは溜息をついた。いつもはコーヒーをのみながら作業場へと向かうのがルーティンになっているが、今日はそんなホットタイムもなしに作業を進める。日に日にストレスがたまってきたので、今週は少し遠出でもしたい。そんあ考えは目の前から直ちに消えデスクワークというゆがんだ現実がりょうたの脳漿を揺らす。今日は朝の7時からこのまま夜まで残業コースだ。ああ、こんな平日ならいっそゾンビや宇宙人でも現れて、この会社ごとまるまる消えてしまえばいいのに。そんな考えとは裏腹に社長のバタンというドアの音が現実味を帯びて迫ってくる。逃れようのない現実。社長は普段は比較的おだらかな性格だが、ひとたび仕事となると豹変し、りょうたたちはいつも苦しめられている。いつかストライキがおきてもおかしくないぞ。なぜこのような毎日を過ごさなければならないのか。りょうたは自問自答をしながら今日を終えた。家に帰るなりさっそくビールをいっぱいきめた。体中にしみついた不快感と疲労感があっという間に体の外へと押し流される。なんともたまんない感覚に今すぐにでもベットに横になりそうだ。日頃会社でたまった鬱憤はビールで晴らすのが日常となっている。つづいてお風呂を開けるなりいきなりダイブ。ばっしゃーんという音を立てながら風呂いっぱいにたまったお湯があっという間に風呂の外へと逃げる。ひどく冷え切った足から頭までからだの隅々をあったかい心地が通り過ぎる。時刻はすでに12時をまわっていた。息抜きもつかの間、そのまま睡魔に促されるままに寝床についた。朝の不快なアラートが現実を告げる。ああ、つい溜息がもれてしまう。今日も重い足取りで洗面台に向かうと、ぱっとしない視界で歯を磨く。それからテーブルに前日にあらかじめ用意していたパンをひとかじり。パンの生地の香りが口内にふわっとひろがる。贅沢な朝」の目覚めを感じながら牛乳をそっとコップにそそぐ。なんということのない朝。会社という地獄さえなければ。そんな思いをふりはらい、

制服の準備を始める。ここ一週間の汚れがなかなかとれない。ファブリーズをふたかけした。鏡の前にたつ。準備ok。家をでると今日は空は雨模様だ。天気予報では晴れとなっていたが、最近の天気予報もあてにならないものだ。そんあどうでもいいことを考えているとあっという間にオフィスについた。いつもと代わり映えすることない雑風景。りょうたもそんな光景の一角に身を潜める。今日は他者からお偉いさんが内見にくるので、それまでに話し合いを終わらせなければならない。そして憂鬱な気分で過ごした一日はあっという間に終わりをつげる。いつも内見にくる社長は、不機嫌の時が多いが、今日は心なしか穏やかだった。さあテレビでもみるか。そんな軽い気持ちで視聴を始めたりょうた。しかしそんな気持ちは5秒後一変することになる。いつもと代わり映えしないただのニュース。しかしアナウンサーの冷たい声とともに衝撃の内容が告げられる。なんとりょうたの務める会社で立てこもり事件がおきたというニュースだった。それはあまりにも衝撃的で全く現実味を帯びなかったが、何度瞬きをしても同じ内容が繰り返されているだけだった。それは現実へと変わった。とんでもないことが起きてしまった。これで会社に行かなくても良いという安堵感とともに不安がりょうたを駆り立てる。社内で最近密かに交際している、まどかしずかのことだ。彼女とは最近一緒の弁当を食べるようになってからよくプライベートでも約束するようになっていた。今月だって彼女との予定があるのだ。彼女を一刻もはやく救出しなければ。りょうたは近くに転がっていたスーツを雑にはおるとハヤブサのごとく家を飛びだした。会社へむかう道中も彼女のことでいっぱいでった。彼女は無事なのだろうか。俺は会社にむかったところで何ができるのか。しかし、今のりょうたにはそんなことどうでも良かった。現場に到着するとすでに警察車両が何台も会社の入り口を覆うように連なっていた。まずは警察の人に話を聞いて状況を把握するのが最優先だ。銭湯にいた中年太りの男に話かけようとした。その途端、どかーん。おおきな者音とともに中から火のようなものがみえた。これはただごとではないと悟った。もう後戻りはできないかもしれない。それでも。りょうたは力と勇気を振り絞ってかけだした。すぐさま中年太りの男に抑えられるが振り切り、そのままビルへと向かった。中は荒らされていていつもはエントランスにいる係員の姿が見当たらない。どこへ消えたのだろう。きっと犯人に人質にとられてるに違いない。エレベーのボタンを押そうとしたがすぐに諦めた。現在、ビルで火事が発生しているためエレベーターは使えないにちがいなかった。脇道にある階段を無我夢中であがる。幸いまだ火の手は迫ってきていない。そして目的地の4階へとたどり着いた。入り口は社員用のいすが何重にも重ねられていた。バリケードをはっている。しかし、ここで迂闊に行動してしまうと、犯人にこちらの動きを気づかれてしまい、人質の命が危ない。しかし火の手が回る前に人質を解放することが最優先であるkとには変わりなかった。1,2,3,。りょうたは己の体に任せて体当たりした。激しい衝撃が方に走る。そして、ふと前に目線を向けるとそこには仰向けに倒れている人質の姿と犯人の姿があった。犯人はりょうたを視界に捕らえるなり、慌てた様子でえ人質のそばへとすりよった。しまった。人質はひどくおびえた様子でこちらを見つめている。もうあとはない。りょうたは勢い有り余るままにそのまま人質のもとはと駆け寄った。犯人は体勢を整えたかと思うと右ポケットからなにやら怪しく黒光する物体をとりだした。すぐさまりょうたの頭の警報アラートが警告を告げる。まずい。そうおもったがもうすでに遅かった。人質の頭には今にでも打ちそうな勢いで拳銃が構えられていた。

後悔先にたたず。りょうたは犯人が弾丸を転送する隙を見逃さなかった。そのまま犯人の顎におもいっきりラリアットをかました。犯人は少しよろけた様子を見せるとそのまま後ろのソファーに倒れ込んだ。犯人をおさえつけすぐさま人質に解放の合図を促した。みんな一斉に社外へと流れる。しかしひとりの女性は最後までのこっている。こちらに視線を向けているその女性はまどかしずかだ。しかし彼女の目はまるでは虫類のような目をしており心なしかこちらにひどくおびえている。どうやらその目線は押さえつけている犯人の手元に向かっているようだった。おそるおそる犯人の手元に目をやると底には真っ赤な色に染まったぶつが携わっていた。それはりょうたでもすぐに理解できた。つい数分前の記憶がフラッシュバックする。悪夢が再びりょうたを襲った。それはあまりにも突然の出来事だった。激しい爆音。さっきとは比にならないくらいの爆音がりょうたの耳を襲う。あっという間に漆黒の黒煙がりょうたたちを包み込んだ。もう神に祈るしかなかった。決死の思いで祈った。どうか俺としずかを助けてください。もうどうすることもできなかった。がたがたと積み木のように崩れ落ちていく。犯人は爆破の衝撃で気絶してるようだった。

俺は目の前で唖然とする彼女を抱えてオフィスをでる。もうすでにビル内は黒い煙でみたされている。外までもつかどうか。とにかく時間との勝負だった。なんとしてでも彼女との未来を自分のものにする。そう誓った。しかしそんあ思いもむなしくあと少しのところで体にがtがきた。足から全身の力が一気に抜けていくのが分かる。そして視界が完全に消える寸前、視界の隅であの中年太りの刑事の姿が」みえた。次に目覚めた時はベットの上だった。俺はあの刑事のおかげでなんとか一命を取り留めたようだ。彼女の意識もはっきりしているようで、あと1ヶ月もすれば元の生活に戻れるということだった。ほっと胸をなで下ろす。

りょうたは心の中で小さくガッツポーズをすると、今度こそ彼女に退院したら告白することを誓った。


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