輸出管理厳格化の謎
もう一つ国民世論という項目が必要ですね。
当時、韓国の対日行為は、元徴用工問題大法院判決以外に、「海上自衛隊旭日旗拒否」「レーダー照射事件」「天皇陛下を日王と呼称」と悪質さが増幅していた。
日本国民の韓国に対する怒りも相当なもので、戦後最悪の日韓関係だったと思う。
そんな中、日本政府は元徴用工問題に対して、粛々と日韓請求権協定における紛争解決の手続きに沿って、仲裁委員会の設置のため、委員を指名する第三国を選ぶ手続きに入るよう6月19日に韓国に要請していた。
その回答期限は7月18日であった。
当時の日本国民の世論は7月18日になっても韓国が無視を続けるならば「経済制裁」を発動するだろう、という意見が大多数であった。
もっとも一番多かったのは、関税引き上げ、で次がノービザ渡航の改正だったように思う。
私は多くのネット記事に「フッ化水素を止めろ」と当時から叫んでいた。
韓国が一番困るのは半導体産業にダメージを与えられることだ。
たとえWTO違反となっても、WTOで結果が出るまでには3年はかかる。
フッ化水素を止めればサムスンもSKハイニクスも半年ともたないだろう。
だからWTO違反しても構わないという意見であった。
私は当時から青山繁晴などのブログを読んでいたのでフッ化水素禁輸が韓国に一番効くことを知っていた。
7月18日になれば「フッ化水素輸出規制」が発動されると思っていた。
そんな6月30日に「半導体3素材輸出規制」という記事が産経新聞に載った。
恐らくあの時の私の安倍さんへの支持は80%を越えてたのではないでしょうか。
日本国民はもっとすごかった。
韓国のホワイト国除外について、経済産業省が7月1日から24日までパブリックコメントを募集したが、4万666件の意見が寄せられ、賛成が約95%、反対は約1%だった。
これだけの世論の後押しがあったのに、安倍政権は「輸出規制じゃない」と言ってしまった。
ここが情けない。
前のコメントに、裏事情は書きましたが、実に情けない、報復でした。
覚悟のない、まったく愚かな、「対抗措置」とも言えないような「対抗措置」であった。
産経新聞と日経新聞の6月30日の飛ばし記事には「輸出管理」「対抗措置」という見出しが踊っており、
そのスクープ記事が首相周辺からのリークであることは、ほぼ確実なのに、7月3日の記者会見で、安倍さんは「元徴用工問題は原因の1つだが、対抗措置ではない」と路線変更してしまった。
伝家の宝刀というものは滅多に抜くものではないが、一度抜いたら、簡単に鞘に戻していいものでもない。
安倍さんには伝家の宝刀を抜いたという実感がなかったのだろう。
発動した時期と日本国民の世論、これだけの状況証拠がある以上、この輸出管理厳格化措置がWTOに持ち込まれたら、敗訴することは目に見えていた。
動画でも国民民主党の玉木さんが「またWTOで破れたらどうするんだ」とのコメントしていた。
ちょうどWTOで韓国に水産物規制の判決で4月11日に敗訴したばかりだったが、敗訴がなんだ、サムスンが潰れたら日本の勝ちだ、そして文在寅はその前にかならず折れる、という覚悟がなかったということです。
安倍晋三回顧録で、安倍さんは中国のレアメタル輸出規制を例にあげ、今回の措置はWTO違反には当たらないと述べているが、大きな間違いです。
中国のレアメタル規制の場合は日米欧が共同で中国を訴えていた。
それと今回の日本の輸出管理厳格化を比べること事態が愚かなことだ。
安倍さんにWTO違反をやってでも韓国を黙らせてやる、という覚悟がなかっただけです。
安倍さんにその覚悟さえあれば、たとえ回りがハッタリだと文在寅がわかっていても、万が一という場合を想定して、文在寅はああも強気に出れなかったであろう。
言うなれば「覚悟のない稚拙な報復」であったゆえ、「輸出管理厳格化措置」は失敗したのです。