輸出管理厳格化の謎①
輸出管理厳格化の謎①
安倍政権がやった対韓輸出管理厳格化措置について、韓国や日本のメディアが「徴用工問題の報復」だと論じてるコメントをよく目にする。
しかし、日本の右翼界隈には「報復」というのは見当違いも良いところの言いがかりである・・・という根強い意見がある。
私は下記の世耕弘成経済産業相のツイッターを提示することによって、まずはこの右翼の根強い意見が間違ってる事を解説し、そしてその後に、あの安倍政権がやった輸出管理厳格化措置に、いくつもの謎があることを示したいと思う。
まず、世耕経済産業相の問題のツイートがこれです。
2019 07/03 13:31 世耕弘成
韓国への輸出管理上の措置についてなぜこの時期に?等の疑問がまだ寄せられているし、マスコミもまだ完全に理解できていないようなので、今回の措置に至る経緯を改めて説明します。
経緯①
従来から韓国側の輸出規制(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず十分な意見交換の機会がなくなっていた。
経緯②
また近時、今回輸出許可を求めることにした製品分野で韓国に関連する輸出管理を巡り不適切な事案が発生している。
経緯③
更に今年に入ってこれまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない。
経緯④
輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであり経緯①~③を勘案した結果、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていると判断し、厳格な制度の運用を行い、万全を期すこととした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上である。
「安倍晋三回顧録」という本が2023年1月に出版された。
この本に、こんな記述があるのをご存じだろうか?
>「二つの問題が連結されているかのようにして、韓国が徴用問題を深刻に受け止めるようにした」<
この二つの問題というのは、
①韓国政府の安全保障上の貿易管理体制に不備があるとされる問題
②元徴用工問題
・・・・・・・・・・の事である。
「二つ問題が連結されているかのようにして、韓国が徴用問題を深刻に受け止めるようにした」と語ったのは、安倍晋三、本人である。
2018年10月30日韓国大法院の判決の後、元徴用工問題に対して、文在寅政権は何の解決策も示さなかった。
それに対応する過程で、安倍晋三は半導体3素材輸出管理厳格化措置に踏み切ったと、この回顧録のなかで説明している。
「二つの問題が」・・・前述の①と②の事です。
「連結されているかのようにして」・・・言葉の通りです。
「韓国が徴用問題を」・・・元徴用工問題の事です。
「深刻に受け止めるようにした」・・・使役動詞、make、の意味です。
この意味、わかりますか?
安倍晋三は、韓国が、元徴用工問題を、もっと深刻に受け止めるように、しむけた・・・と言っているのです。
深刻に受け止めるようにとは・・・早い話が恫喝したということです。
わざと恫喝に見えるように演出した、と言っているわけです。
これでも、輸出管理厳格化と元徴用工問題は無関係だ、と言い張る人が多いのは何故なのでしょう、それは、これでは日本はWTO違反確定となってしまうからです。
普通、世間では、このような事実を知ると「輸出管理厳格化措置」は「元徴用工問題」に対する対抗措置の意味もあると解釈するのですが、何故かまだ日本の世論はそうはなっていない。
安倍さん、世耕さん、当時の首相と経産大臣が言ってるんだから、議論の余地はないと思うのだが、日本政府の見解は今でも「元徴用工問題」と「輸出管理厳格化措置」は無関係だということになっている。
世間には、ハッキリ言葉に出して言わなくても、相手が察するように仕向けたら、その行為と結果は無関係じゃないと判断される。
ヤ○ザの言葉にしない脅迫などは、そのわかりやすい例だ。
「お宅のお子さん小学生だって、交通事故には気をつけてね」
「最近、乾燥してるから、火の元には気をつけてね」
どっちも他愛もない日常会話ですが、使う時と場所をわきまえないと、それはその気がなくても脅迫になるものなのです。
そして、今回の輸出管理厳格化措置発動は、相手にそう取られてもしょうがない状況だった。
ゆえに、その発動には十分気を付けてるべきだったのです。
間違っても、日本のマスコミには、「元徴用工問題に対抗するための輸出規制」などと書かせてはいけなかったのです。