一般兵士、敵を切る
5年が経ち15歳になったそろそろ進路を決めないとならないなと考えていると親父が
「なぁジョン、将来は騎士か冒険者をめざしているのか?」
「いや?村の番兵か農作業を引き継ごうかなって考えてもいるけど?」
「そっかぁ、男の子なら騎士とか冒険者には一度は憧れるものなんだがなぁかく言う俺も冒険者には憧れたものだ」
「父さんも冒険者に?」
「もちろん、未知の場所とかにいくのはワクワクしたな、実力が無くてすぐに辞めて村に帰ったけど」
と笑いながら親父はいう、なるほど前世では冒険者なんて無かったから全く興味がなかったしかし親父が言うのだから楽しいものだったのだろう
「どんな所に行ったの?」
「おっ、気になるか?そうだなー何処から話そうかなー」
とニヤニヤしながら考えているようだどうやら相当楽しかったようだ
「そうだ!母さんとの馴れ初めでも…」
がん!と親父が母さんに頭をどつかれるかなり痛そうな音がしたな…と思っていると、
ん?馴れ初め?
「母さんも昔は冒険者だったの?」
「そうよ、この馬鹿を制御するので大変だったのよ?」
「酷いな母さん」
「あんたが何も考えず突撃するからよ、お陰で魔法が全く使えなかったわ」
とため息を吐きながらいう、ほー魔法ねぇ…魔法!?
「母さん魔法があるの!?」
「あぁそういえば教えてなかったねこの村でも使えるの私くらいだしね」
「俺も使えるのかな!?」
「うーんどうかしら練習しだいね、どうしたの?珍しく興奮してるじゃない?」
当たり前だ、前世は魔法も存在しなかった、御伽噺に出るようなものがこの世に存在してるのであれば興奮せざるを得ないだろう!
「私もそんなに使える魔法があるわけじゃないから少しだけしか教えられないわよ?」
「それでもやってみたい!」
そして日課に魔法の練習が追加されたのだが…
「うーんとはいえ魔法を教えるには時間がなさそうねぇ」
な、なんだって!?
がーんだな母さんが撃っていた炎の槍とかかなりカッコよかったになぁ…
とガックシしていると
「でも、身体強化ならすぐ覚えられるはずよ?魔力があるなら誰でも使えるわ」
身体強化!
これがあれば前世の致命傷になるような攻撃にも耐えられるはず!
「母さん!身体強化おしえて!」
「わかった、なんだか昔の父さんを見ているみたいだ
わ」
と母さんが笑う、親父は昔は相当好奇心旺盛だったようだどっかの誰かと似ているなぁ
「取り敢えず魔力を感じる所から始めましょ、集中して心の奥底にあるものを感じ取ったらそれを引き出す感じよ」
「やってみるよ」
結果的に駄目だったいや、厳密には杭みたいなものは感じられたが引き抜けなかった、母さんは「そんなものよすぐにできるとは限らないわ」優しく教えてくれた、聞けば母さんも魔力を感じるのに数ヶ月かかったらしい、感じ取れたらまた母さんに教授願おうかな…
それから数日後
「父さんこれ本物の剣じゃん冒険者にでも復帰するの?」
「いや、違うこれはお前のだ」
「なんで?」
「近頃魔物が多く現れるようになったんだ、森に山菜を取りに行くとき自衛のためにと思ってな、あともうすぐ誕生日だからそれのついでだ」
誕生日で剣を貰うとか家くらいだろうな、と思いつつありがたく貰うことにした、そろそろこの世界の魔物も一度見ておきたいと思ってていたしな
次の日カイトと一緒に森に入った、どうやらカイトも昨日親に剣を貰ったらしく「早速、試してみようぜ!」とやる気満々だった
薬草や樹の実をかごに入れつつ森に分け入っていく、こうすればもし返り血を浴びたとしても偶然の接敵として扱えるからな
「カイトも拾っとけよ?後で面倒になるかもしれないからな」
「もちろん、親父に叱られたくないからな」
「あと、深くまでは入らないからな」
「わかってるってジョンが無理って言ったら俺も速攻逃げるからさ!」
うーん、どうも俺のことを剣の師匠だと考えていないか?
確かに剣の振り方や型を教えたけど模擬戦だと…うん!
自分が防御の練習のためにカイトが降参するまで受け続けてたな!
反撃なんてして無かった、まぁ今は反撃する隙もほぼ無いんだけども、もうすぐで追い抜かれる、若者は凄いなぁと考えながら歩いていているとガサガサっと音がした
「カイト」
「なにかいるな」
音がした方向をじっと見つめる、すると…
「バウッ」
「うわっ」
「落ち着け」
狼が2匹現れてこちらに向かってくる
カイトが少しだけ怯んだため声をかける
「よく見て躱したところで切れば大丈夫だ安心しろ」
「お、おう、やってみる」
「グルゥゥウワァ!」
二匹同時に飛びかかる俺とカイトは同時に躱し俺は首をカイトは胴を切り裂いた
「まだ油断するなよ」
「もちろんさ」
胴をきられた狼はもう一度立ち上がるが再度グラリと倒れるどうやら致命傷だったようだ
「やったなジョン!」
「あぁ、うまく行ったな!」
ところでこいつどうしたらいいのやら持って帰るか?
と考えていると
「ジョン、こいつ多分魔物だし毛皮売れるから持って帰ろうぜ!」
「なるほど、小遣い稼ぎに丁度いいな」
と二人でニヤリとする
「じゃあ持って帰るとするか」
「だな」
持って帰ったところ俺たちは村長と親父にげんこつを食らった「あくまで護身用だぞ?」とまさか切り倒すとまでは思ってはいなかったらしい
「とはいえ良くやったこの毛皮で防具を作ってもらおうな」
と親父たちはニヤリと笑っていた、なんだかんだ親父たちも楽しんでいるようだった