一般兵士、転生する
ブンッ、ブンッ、ブンッ
俺は今素振りをしている、死んだはずの俺はどうやら別の世界の子供として生まれ変わったようだった、
それを思い出したのは3歳の頃だったふとコケた拍子に想い出した、
泣くと思っていたこの世界の両親は泣かず淡々と土を払う様子に強い子だと誇らしげにしていたが、
実際割と痛かった、今にも泣き出しそうだったが精神年齢としては大人の自分は泣くなと我慢していた、
いい大人が泣くとか恥ずかしいし
どうやら子煩悩な両親は逞しい子に育つぞと期待の目をしていた、
たった3年といえここまで愛情を注がれてはこちらも期待に応えねばならぬというもの、その日から木の棒を剣に見立て前世行っていたトレーニングを開始した、
体力をつけるため村を走り回り、筋力をつけるため腕立てや腹筋をした、
そして兵士の重要な部分、剣の練習だ奥義だとか秘技とか何もない只ひたすらに型通りに振り続けたどうやらこの世界でも自分の『底無し』は健在らしく何周も周り日が落ちるまで剣を振り続けられた、
筋トレは親に止められた、やり過ぎは身長に良くないらしくなるほどと思い食べ過ぎで太らないように体型を維持するために留めたそれでもやり過ぎらしく週に数日休むように咎められた、
期待応えたいと言ったら両親に抱き締められた、なんていい子なんだと言われ、あぁいい親のもとに生まれて良かったなと改めて思った。
それから7年が過ぎ10歳になった走り回るのをやめ父親の農作業を手伝いながら素振りを続ける日々、今日の農作業を終え素振りをしながら剣筋も少しはマシになったかなと誕生日プレゼントで貰った木剣を振りながら考えていると
「おーいジョン!探検に行こうぜ!」
「おい、またかよカイト、親父さんに叱られるぞ?」
「いーんだよ、それよりさ東の森に…」
「駄目だ」
「えー」
「魔物がいたから見に行こうってんだろ?危ないから駄目に決まってんだろ」
「しょうがないなぁなら、模擬戦しようぜ今日こそはジョンに勝ってみせる!」
この世界では俺はジョンと呼ばれている好奇心旺盛な奴はカイト、この村の村長の息子なんだからもう少し落ち着きが欲しいなぁとか、考えてると
「おりゃー!」
「おっと」
隙だらけの自分にカイトが斬りかかりそれをしっかり受け止める
「へっ流石だな」
「いやいやそれ程でも」
なかなか筋がいいカイトは何度も打ち込んでくる、良い対人戦の練習になるなと思いつつそれを捌いていく、そして
「ぜーはー、ぜーはー、また捌ききられたー何時になったらこっちに打ち込んで来るんだ?」
「まだまだカイトは大振りだからな反撃して怪我させかねないしもっと素振りをやり込んでからだな」
といいまた素振りを始める、構え、振る、構え、振る
「ジョン必殺技とかないの?こう、グワーッといくやつとかさ!」
「ないない、あったら俺も見てみたいものだな」
「ちぇ、つまんねぇの」
と言いつつカイトも素振りをはじめるまだまだ荒いがセンスがあるこのまま行けば追い抜かれるかもなと思いつつ素振りを続ける
「なぁ、ジョンは将来どうするんだ?」
「んー村の番兵でもいいし親父の農家をついでもいいかな」
「騎士とかさ、冒険者とかにはならないのか?」
「騎士、ねぇ俺にはそんな大それた物に興味はないかなカイトは将来どうしたいんだ?」
「俺はもちろん冒険者だな!いつか伝説の冒険者と呼ばれるようになりたいんだ!」
と目を輝かせながら言う
「だからさ、ジョンもいつかパーティ組もうぜ!そして一緒に冒険するんだ!」
「大振りするくせが直ったら考えてやるよ」
「見てろよ、絶対に強くなって見せる!」
と言いながらまた大振りで剣を振るカイトを見ながら笑う、これが俺の今の日常だ