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すきだらけ  作者: 35
27/33

第27話 義妹心は複雑である

矢崎紫やざきむらさきは美少女である。


学校では毎日のように告白され、外を歩けばナンパされ、町を歩けば芸能事務所にスカウトされるほどだ。


「むらちゃん、今日は一緒にカラオケ行こうよ~」


「ちょっと、紫ちゃんは今日はうちらをと買い物に行くんだからね」


「えー、じゃあ明日お願いね」


「うん、わかった」


美少女ながら孤高というわけではなく、人当たりも非常に良くて人気者だ。


そんな紫は俺こと矢崎拓郎やざきたくろうの妹である。もとい義妹である。


「いいよあ、拓郎はあんなかわいい妹がいて」


「だろ、かわいいし、人当たりもいいし、男女問わず人気、おまけに頭もいいし、運動もできる。さすが紫だな」


「わあ出たよシスコン。まぁでもあんな子がいたらシスコンにもなるわな。家では2人なんて羨ましい」


「とは言っても妹だぞ。お前らが想像するような楽しい展開じゃないぞ」


「そうはいってもお前と紫ちゃんは血のつながりはないんだろ。甘酸っぱい展開とかはないのか」


「本物でも義理でも妹は妹さ。大切な家族で会って、それ以上でもそれ以下でもない」


「ふーんそんなもんか。実際家での友人関係はどうなんだ」


「……」


「あれ? 聞いちゃまずかったか」


目に入れてもいたくないくらい、可愛くて可愛くて仕方ない妹の紫。

本当によくできた子なのだが、この妹のことで悩んでいることもある。


「紫、おはよう~」


「ふん」

プイっと顔を背けられた。


最近はずっと紫が俺に対してだけ異常に冷たいのである。


昔はとても仲が良かった。、紫は俺に甘えてくれていたし、一緒にお風呂に入ったこともあるし、俺の布団で寝たがって一緒に寝たこともある。


そんな紫が俺に対しては本当に冷たい。


「紫ちゃんおはよう」


「お父さんおはよう」


「紫ちゃんおはよう」


「お母さんおはよう」


「あれー、なんで俺だけなの」


「拓郎、うるさいよ」


「父さんまで冷たい!」


「拓郎君元気出して」


「義理のお母さんが一番優しい、ありがとうございます」


まぁそれはそれとして、俺としては昔みたいに仲のいい兄妹に戻りたいだけなのだが。

ただ挨拶すらまかり通らないのだは問題外なのである。

本当に何か嫌われるようなことをしてしまったのか。


コンビニでも行ってくるか。


「ん? 何してるんだ」


俺が出かけようとすると、紫が玄関にいた。


「コンビニにでも行こうかと思ってるだけ」


「そ、そうか、俺も今から行くんだけど、何買うんだ? もしよかったら俺が買ってきてもいいぞ」


「自分で買うからいい」


「そうか」


「……」


「……いかないのか?」


「いつ出かけようが私の勝手でしょ」


「そうだな」


そして俺が出かけると、後ろをついてくる。別に会話があるわけではない。


このコンビニに限らず、いつも俺が出かけようとすると先回りして一緒に出掛けようとしてくるのだ。


昔はとにかく俺の後ろをついてきてくれた紫の名残を感じる大事な時間だが、いまいち紫の真意がわからないところでもある。嫌われているのかいないのかよくわからない。


妹が偶然を装っているので、俺もそれには合わせている。少なくとも一緒にいるので何かきっかけになることもあるかもしれないし。


ただ今のところ進展がない。本当にただ一緒にいるだけ。


しかしこのまま手をこまねいていては進展がない。やはりここは俺から行動を起こすべきだろう。そうと決まれば紫と仲良くなる大作戦だ。


「拓郎うるさい」

「拓郎君頑張って」


お父さんが冷たい。

お義母さんは優しい。


というか声に出てたのか。


『仲良くなる大作戦』


「紫、お兄ちゃんが甘い甘いショートケーキを買ってきたぞ、一緒に食べよう!」


「……」


「ぐすん、大好きな紫のためにせっかく買ってきたのに……」


「……む」


おっ反応あり。


「イチゴ大好きだもんな食べたいか」


「……うずうず」


うずうずって口に出してるかわいい。


「食べたいならお兄ちゃんと話を」


「ぱくっ、いらない、あとはお兄ちゃんが食べれば」


ショートケーキの一番おいしい部分だけを取られてしまった。

作戦失敗。


その後もいろいろな作戦を練ってみたが大体同じような感じになる。

やはり嫌われているのではないかと思ってしまう。


ただやっぱり一緒に出掛けようとはしてくるのである。

今もなんだかんだ俺の出かける先のコンビニにいるし。


ただ今日はかなりおしゃれをしている。10割増しでかわいい。

400文字原稿で10枚くらい感想を書きたい。


「どう……?」


え? なんか話しかけられた。


「どうって何が?」


「……なんでもない。お兄ちゃんのごみ」


今までで一番理不尽に怒られた! 何が悪かったんだ!


「へい君めっちゃ可愛いね~、暇だったら遊ばない?」


「暇じゃないから遊ばない」


「ちょっとだけでいいからさ。ね、ね」


ちょっと気を抜いていたら、ナンパされていた。しかもしつこいタイプだ。

ここは兄として助けなければ。


「おい、うちの妹に何ちょっかいをかけてるんだ……ああ?」


「ひっ、すみませんすみません」


そんなにすごんだつもりはなかったが、逃げて行ってしまった。俺の妹を思う兄力かな。


「大丈夫だったか」


「う、うん、まあありがとう」


「礼なんかいらないさ、俺は紫の兄だからな、兄が妹をま持つのは当然のことだ」


これはなかなかいいところを見せれたのではないか。これで昔にもどるきっかけに……


「…………」


あれ? なんか不満げな表情だ。


「どうしてお兄ちゃんは私のことをそんなに妹扱いしてくるの」


「え、だって妹だし」


「血なんてつながってないし、本物の家族じゃないでしょ!」


「え……」


その発言の後にすぐに紫は口元を抑えた。


「ご、ごめんなさい。こんなことが言いたいわけじゃないのに……」


そういうと走ってどこかに行ってしまった。・


そのあと、俺は家に戻ったが……、


「なるほど……、俺と家族なのが嫌だったのか……」


自室でめちゃくちゃ落ち込んでいた。それならあの態度も納得である。


本当の家族じゃないか……


「お兄ちゃん、今いい……」


すると俺の部屋に紫が入ってきた。


「どうしたんだ。俺の部屋に紫が入ってくるなんて珍しいじゃないか」


「ごめんなさい、さっきのはさすがに言い過ぎたと思ったから。本当にあんなことを思ってたわけじゃないの」


「別にいつも紫からは厳しい言葉を言われてるから気にしない。慣れてる」


「でもいつもニコニコしてるお兄ちゃんが、さっきはショックな表情をしてたから……」


「それこそ謝る必要はないさ。むしろ俺が謝らないとな」


「え、どうして」


「俺に妹扱いされたくなかったんだろ」


「それはそうだけど……」


「俺さ、母さん、ああ、俺を生んでくれた方の母さんな。母さんが亡くなった時になんでもっと仲良くできなかったのかなって、すごく後悔しててさ。だから父さんが再婚して家族ができたときに、すごく大事にしようって決意したんだ。でもそれが紫に重荷だったんだな。悪かった」


「違うよお兄ちゃん」


「え」


「あのね、私が言いたかったことはそういう意味じゃないの」


「……私ね、お兄ちゃんに……妹じゃなくて、女の子としてみてほしいって意味だったの」


「え。え?」


「私お兄ちゃんのこと好きなの」


「……それは家族として?」


「違う、1人の男の人として好き」


「ええー! 紫が俺のことを!」


あまりの衝撃に大声を出してしまった。


「お兄ちゃん声が大きいって!」


「すまん。あまりに衝撃的だったから」


普段の挙動から見て、とてもそうは思えなかった。


「私ね、お父さん……、血がつながっている方のお父さんね。お父さんが亡くなってから心にぽっかり穴が開いたみたいになっちゃったの」


「お父さんのこと大好きだったんだな」


「うん、でもその穴はお兄ちゃんが埋めてくれた。お父さんがいなくなって引きこもりがちになってた私のとにかく傍にずっといてくれた。それがどれだけうれしかったか……」


あの時の俺はとにかく新しい家族と仲良くなろうと必死だったからな。


「そんなお兄ちゃんが家族としても大事だったけど、同時に1人の異性として意識するのも時間はそうかからなかった。それからお兄ちゃんに意識してもらいたくておしゃれや勉強も頑張ったんだ」


「そんなに頑張らなくても、もともと紫はかわいかったけどな」


「でもお兄ちゃんずっと私を妹扱いしてて、まったく女の子扱いしてくれなかったよね」


「え、それは妹だし」


「誰のために頑張ったと思ってるの。いくらモテたって肝心な人に好かれなかったら何の意味もないじゃない。代わりによって来るのはナンパとかだし」


「も、もしかして高校生になってから俺に冷たくなったのって」


「お察しのとおり。あまりにもお兄ちゃんが私を意識してくれないし、それどころか妹扱いしてくるから……八つ当たりしてた」


なるほど、これは俺が悪い。


「えっとね、妹であることが嫌なわけじゃないの……、でもそれ以上に男の人としてのお兄ちゃんが好きなの……あの時お兄ちゃんが妹だから助けるのが当たり前って言われて気持ちが落ち着かなくたってきて怒っちゃった。ごめんなさい」


「いいよ気にしてない。本当に悪かった。俺はシスコン失格だ」


「そんなお兄ちゃんが謝らないで……シスコン失格で意味が分からない、お兄ちゃんはそれに十分シスコンだよ」


「いや、俺はシスコンの風上にも置けない……」


「お兄ちゃんシスコンなことに誇りを持ってたんだね。確かにお兄ちゃんのシスコン振りは有名だけど」


「いや気づける要素はあった。いつも偶然を装って一緒に出掛けようとするし」


「あ、あれは偶然だもん」


そこは抵抗するのがかわいい。


「今更隠すことじゃないだろ、あれはアピールだろ」


「……あれはただ一緒にいたくて……」


「なんで偶然を装ったんだよ」


「だって、高校生にもなってお兄ちゃんと一緒にいたいなんて恥ずかしいし……それに鈍感なお兄ちゃん

なら気づかないと思ってたのに、それは気づいてたの?」


あまりにもバレバレだったから、何か意図があるんだと思ってたが、本当にばれてないつもりだったらしい。


「まぁ、そういうこともある……」


「お兄ちゃんフォローへたくそ!」


「まぁ何だ……、とにかく妹として大事に見てきた紫をいきなり女性としてみるのは難しい。でも紫の気持ちを知った以上は大事にしたい。だから努力をするよ」


「お兄ちゃん……」


「きちんと紫を女性としてみて、妹扱いは気を付けるようにする。これでいいか」


「うん……、じゃあ早速抱き着いてもいいかな」


「ああ、兄として妹を全力で抱擁するぞ」


「はいお兄ちゃんアウト! 妹扱いは禁止!」


「あ」


俺にはなかなか難しいようであるが。


「うーん、妹を妹扱いできないのは大変だな」


「お兄ちゃんはシスコンだからね」


「なぁ、週1回でいいからシスコンデーにして、1日妹扱いできる日作らないか?」


「だめだよ。妹扱いされる身にもなって!」


「じゃあ俺をお兄ちゃん扱いしてもいいから」


「それ等価交換になってないから!」


まぁここから本当に少しづつ全身していくことになるのだが。





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