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すきだらけ  作者: 35
14/33

第14話 お嬢様達は男の人が苦手?

俺の名前は三瀬宗次みせそうじ

とある学校の清掃員として雇われている。


仕事に困っていたところ、

この学校の理事長と俺の祖父が友人ということで、雇ってもらったのである。


清掃員ではあるが、この学校が少し特別なので給料も悪くない。


「ちょっとそこの清掃員さん! まだ埃が残っていますわよ!」


俺に声をかけてきたのがは櫻井真心さくらいまごころ

世界も名前がとどろく櫻井財閥の娘である。


しかしその地位におごることはなく生徒会長であり、成績トップであり、人望もあって慕われていて、先生も迂闊には文句が言えないらしい。

長いサラサラの黒髪、美人な表情、優雅な立ち居振る舞い、まさにお嬢様である。


そうこの学校はいわゆるお嬢様学校なのである。


そしてお嬢様学校の定めなのか男性への体制が少ないこともあって、俺は若干避けられている。


授業に差支えがあってはいけないので、直接的に勉強を教える教師は女性なのだが、俺を含めて学校の事務員の一部には男性がいる。これは男性とのコミュニケーションが全くできなくなることを避けるための方針であるらしい。


それでもわざわざ清掃員に声をかけてくる女子生徒は少ない。この櫻井さんはその数少ない人である。


「ふっ。こんな単純で簡単な作業もまともにこなせないなんて、まったく困った人ね」


「櫻井さんありがとうございます!」


「え?」


「俺近眼なので、こういう細かい埃は見逃してしまうことがあるんですよね。丁寧に教えていただきありがとうございます」


「そういう意味で言ってるわけではございませんわ! はっきり言いますわ。あなたのようなお方はこの学校にはふさわしくないですわ!」


「分かりました! つまり学校中をきちんと掃除して埃を1つ残らず掃除しろってことですね」


「あなた人の話を聞いてないでしょう!」

そういって俺の前から去っていった。


櫻井さんは非常にいい子である。俺の挙動に対して常に目を見張っていて、何かあれば教えてくれるのだ。


櫻井さんの手間を減らすためにもきちんと掃除をしなくては。


そしてとにかく気を使って掃除をして、あとはモップで拭くところまで来た。


さてモップは持ってきたから。


「ああ。足が滑りましたわ~」


バッシャーン!


その声が階段の上から聞こえたと思うと。俺にバケツと水が降ってきた。


「す、すいません。足がもつれて……」


「水が滴るいい男でやつですっすね」


「これで少しは小奇麗になったのでありませんか?」


櫻井さんと一緒にいるのは櫻井さんと一緒に生徒会にいる2人だ。


1人は副会長の五十嵐財閥の娘の五十嵐いがらしメアリーさん、金髪碧眼のハーフな美少女だ。

ハーフらしく身長が大きいがちょっとおっとりしていて世間知らずなところがある。

今バケツをこぼしたのも五十嵐さんだ。だがいい子である。


もう1人は生徒会書記の神宮西財閥の神宮西空じんぐうにしそらさんである。


小柄な体格ながらパワフルで元気な女の子である。

口癖が『っす』でいつも飴を舐めている。

櫻井さんや五十嵐さんと比べると第一印象でお嬢様というタイプではないが、いい子である。


「いやぁ助かるよ。ちょうど水が掃除に必要だったからね。相変わらず櫻井さん達は気が利くね」


「何を言ってるんですの? あいたっ」


零れた水に櫻井さんが足を滑らせて転んでしまった。


「あ、櫻井さん大丈夫?」


「だ、大丈夫ですわ……痛っ!」


どうやら足をくじいてしまったようだ。ここはお礼に助けてあげないと。


「立てないみたいだね。じゃあ俺が保健室まで運んであげます」


俺は櫻井さんを抱える。いわゆるお姫様抱っこ状態だ。


「お、下ろしてくださいませ!」


「大丈夫大丈夫、こう見えても俺学生時代は鍛えてから!」


「論点はそこじゃありませんわ! こんなはしたない姿をほかの方に見られるわけにはいかないんですわ~」


「遠慮しなくていいよ。じゃあ急げばいいね」


「遠慮でもありませんし、急げばいいというわけでもありませんわ~」


そして俺は櫻井さんを抱えて無事保健室に到着した。


「保健の先生は……いないみたいだね」


「お願いします……本当に下ろしてくださいませ」


俺はそっと櫻井さんをベッドに下ろす。


「大丈夫ですか」


「別にこれくらい大丈夫ですわ……」


「しかし顔が少し赤いみたいです。水にぬれて熱でも出したんじゃありませんか。失礼します」


「え? はにゃぁ?」


俺は櫻井さんのおでこに手を当てる。


「熱はなさそうですね」


「ななななな、なにをされてますの? 近いですわよ!」


「ああ、すいません、妹がいるのでつい」


「つい、で乙女の肌に気安く触れていいものではありませんわ」


櫻井さんはどうやら元気のようだ。一安心である。


「清掃員の人! 真心さまにそんなに近づくのは失礼ですよ!」

「真心様が困ってますから出て行ってください!」


その後保健室に入ってきた五十嵐さんと神宮西さんに頼んで俺は保健室を離れた。


さて仕事だ仕事。


廊下の掃除が終わったので、裏庭の掃除に来た。


落ち葉がかなり散らかっていたので、少し時間がかかったが、無事一か所にまとめることができた。


さてと、今の時間は、あれ? 胸ポケットに入れてたスマホがない。しまった落としたか。この広い範囲で落としたとなると、探すのはひと手間だ。


「とりゃー!」


かけ声とともに俺が集めた落ち葉が散らかる。


「ダメっすよ。油断大敵っす」


落ち葉を蹴飛ばしたのは神宮西さんのようだ。


「真心様の仇を取りに来ましたっす。よくも真心様を保健室送りにしてくれましたね。ただじゃすまないっすよ」


「神宮西さんありがとう!」


俺は神宮西さんの手を取ってお礼を伝える。


「にゃわっ? なんでお礼を言われるんすか?」


「いやぁ、スマホをつい落としてどこにいったのかなと思ったんだけど、落ち葉の中にあったみたいで安心した。見つけてくれてありがとう。やっぱこの学校の子はいい子だね」


俺は神宮西さんの頭に手を置く。


「にゃぁぁああ? 頭をなでるあっす?」


「あ、ごめん妹がいるのでつい」


「それは保健室でも聞いたっす! つい、で乙女の純情をもてあそぶなっす!」


なんか項垂れてしまった。いつも元気な神宮西さんだけに心配だ。


「待ちなさい! これ以上この学校での横暴は許しませんよ!」


五十嵐さんが今度はスマホを持ってきた。


「空さんへの不埒な行為を間違いなくこちらに収めましたわ。これであなたを退学にする手順が整いました! こんな内容を学校は許さないはずです」


「え。頭を撫でるだけでも首になるの?」


「当たり前です。殿方に体を触られるなんて想像しただけで……ぽっ」


「体は触ってないつもりだったけど? 後ちょっと嬉しそうなのはなんで?」


「別に男性に触られて嬉しいわけありません。とにかくあなたが空さんにしたことはすべてこちらにありますわ」


そういって俺にスマホを見せてくる。


「さすがメアリーさんっす! でも完全にピンポケで何してるかわからないっす!」


「あら? じいやに教えていただいた時はうまくできたんですが」


「うまく使えないの? ああ。ここはこうしてやればうまくできますよ」


俺はスマホを一緒に覗いて操作を教える。


「ありがとうございます……って近い近いですわ! 殿方にこんなに近づかれたことありませんのに!」


「あ。ごめん、妹がいるか「もうそれは聞き飽きました!」


「うう、お嫁にいけませんわ」


五十嵐さんが項垂れる。なんだろう。お嬢様はみんな同じような項垂れ方をするな。


「大丈夫? 調子が悪いなら保健室に……」


「もう清掃員さんは何もしなくていいっす! この学校の女子生徒はみんな男への体制がないのに、あんなに簡単にスキンシップを図らないでほしいっすよ! 覚えてろっす!」


そして五十嵐さんを神宮西さんが連れて行った。2人は仲がいいんだな。


しかしいい子ばかりだし、いろいろ手伝ってあげたいな。


さて、仕事仕事っと。


その後もあの3人だけはよく俺に話しかけてくれて、いろいろスキンシップができた。


毎回照れてダッシュしていってしまうが。



「全く、あの男を何とかしないといけませんわね」


「でもいろいろ手ごわいっすよ」


「もういいんじゃないかしら? あの人ちょっとデリカシーはないけど、悪い人ではないと思うの」


「ダメですわ。この学校はそもそも男子禁制だった中で事務員に男性がいるだけでも気分を害しているのに、あのような殿方は駄目ですわ」


「俺もちょっと反省はしてるよ。妹がいるからって、女性になれなれしく接するのはよくなかったです」


「分かっていますのね。でしたら、すぐにでも辞表を書いていただいて……ってなんであなたがいますの!」


「すいません、ちょっと前からいたんですが、話の腰を折るのもどうかと」


俺は生徒会室に用事があって来ていたのだが、話に夢中で返事がなかったので、失礼ながら勝手に入ってしまった。


「乙女の会話に参加する方がよっぽど失礼ですわ! それに何の用事ですの?」


「ああこれを持ってきたんだ。いつもお世話になってるし、俺の行きつけのケーキ屋さんのケーキだよ」


「なんであなたがケーキを持ってきますの? あなた自分で今までしたことを振り返って、私たちがお世話をした内容がありましたか?」


「? だって俺の仕事手伝ってくれてるし。そのお礼でしょ」


「意味が分かりませんわ! それにあなたのケーキをいただくわけには参りませんわ。ねぇ2人とも」


「わーいケーキっす! 甘いものはいいっすよね」

「チョコケーキはありますか?」


どうやら五十嵐さんと神宮西さんは喜んでくれているようだ。


「こらーあなた達! そんな男からもらったケーキを食べるおつもりですの?」


「でも美味しそうっすよ。真心様はどれがいいっすか?」


「そうねぇ、私はシンプルなショートケーキが……ってそうじゃありませんわ!」


「そうっすよね、ショートーケーキ好きっすもんね。ではどうぞ。私はモンブランをいただきますっす」


「じゃあ私はガトーショコラをいただきます」


「ま、まぁケーキに罪はありませんし、食べないのももったいないですもの。いただきますわ。そ、そうですわ。どうせ清掃員さんの買ってくるケーキなんて大したことはありませんに決まってますわ。これを食べて調子が悪くなったとでもいえば、清掃員さんを辞めさせられるかもしれませんわ、ぱくっ……ん~、甘くて美味しいですわ~」


櫻井さんだけはちょっと不機嫌顔だったが、ケーキを一口食べると一気にご機嫌顔になった、


あそこのケーキ屋さんは本当においしいからな。


「気に入ってくれたようで何よりだよ。また良ければ買ってくるからさ」


「こここ、これは違いますわ! こんなケーキは全然大したことありませんわ」


「じゃあ真心様、そのケーキいただいてもいいですか?」


「あげませんわ!」


「それじゃあやっぱり美味しいんじゃないっすか!」


「うう……屈辱的ですわ……」


櫻井さんは項垂れるが、ケーキを一口口にするとすぐに笑顔に戻ってしまう。面白い人だ。


「そういえばいつも清掃員さんって呼んでますけど、本名はなんて言うんっすか?」


「俺? 三瀬宗次だよ」


「三瀬宗次? お店を掃除してるみたいな名前っすね」


「ふふ、名前まで清掃員みたいで笑ってしまいますわね」


「俺前も掃除する仕事してたんだ。名前に誇りを持ってるからそう言ってもらえてうれしいよ」


「今のどこを聞いたらほめてるように聞こえますの? まったく、掃除ばかりしてるあなたのことなんて、清掃員さんですら名前がよすぎますわ。これからは宗次さんってお呼びしてやりますわ」


「ああ、別に好きに読んでくれていいよ」


「ふふ、自分がからかわれているとも知らずにのんきに……あら、でもこれって初めて殿方を名前呼びすることになるわけで……」


「どうしたの櫻井さん」


「なんでもありませんわー! 殿方を下の名前で呼ぶくらいよくあることですわ!」


「じゃあ私も宗次さんと呼びますわ」


「私もそうするっす!」


だいぶ距離感が縮まった気がする。


さて、掃除掃除っと。


とある日、生徒会室を掃除していた。


最近はいろいろ言われはするけど、生徒会室に俺がいても特に何も言われない。


「真心様大変です!」


基本優雅な時間が流れる生徒会室にとある日少しいつもとは違う緊張した空気が入ってきた。


「どうかいたしましたの?」


「この子がほかの学校の男子生徒に……」


どうも話を聞く限り、他の学校の男子生徒とのトラブルのようだ。


「不良っぽい男子に絡まれてしつこくついてこられて、体も触られそうになって……」


「またですのね……」


「また?」


「ええ、ここ最近同じような状況の報告が何度もありますの。同一人物の可能性がありますわ……、ってなんであなたに話さないといけないんですの!」


俺が悪いです。


「私たちの学校の生徒を怖がらせるなんて許しがたいですわ! ここはわたくしが何としても犯人を捕まえてみせます」


「捕まえるっていっても、櫻井さん1人じゃ危ないよ。相手が本当に危ない人だったら」


「私を誰だと思ってますの! この学校の生徒会会長にして、由緒ある櫻井財閥の櫻井真心ですわ。こういう時に問題解決のために率先して動かなくては櫻井真心の名前がすたりますわ」


「ならせめて協力を」


「結構です! 殿方の手などはお借りしませんわ」


そういって櫻井さんは生徒会室を出て行った。


「櫻井さん本当に大丈夫かな」


「真心様は護身術も学んでいますから問題はないと思いますっすけど……、あの人にも事情がありますから」


「ああこれは話したことなかったっすけど、以前雇った清掃員の方がとてもひどい方で、真心様も直接被害を受けそうになったんすよ。それでそれ以降男性不振になって特に清掃員のことを嫌ってるっす。だから嫌がらせをして毎回清掃員さんを追い出してたっす」


「でも俺は何もされてなかったけど」


「思いっきりしてましたよ。私もしてたのに全然宗次さんが鈍感で気づかなかったんじゃないっすか。最近は関係は悪くないっすけど、真心様にちょっとでも危害を加えるなら許さないっす」


そんな過去があるのに、自ら危険に立ち向かおうとしてるのか。大丈夫かな。


「やっぱり心配だ。俺もちょっとこっそり調べてみるので、櫻井さんが危険にならないようにだけ見ててくれるかな」


「それはいいっすけど……、なにするんっすか?」


「いろいろだよ」


その後俺はこっそり情報を調べた。もちろん櫻井さんに知られないように。


この間に櫻井さんが解決すれば俺は何もしなかったことにすればいい。


そして一週間が経った。



~櫻井真心サイド~


「最近宗次さんの姿を見なくなりましたけど、どうされたのかしら」


「別に心配しなくても辞めてないっすよ」


「心配はしてませんわ、そもそも男の人を信用してはいけませんわ」


「私あの人は信用してもいいと思うっすけどね」


「ええ、最近は真心さまがお忙しくされてるので気づかないかもですけど、本当に真心様のことを信用されてるみたいです……優しくて王子様みたいです……」


私がいろいろやってる間に、宗次さんを空さんもメアリーさんもすっかり信用しているようですわ


確かにあの人は今までの清掃員の方とは違う気もする……でも男の人はいつ豹変するかわからないですわ……あの人も優しいと思っていたのに……。


「絶対にダメよ。男は女性を利用することしか考えていないわ。私たちの学校の生徒を守るために男性は排除しないと」


「かわいい子発見! 俺と一緒に付き合わない?」


すると目の前にいかにも不良な男子生徒が現れた。


「あなたですのね。報告に聞いていた特徴と合致しますわ」


「何のことだ?」


「最近うちの生徒に声をかけていたでしょう」


「ああなるほど、お前が生徒会長の真心とかいうやつか。声をかけた女子が全員お前の名前を言ってたぞ。俺はこの辺りで有名な不良グループ『ブラックリスト』の一因だ。おい生徒会長。俺と付き合えよ。他のお嬢様は皆オドオドしてたが、俺はお前みたいな気が強い方が好みだ」


「冗談ではありませんわ。今後一切うちの生徒に声をかけないでくださいませ!」


「いいねいいね。そういう女を屈伏させてこそだ」


その男の下衆めいた笑いに私は恐怖した。護身術は十分学んでいたはずなのに体がいうことを聞かない。


「おっ、どうした急に弱気な表情になって? まずはおとなしくさせるために一発いっとくか!」


そして男の拳が飛んでくる。視界に同じく恐怖を浮かべるメアリーさんと空さんが写った。


やっぱり男なんで信じるものじゃ……


「痛たたた!」


痛みが飛んでくると思って目を閉じたが痛みは来ず、おそるおそる目を開けると目の前には見慣れたツナギを来た人がいた。


「え、宗次さん?」


~櫻井真心サイド終わり~


俺は櫻井さんに向けて飛んできた拳を手で受け止めて掴んだ。


「な、なんだお前は! 邪魔しやがって」


「おい、誰に手を上げてんだ!」


「ヒッ、手、手つぶれる」


「これ以上痛い目を見たくなかったら手を引け」


「はぁ? ふざけるな! 俺はブラックリストの幹部だぞ。舐めるな!」


ブラックリスト? 何か覚えあるような


「ああ、あの不良グループか。復活したのか」


「復活? 確かに数年前に一回潰されたが、こうしてまた活動してんだ。何でもお前が知ってる?」


「ああ、1回潰したのは俺だからな」


「へ?」


相手がキョトンとした顔をする。


「確かに前潰れた時にたった1人に敗北して壊滅した話は聞いている。だがあれは都市伝説じゃ…」


「ならもう1つ都市伝説を作りましょうか?」


「ヒィ? は、ハッタリこいてんじゃねえぞ! お前らやっちまえ!」


そして6人くらいで襲ってきた。


「ふぅ、前より手応えがない。これは復活とは言わないだろ」


ほとんど攻撃食らわなかったし、当たっても痛くなかった。


「う、嘘だろ……」


「おい」


「ひ、ひぃ!」


「あの学校に通ってる子達は俺の仕事も手伝ってくれるいい子達なんだ。次何かしたら物理的に外歩けないくらいにするから、二度と顔を見せるな!」


「は、はいぃぃぃぃ!」


そして不良グループは逃げていった。これだけ言っとけば大丈夫だろう。


「櫻井さん。これで一件落着だね。大丈夫だった?」


「あ、はいあなたはそんなに強かったんですの?」


「あ、はい実は昔ケンカしまくってた時期がありまして。妹の受験シーズンなのに、夜までうるさい不良グループがいたので、文句を言いに行ったら揉めて何組かつぶしてしまいました」


「また妹さんですの」


「でも暴力的なところを見せてしまってすみません。これは報告されたらクビになっても仕方ありませんね」


「そんなことはありませんわ。あなたは私を助けてくださいました。なので怖くはありません。ですからこれからも学校にいて欲しいんですの。これまでのことは謝りますわ。もう二度と嫌がらせみたいなことはしませんわ」


「ならこれからもお世話になるよ。櫻井さんに認められてよかった」


「真心……」


「え?」


「真心と呼んでくださいませ……宗次様……」


真心? 宗次様? いろいろ大丈夫なのか?


「いいの?」


「私がいいと言ってるのですから呼んでくださいませ」


「ま、真心さん……」


「うふふ、ありがとうございますですわ」


なんかむず痒い。


「真心様だけずるいっす。私も空って呼んでくださいっす!」


「わ、私ももっと宗次様とご親密になりたいですわ。ぜひメアリーとお呼びください」


「そ、空さん、メアリーさん改めてよろしくです」


「へっへー。ありがとうございます宗次さん」


「はいお願いします。宗次様」


こうして俺はようやく真心さんに認められて、学校での立ち位置も安定した。


だが、生徒会の3人にはすごく慕われてしまった。


「宗次様、先日のお礼にケーキを作ってきましたの」


「宗次さん、こっちはクッキーっす!」


「私はマカロンです。是非宗次様に食べていただきたいですわ」


「何か多いね……」


「これが宗次さんへの愛っすよ!」


「真心様を助けるために動かれていた宗次様素敵でした」


「まずは誰のからお食べになられるんですの?」


どうも最初は歓迎されていなかった俺だが、これからは楽しく騒がしく過ごせそうだ。






















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