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難ある彼らの攻略法  作者: 小枝マノ
1/1

question1

ー私には大切な6人がいるー



ー僕たちには特別な1人の女の子がいるー



彼らの心にすみついた闇を晴らすことは簡単じゃなかったけれど。


僕たちは自ら光を拒絶することもあったけど。



あのとき、諦めないで良かった。



あのとき、諦めないで手を差しのべてくれて良かった。



ーこれは、1人の女の子が少し複雑な問題を抱えた6人を攻略していく物語であるー



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


高校1年の春。


晴れて翔蘭高校に入学した私は、これから起こる出来事なんて全く想像していなかった。



入学式当日、昇降口の前に貼られたクラス名簿をみながら、これからの高校生活に胸を踊らせていた。


「えーと、支倉…希未っと。あ、あった…!」


「のんちゃん、何組ー?」


この子は中学からの友達で、市川あかり。とても明るい性格で、内気な私でもすぐに仲良くなれた。


「私はA組だったよ。あかりは?」


「のんちゃんと一緒!やったー!」


「ほんとに!?嬉しいなぁ。」


「ほんとね!あ、てかさ!SNSみた!?」



SNS…私は疎くてやっていない。何かあったんだろうか?


「みてないけど…何かあったの?」


「今年の新入生にめっちゃイケメンがいるらしいの!しかも3人!それで、これがその3人の写真なんだけど…!」


「わ…、本当にかっこいいね3人とも。」


「でしょ!同じクラスなれたら、サインもらいたいな~。」


「声はかけないの?笑」


「いやいや、私みたいなのが関わって良い人種じゃないよ!笑」



私たちは教室へ向かおうとして歩いていると、廊下付近で女子生徒の人集りができているのに気づいた。



「なにあれ?」



女子生徒A「生徒会長、今日もかっこいいです!」

女子生徒B「阿左美くん、今日は学校きてるんだ!それ新作ネイル?かわいい!」

女子生徒C「羽柴様美しすぎる…!」

女子生徒多数「写真撮らなきゃ!!」



女子生徒たちに3人の先輩が囲まれているのがみえた。


「うそ!めっちゃイケメンじゃん。先輩にもイケメンがいるとかこの高校、神か??」


「すごい綺麗でかっこいい人達だね。芸能人みたい。」


「あんな、イケメン彼氏欲しいー!」


「あかりならできるよ…!」


「いや無理でしょ!釣り合わない!のんちゃんならお似合いだけど!可愛いし!」


「私も無理だよー。てか、はやく教室いこ…!」



そして教室に着いたは良いものの、


「席遠いねー…。」


「名前順だもんね…。」


「休み時間毎日遊びに行くからね!!」


「ははっ、ありがとう…!」


「席替えはやくして欲しいよー!」



しばらく、あかりと私の席付近で話していると



「あの、」



男の子が話しかけてきた。


私たちはとても驚いた。


何故かというとその子の容姿があまりにも奇抜だったからである。


髪色がクリーム色で所々にオレンジ色のメッシュが入っていた。そして極めつけは、バチバチのメイクと左の目元にバツマークのペイントを施してあったからである。



「「…あ、は…はい!!」」


「そこ、俺の席だから退いて欲しい。」


「あ、ごめんなさい!」


あかりが勢いよく謝る。


「いえ。」


そういってその男の子は椅子に座り、音楽を聴き始めた。



「のんちゃん…!」


小声であかりに話しかけられた。


「どうしたの?」


「隣の席の人、さっき見せた写真の人だよ!」


「あ、ほんとだ…!同じクラスなんだね。」


「しかも隣とか…、仲良くなるしかないよ!」


「いやでも、話しかけて良い雰囲気じゃ…ない…。」


「…確かに。話しかけるなオーラが半端ない…。」



キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴った。



「うわ、鐘なった!戻らなきゃ、またね!」


「うん!またね。」




ガラガラッ!


チャイムと同時に恐らく担任になるであろう先生が教室に入ってきた。



担任「えー、新入生のみなさんはじめまして!今日から担任になる守谷です。よろしくお願いします!今日は入学式ですが、まだ式まで少し時間があるので、先に自己紹介をしましょう!」



「ーーーーです!1年間よろしくお願いします!」



次々に皆が自己紹介していく中、人前で話すのが苦手な私はとても緊張していた。



担任「じゃあ、次は支倉だな!」



……!私の番きちゃった、どうしよう。何をいえば…



「えっと…は、支倉希未です…!し、趣味は料理とかです…。1年間、よ、よろしくお願い…します。」



拍手がなり、着席する。



…もっと明るくいえば良かった…。でも、切り替えよう…。とりあえず皆の名前をちゃんと覚えよう…!



そして、次々と自己紹介が行われるなか、ついに彼の番がきた。



担任「じゃあ、次は最後。林藤よろしく!」



林藤くんっていうんだ。何話すんだろう?



「…林藤咲弥です。」



そういって、林藤くんは席についた。



「…え。(それだけ!?)」



担任「あーえっと、何か趣味とか特技でも何でもいいから一言あると嬉しいんだが…。」


「…特に話すことはないので。」


担任「そうか…!うん、とりあえず1年間よろしくな!」


「…はい。」



何だろう。クールというか、誰とも関わりたくないっていう思いを強く感じる。



担任「じゃあ、皆自己紹介終えたから、式が始まる時間まで自由に話してていいぞー。」



次第に教室は騒がしくなり、皆新しい友達作りに励んでいるようだった。



…私も頑張って話しかけてみよう!まずは、隣の席の…人から!



「…あの!「なに。」…え。」



いざ話しかけるものの、すごく迷惑そうな顔をされてしまった。



「あ、ごめんね…。」



シーンと私たちの間だけに、沈黙がおこる。



うっ…気まずい。そんなに、嫌な顔しなくても…。



それからも私たちの間で会話が始まることはなく、ひたすら重い空気の中を過ごしていた。



担任「あ!そろそろ時間だな。皆、体育館の方に向かうぞー。」



よ、良かった。…でも、これからこの1年間この席でやっていけるのかな…。




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