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ミミックなのに精霊大使です  作者: チビ林檎
魔物の街へ行こう
4/4

第3話 集会で

ページ色々改変しました。

ぴょんぴょんぴょんぴょん……


現在、午後5時過ぎと言ったところだろうか。

日没に間に合うのか、これ?

人間みたいに走れないしな……。

ミミックの俺だけど、人間の姿になれたり出来ないのか?

って思い悩む暇なんてないな。

出来れば、一回で飛躍する距離を伸ばしたい。

ちょっとやってみるか。

重心を前に持ってきて……はいピョーン!

ざっと5メートルくらい距離が伸びた。

おお!凄え!!

じゃあこれからはこの飛び方で進むとしよう。









【スキル:超飛躍を獲得】


機械のように無感情な音声がミアの中に響き、


『アイツ、スキル獲得したのかよ』


ミアの記憶から再現した漫画に没頭だったサラが顔を上げたのは知るよしもない。










かれこれ2時間後。

妙に開けた場所が見えた。

ここで例の集会があるのか?



「……その他、報告を受けた者はいますか?」



司会者のように進めているのは下半身は蜘蛛、上半身は人間の女性の魔物だ。




『アラクネだな。ビラト大森林の主と言っても過言じゃない』




お前、起きてたのかよ。



「否、トリセプス・スネークとミミックの話以外はありませぬ」



あれは知ってる。半馬人ケンタウロスだ。

今、ケンタウロスのおっさん、ミミックって言った?

俺の事?



「しかし……ミミックがあんな化け物を討伐したなど、ありえませんわ」



むむ、とんがった耳、白い肌、巨乳………エルフ!!?




『お前、エルフに対する反応凄えな?』




黙らっしゃい。

今、立ち聞き(?)しているのだが……どのタイミングで出ようか?


「そのミミックから溢れ出るオーラは異常なまでに強いものだ。やはり、サラマンダーの加護があるに違いない」

「しかし、ミミック如きにかの大精霊が加護を与えるなど異例ですわよ!?」

「ですが、そうでも考えないと、辻褄が合いません」


……タイミングが行方不明のようだ。

それに、話題の「ミミック」って俺だよな!?



「ならば、当事者に聞くのが一番手っ取り早いですね」




……はい?


「そこにいるのは分かってます。出てきて下さい」



バレてたのか。

……君のような勘のいいお嬢さんは嫌いじゃないよ。




『さっさと行け』











「じゃあ、噂は全て本当だったのですね!?」


三頭大蛇トリセプス・スネークとの戦闘のことを話すと、エルフのお姉ちゃんが身を乗り出す。

共に胸がポヨンと揺れる。

いい眺めだ。たつ物はないが。

因みにあの蛇、Aランクだったらしい。

俺が戦った時は大したことはなかったが、それは耐性スキルを持ってたから。

この森林の魔物は炎耐性スキルを持っている者がいなかった為、討伐は困難だったらしい。


「この度はあの危害物を討伐して下さり、ビラト大森林を代表してお礼をさせていただきます」


ありがとうございました、と三体が頭下げる。

礼を言われるのは慣れないな……。


「さて……謝辞も済みましたし1つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「何でしょう?」

アラクネの眼光が鋭くなる。


「貴方はサラマンダーの加護を受けておられるのですか?」


サラマンダー……の加護?

サラマンダーってトカゲみたいな奴?

転生してから一度も出くわしてない。

誤解か?


「いや、違うけど」

「違うのですか!?」

「何と……」

「では、あれは貴方様の実力でして!?」


一気に驚かれて、こっちがビックリだわ。


「えーと……違うと問題があるんですか?」


「問題というわけでではなく……森林の魔物達の一部で、「サラマンダーの加護のおかげでトリセプス・スネークを倒せたのだろう」という噂があったので」


そんな噂があったから、他の魔物達に避けられていたのか。

そもそも、サラマンダーってそんなにすごい?




『当たり前だろ!サラマンダーはS+だぞ!?』




サラの罵声が響いた。


「そうなれば貴殿はこの森林を火災から守った救世主となりますな」


自分で言うのもアレだが、ケンタウロスのおっさんのいう通りかもしれないな。

俺があれ《トリセプス・スネーク》を倒さなければ、あの炎でここは火の海になっていたのかもしれない。

でもな……


「救世主は大袈裟じゃないですか?」


倒したのは偶々だ。

善意があってした行動ではない。


「謙遜し過ぎですわ!貴方をここ《ビラト大森林》の救世主として奉りたいくらいですわ!」


いや、ミミックを奉るって……。

てか俺、フェイトに行きたいんですけど!?







森精人エルフの若き族長__アミラ

半馬人ケンタウロスの頭領__ベアロン

蜘蛛亜人アラクネの頭にしてビラト大森林の統率者__ナリア

それが今、俺の目の前にいる三体の魔物だ。


この世界に来て初めて大物感溢れる人物に出くわしたな。




『コイツら……B+ランクといったところだな』



サラの言う通り、俺よりも遥かに強い。

敵に回したらそれこそ終わりだ。

しかし……


「俺、何処に連れて行かれてるんすか……?」


「我らの集落でございます」


答えたのはベアロンだ。


「集落があるのですか?」


「ええ。エルフ、ケンタウロス、アラクネの他にホブゴブリン、コボルト、ドリアード、ラジネなどがいるのですよ」


多種族共存の集落なのか。

というか、今コボルトって言ったよな?

俺、倒して食ったんだけど!?

不味いなこれは……。


「コボルトと言えば……昨日から「コボルトの一隊が行方不明になった」と報告を受けましたわ」


「其奴らは同盟外の一族ではなかったか?我々が関与することはないだろう」


「そうですわね」


盟約?

頭に疑問符を浮かべたらサラが教えてくれた。

ナリアを盟主とした「ビラト大森林同盟」というのが存在するらしい。

ビラト大森林に棲む7割の魔物が参加しており、盟約内容は、前世の世界史の社会主義に近い。

貧富の差をなくし平等であることを目的とするため、自身の利益を重視する者__特に犬人種コボルトの商人__は脱退することが多いとか。

脱退すれば、商売して稼いだお金は自分達のものだが、衣食住や身の安全は保障されない。

そして、身に危険があっても一切の助けが入らない。

安全に行きたいと思う者は参加するのがベストな選択。

なので俺は別にこの三体に恨まれたりすることはないというわけだ。








「ここが私達の集落です。ええと……」


「あ、ミアです」


「ミア様、ですね。集落へようこそ」


え、「様」!?


「様付しなくても良いんですよ!?」


「いいえ!貴方様はあの化け物を倒したビラトの英雄なのですよ!?敬意を払うのは当たり前でございますッ」


あの蛇、そんなにヤバい奴……?


「吾輩のスキル「見破ファンダウト」で調べると貴方様はDランクではありませんか。そうにも関わらずAランクの魔物を倒すなど崇拝するに値します」


「アミラとベアロンもそう言っておりますし、ミア様は堂々と威厳のあるお姿でいてくださいませ。皆に紹介致しますので」


え、紹介って。

動揺しつつ、集落に目を向ける。

思わず息を飲む。


集落は一言で言えば……幻想的だ。

木々が生い茂り、ドリアード、ラジネから放たれる淡い光をほどよく反射している。

この葉の間から差し込む光がさらに輝きを増させている。

ホブゴブリンやコボルトの幼い子達が駆け回り、エルフが優し気な眼差しで眺める。



「お気に召しましたか?」


「ナリアさん、勿論ですよ!」


「あら、敬語ではなくて良いのですよ。ナリア、と呼び捨てで構いません」


いやいや、幾ら何でも呼び捨てでって……と言おうとしたが「遠慮なさらないでください」と言われる気がしたのでやめた。


「皆の者、注目せよ!」


ベアロンの一声で集落のすべての魔物が集まる。

人鬼種ホブゴブリン犬人種コボルト森精人エルフ半馬人ケンタウロス蜘蛛亜人アラクネ樹妖精ドリアード土妖精ラジネの他にも蜥蜴人リザードマン魔植女アルラウネなどがいる。

ナリアは俺を持ち上げ、頭上に掲げる。


「よくお聞きなさい。この方こそがかの邪蛇から我らを救い出されたミミックのミア様です!」


魔物達の歓声が上がりだす。

中には「ミミックが?」という疑いをかける者もいたが、ベアロンが鋭い眼光で睨んだ為、すぐにその声を歓声に変えた。

ちょ、ちょい待てよ!?

大袈裟じゃないか!?




『集落救われたから普通じゃね?お前の故郷の奴らは遠慮しすぎなんだよ』




日本人は大体そうだしな。

……どう対処すれば良い?




『取り敢えず言われた通りに胸を張れ………あ、胸どころか胴体ないなお前。とにかく堂々としろ。縮こまっていると舐められる』




そう言われて俺は「えっへん」と言わんばかりに踏ん反り返った(つもり)。












俺はその晩、出された料理を食べたり、各種族の代表者に挨拶をしたりした。

ミミックがこのような礼儀があるのはなかったらしく、皆目を丸くしていた。


そんなこんなで集落を満喫してたらベアロンに呼ばれた。


「小川で涼しみながらお話しましょう」


出来ればアミラが良かった、は言わないお約束だ。


「何だ?」


「貴方様を「見破り 《ファンダウト》」で調べた際に少し気になるモノを見つけたのです」


「気になるモノ?」


サラか?


「貴方の中には……強力な力を持つ「宿者ディアラー」がおります」


「ディアラー?」


「多大なる魔力を持ち、魂に絡みつく術を持つ者です」


やっぱりサラか。




『俺のこと、内緒な?面倒は避けたいだろ』




それには俺も賛成だ。

ベアロンには申し訳ないが隠す事にした。


「「見破ファンダウト」は対象の全てを見透かします。今回はただ気になったので確認したまでです。言いたくない事だったのでしたら、無理してお話しされなくても大丈夫でございます。どうせわかってしまいますので」


コイツ、敵だったら絶対に厄介になるよな。


「全てを見透かすなら……俺の行きたい場所も分かるんだな?」


「魔物の街ですね」


「そう!で、ちょいと案内して欲しいんだけど」


ベアロンに乗って行ったら早く着くだろうしな。

だが返答は俺を絶望へと堕とす物だった。


「申し訳ありません。貴方様では……フェイトどころか魔国にすら入れません」


「え……?」




『はぇ?』





「つい先日、改憲されたのです。【当国の立ち入りはB+ランク以上且つ、人型に近い者のみとする】と」








個体名:ミア

種族:ミミック

ランク:C

加護:???

スキル:擬態化

超鋭歯

炎球

超飛躍

耐性:炎耐性++


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