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ミミックなのに精霊大使です  作者: チビ林檎
魔物の街へ行こう
3/4

第2話 初対戦

フェイトに向かうにはラマダ熱地帯を出て、ビラト森林を抜けなければならないらしい。

しかもその森林には魔物がうじゃうじゃいるそうで……。

俺、生きていけるのか……?

不安しかない。




『大丈夫だろ』




勝手にフラグ立てるな!


……いや、そうでもないか?

俺には3つのスキルがある。

もし魔物に遭遇してもそいつらを使いこなせば……。

生き延びられる可能性もある。

なんだか危なっかしい気もするが自信湧いてきた!!




『やる気は出たか?』




ああ。スキルのお陰でな。




『それなら俺はちょっと奥に引っ込んでる。何かあれば呼べ』




そうだな。

何かあればコイツに頼ろう。

何が出来るかは知らんが。










熱地帯を出るまではそれ程かからなかった。

俺のぴょんぴょん移動でも2日ほどだ。




ビラトは薄暗く、不気味な場所だった。

ガキの頃にしたRPGゲームだと、中盤に訪れるような所だ。

安全の為、見晴らしの良い場所を確保する。

え?何をするかって?

勿論……スキルの実験だ!

戦闘になったときのための準備である。



スキルの使い方もサラに教えてもらった。

体内の《魔力》の流れを意識すると出来るらしい。

集中すると、確かにそんなのが流れている気がする。

これが魔力か。


まずは擬態化。

無機物になれるんだったな。

何になろうか……そうだ、コイン!。

自分の体がコインに変わるのを想像する

すると、体の感覚が変わった。

丸くて平ら……どうやら本当にコインになったらしい。

すげぇ!!俺、コインになれた!!

で、戻るには……。

コインの形が崩れるのをイメージする。

すると、慣れた感覚が戻ってきた。

擬態化は難なく使えそうだ。


次は超鋭歯だ。

近くにあった岩を齧ってみる。

失敗したら痛そうだが……。

そう思いながらも岩に歯を当てる。

歯に力を少し入れただけで、岩は見事に崩れた。

わお。俺の歯すげぇ。

これも使えるな。


最後は炎球。

一番凄そうなのはこれだな。

魔力の流れを意識して、炎球を作り出す。

そして、発射。


ゴォオ!!


一瞬で辺りが焼け野原になった。

え……えぇ!?

何この威力。

木に撃ったら間違いなく燃え移って大火事になっていただろう。

これは切り札としよう。

うん。それがいい。



ギシャァアアア!!



獣の鳴く声がした。

あ、今のは流石にまずい?


出てきたのは……鎧を着た、二足歩行の狼の群れだ。

ゲームで見たことがある。

コボルトだ。

それ程強い奴ではないが……数が多い。

ミミック一匹に対してコボルト十匹といったところだ。

姿も見られたし……擬態はできないな。

鎧を着ているから、超鋭歯も無理だろう。

えーと……これは切り札の出番?

仕方ないな。

サラによると、この世界は弱肉強食らしいじゃないか。

フフフ、フハハハハ!!!

どうやら俺に遭遇したところでお前達の命運は尽きていたらしい!

喰らえ、炎球!


ゴォオオオ!!


コボルトは見事に焼けた。

コンガリと……美味しそう。

夕飯だ!!

俺はコボルトの肉に噛り付いた。

美味い!

魔物だから食わなくても生きていられるけどな!




腹を満たし、ちょいと一休みしたところで俺は再び進み出した。シャァアアア………




何だよ、うるさいな……。




シャァアアア……!!




あの、サラさん。

奥から出て突然、変な声出さないでくれます?




シャァアアア…!




……おい、バカか俺。

これ、絶対サラの声じゃないだろ。

声の正体は……!



「シャァアアア!!!」


「ひいぃいいいい!!」




顔が3つ付いた大蛇だった。

コボルトとは比べるまでもない強敵だ。

ちょ、これは流石にまずい。

大蛇は3つの頭で炎を吐き出す。

俺のミミックボディが炎に包まれる……だがしかーし!!

炎耐性++を持つ俺にはそんなの効かない!

どうやらこのスキル、かなり強力なものだそうで。

炎攻撃のダメージ、ゼロ!

魔法であろうとマグマであろうと炎は全て無効化!

いやーあそこで生まれて良かったー、と初めて思う。

大蛇にとって、今の炎は必殺技だったらしく、かなり動揺している。

さて、ここはどうするか……。

さっきの攻撃からして、恐らく炎耐性のスキルは持っているだろうな。

無ければ、自分が炎を使うのに耐性スキルを持ってなくてどうする。

うーん……。


「シャァアアア!!」


俺が迷う間を狙い噛み付こうとする大蛇。

……ここだな!!

口を大きく開ければ大蛇は3つの頭全て、俺の口に突っ込んだ。

からの……超鋭歯だ。

閉じれば、大蛇の頭が皆千切れた。

赤い花弁が散り、胴体を残し大蛇は俺の腹に収まった。(ミミックに腹があるのかはわからないが)

うん、正直怖かった。

だって、さっきのコボルトの2、3倍の背丈で頭3つだぞ?

ビビらない方がおかしい!






……と、その後もいろんな魔物と戦闘の連続になる………と思ってた。

何故だか知らないが、魔物が俺を見るたびに逃げていくんだ。

何で?

サラにでも聞こうか。




『「にでも」って……俺の話し相手、俺しかいないだろ』




おお、ナイスタイミングで現れたな。




『今丁度、お前の20年の人生を鑑賞してきたからな』




え?俺の人生を鑑賞?

それって、俺の前世の記憶を見たってこと?

20年分?




『ああ、1つ残らず全て』




……黒歴史やエロゲの記憶も、全部?




『…………………………………………………………………………………………………………………………

それで、お前が魔物達に避けられている理由なんだけど』




逸らした。

絶対見たな。



『今日の日が沈んだ直後、北に進んでみろ』




日没直後に、北に?

何故だ?




『知性のある魔物の集会が行われる。力のある奴らが殆どで、逃げ出さない筈だしな』




なるほどな。じゃあ行ってみるか。



で、お前……俺の黒歴史やエロゲを……




『おやすみッ!』














上半身が人間の女性、下半身が蜘蛛の魔物アラクネはここ十数年ぶりに頭を悩ませた。

此処を統一する実力者である彼女に寄せられた、報告のせいだ。



(ミミックが、三頭大蛇トリセプス・スネークを倒したなんて……)



トリセプス・スネークはこの森に近頃現れた危害物……というべきだろうか。

ラマダ熱地帯から来た為、炎を吹くのが厄介だったのだ。

彼女も、他の知性持つ魔物達も、炎耐性スキルを持っていなかった。

それを……ミミックが?

報告を受けた時、ある者はこう言った。



「まるで、炎大精霊サラマンダーのようだ」



己と同郷の者に天罰を下すその姿はかの大精霊ようだった……と。

ここで思考がまとまった。

信じ難いが、これしか辻褄が合わない。


「あのミミックは……」


今回からスキルが増えるごとにここにミアのステータスを追加していきます。


個体名:ミア

種族:ミミック

ランク:C

加護:???

スキル:擬態化

超鋭歯

炎球

耐性:炎耐性++



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