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そう言われると、動けなくなる…。
「あ~あ。しばらく美咲禁止かぁ。悲しくて、オレ、泣きそう」
「家の中で、1人で好きなだけ泣いてちょうだい。そして大人になって」
「言うようになったね。でも電話やメールぐらいは良いでしょ?」
「まあそのぐらいなら…」
「ヤッタ♪ テスト、頑張るからね。特に英語」
「はいはい。他の教科も頑張って」
「うん! それじゃあ、キスしてよ」
「…んもう」
背伸びをして、彼の唇にキスをした。学校の中なので、軽いキス。
「ふふっ。大好きだよ、美咲。オレだけの美咲」
うっとりした表情と声が、体に染み込む。
彼の首筋に顔を埋めながら、アタシは口を開いた。
―好きよ。華月―
声には出さず、唇だけ動かした。
だってここはアタシの職場だから。
2人の秘め事は、学校以外の2人っきりの時だけ、ね?
<終わり>




