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首を傾げるアタシを見て、涼子は苦笑した。
「気にしないでちょうだい。それより疲れたなら、いつでも休みにきなさい。グチもいつでも聞いてあげるから」
「ありがと。…って、いけない。教頭先生に呼ばれているんだった」
保健室にかけてある時計を見て、アタシは腰を浮かした。
「夏休みの補習の件で、ちょっと呼ばれているの。涼子、今度飲みに行きましょう」
「分かった。恋愛のグチも、その時聞いてあげる」
「あははっ…。じゃあね!」
慌しくアタシが出て行った後、ため息をついた涼子はカーテンが閉まっているベッドに声をかける。
「いい加減、保健室で仮眠するのはやめてくれないかしら? 世納クン」
「ふわぁあ…。ゴメン、寝不足でさ。昨夜、美咲を可愛がり過ぎたから」
欠伸をしながら、彼がカーテンを引く。
「あのねぇ…。アレほどあのコをイジメないでって言ったのに」
「イジメてないよ。可愛がっているだけだって」




