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「う~ん…。それじゃあどこを逢引場所にしようか?」
彼は後ろ手に鍵をかけ、アタシに近寄ってくる。
「学校の中はもうやめましょう? 気が気じゃなくなるわ」
「でもスリルがあって良いでしょ?」
彼は悪魔の微笑を浮かべると、その腕の中にアタシを引き入れた。
「―会いたかった。美咲」
「…1時間前の授業で会ったじゃない」
「こうやって1人占めするのは、この前の休日以来だろう? 美咲の部屋の中でさ…」
「やっやめてってば!」
腕の中でもがくと、彼はクスクス笑って腕の力を少しゆるめてくれた。
「ゴメンゴメン。あの時の美咲があんまり可愛かったから」
…1人暮らしをしてて、良かったのか悪かったのか…。
合い鍵を渡してしまったせいで、彼は何時でも気が向けば、好きな時にわたしの部屋に出入りしている。




