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「うん。夏休みは補習で、来年は留年ってことになるだろうね」
…自覚ありか。それでも直そうとしないなんて…そんなにアタシの授業はつまんないのかな?
まあ本場の帰国子女には負けるだろうけど…。
「あのね、帰国子女であるあなたにとって、英語の授業はつまらないものでしょうけど、それでも必要な授業なの。出席してくれなきゃ、あなた自身も困ったことになるでしょう?」
「そうだね。親がうるさそうだ」
「だったら今からでも遅くないから、授業に出てくれないかしら? 夏休みの補習は免れないだろうけど、これから挽回していけば、進級には影響なくなるわ。世納くん、元々成績良いんだし」
「だろうね。他の授業は真面目に受けているし、苦手な科目は無いし」
「ええ、そうね。だから授業に出て」
真っ直ぐに彼の眼を見つめて言うと、大きなため息をついた。
「じゃあさ、センセ。オレの言うこと、1つきいてくれない?」
「…それって、お願い事?」
「うん。その『お願い』をきいてくれたんなら、これからは真面目に授業に出るから」




