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彼はベッドから下りて、身支度を済ませた。
「そろそろ正面から、あの人と向き合ってみるよ」
「そうしてちょうだい」
涼子が流し場にコップを持っていく為に背を向けた時、彼はキレイな顔にゾッとするような微笑を浮かべた。
「…ちゃんとオレのこと、知ってほしいしね」
「ん? 何か言った?」
「ううん。それじゃオレ行くね。次の授業に遅れたくないから」
「はいはい」
片手をブラブラと振る涼子の姿を見て、彼は保健室を出て行った。
「さて…何から話そうかな? 楽しみだなぁ」
―そして放課後。
あらかじめ担任の先生には話を通した。
帰りのHRが終わるのを、扉の向こうで待つアタシ。
緊張するなぁ。ほとんど口きいたことないし。




