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オーバーノスフェラトゥ  作者: ハルメラ
2/4

コンビニファイト

 「腹が減ったな…コンビニでも行くか」

 

 そう言って、俺は上着を着て

 そして外出する準備をし始めた

 

 1月の中頃、突き刺すように冷たい風を受けながら

 俺は早歩きで近くのコンビニへと向かった

 

 店の中に入った瞬間に、その異様な空気を感じた

 一人しかいない客

 一人しかいない店員

 別にここまでは普通だが、明らかにその光景は

 異様なものだった

 客である男?は店員に向かって銃を突きつけていた

 それに対し店員は両手を上げて脅えた表情で客を見つ

 めていた

 

 俺が入店したのを見て店員が「助けて!」と言うも

 客を装った強盗犯はそうはさせないといわんばかり

 に俺に銃を突きつけてきた。

 

 (どうやら二人共戦闘用の能力は

 持ってはいないようだな)


 この世界いる人間は皆何かしらの能力を持っている

 しかしその全てが戦闘に特化した能力とは限らない

 時には補助特化や場合によっては全く使えない能力

 も少なくはない

 むしろ戦闘に特化した能力のほうが少ないくらいだ

 

 そのため人間は特殊能力を持った今でも

 兵器や武器を捨てられずにいる

 俺の目の前の強盗がいい例だ

 

 「おいお前!床に伏せろ!うつ伏せになれ!」

 

 店員に向けていた銃を俺の方へ向けてきた

 どうやら俺を脅しているつもりらしい

 

 「おい!聞こえねぇのかてめぇゴラァ!!」

 

 俺は呆れて強盗の方へと歩み出た

 強盗はビビッたのか近づいてくる俺を見て

 若干腰が引けてしまっている

 

 「く、来るな!来たら撃つぞ!」

 「撃てばいいじゃねぇか、撃てよほら」

 

 俺は強盗に挑発するように言った

 強盗はさらにビビッたのか

 一歩後ろに下がってしまった

 

 「撃てよ。本物なんだろそれ?なら撃て」

 「て、てめぇ、死にてぇのかちくしょー!!」

 「うるせぇな!撃つのか撃たねぇのか

 はっきりしやがれ!!」

 

 俺はさらに強盗を煽った、すると…


 「うあぁぁぁぁぁっやってやるー!!!!」

 

 強盗は唸り声を上げて、そして…バンッ!!!

 凄まじい破裂音が店内に響き渡る

 俺はというと…

 

 「うっ、くはっ…」


 胸を撃たれていた

 おそらく心臓まで弾は達しているだろう

 

 「ハァハァ…お前が、悪いんだ。

 俺を挑発するようなこと言うから、お前が…」

 「いっ………てぇなぁぁぁおぉぉい!!!」

 「…へ?」

 「…え?」

 

 強盗と店員がほぼ同時に同じようなことを言った

 それと銃弾だが

 どうやら心臓には当たっていないらしい

 胸部から血が流れ、激痛が走る

 にもかかわらずまだ俺は生きている

 つまり今のは致命傷にはならなかったということだ

 すなわち、俺が一番困るパターンだ

 

 「おま、ちょ…お前さぁ、下手くそかよ!?

 普通さ、急所に1発入れて即死させるだろ!

 なんで、なんで急所外すんだよ!

 超いてぇんだよ?マジで

 アホみたいに痛いんだから

 頼むから1発で決めて安らかさせてよ!

 できるだけ安楽死に近い死に方させてよ!

 苦痛を与えるなよ!殺すならしっかりと…」バンッ!!!


 再び破裂音が店内に響き渡る

 今度は眉間に撃ち込まれたようだ

 今度こそ即死だろう

 

 「何だったんだこいつ…」

 

 強盗が不思議そうな顔で俺の死体に向かったいう

 

 「さぁ、何だったんでしょうね」

 

 店員は冷ややかな目で俺を見つめる

 

 「えっと…なんの話ししてたんだっけ?」

 「あーそうそう、金をだせやぁ!」

 「え、ああ…うわぁぁぁぁ!」

 (またこの流れかよ…) 

 

 店員はそう思いつつも

 さっきのように両手を上げた

 強盗はそれに釣られるように店員に銃を向けた

 すると…


 「まてよ…」

 

 強盗を後ろから呼び止める声がした

 この声は強盗には聞き覚えがあった

 店員にも聞き覚えがあった

 しかし二人共それが信じられなかった

 なぜならそれはありえないことだったからだ


 慌てて強盗はその声の方へ振り返った

 

 「な、なんでお前…」

 

 そこには、眉間を射撃されて死んだはずの

 野月信渡が立っていた

 

 強盗は驚きたじろぎ

 挙げ句の果にはすっ転んでしまった

 どうやら店員も俺のことを怖がっているようだ

 

 「よう、やってくれたじゃねぇか

 心から礼を言うぜ強盗犯さん」

 「な、なんでお前、死んだはずじゃあ!」

 「あぁ死ねたよ、お前のおかげでな。」

 「はぁ!?じゃあなんで生きて…」


 強盗は何がなんだかわからない様子で

 俺の方を見ていた

 

 「じゃあ今度こそ、お前をひっ捕まえてやるよ」

 

 そう言うと、俺はゆっくりと強盗に近づいていった

 

 「やめろ!来るなぁ!」

 

 恐怖にかられてか、強盗は顔を歪めながら叫び

 そして…バンッバンッバンッバンッ

 俺に向かって銃を連射してきた 

 しかし

 

 「効かねぇよw」


 銃弾は俺に着弾するも俺の体は 

 プスプスと言うような音を出し弾いてしまい

 俺の体にはめり込むことは無かった


 「なんで…なんで傷がつかない…

 さっきは銃弾食らって倒れてたくせに

 どうして今度は1発も傷すらつけられねぇんだ!」  

 「今の俺には銃は一切効かない

 例え何万発撃とうと俺には傷1つつけられねぇよ」

 「なんだよそれ…いったい、お前の能力はいったい」

 「"死因に対して耐性を持つ"

それが俺の能力の1つだ」

 「ひ、1つ!?じゃあ他のは!?」

 「うるせぇな、見りゃ分かんだろ

 "死んでも蘇る"能力だ」

 

 そう言って俺は強盗の頭を思いっきりぶん殴った

 気絶させるつもりでいったのに気絶しなかった

 まあ痛さでもがいてるから、店員に対しても

 そんなに脅威ではないだろう

 

 その時、俺がここへ来た理由を思い出した

 俺はゆっくりと立ち上がり

 そしてゆっくりと店員のいるレジへ向かった

 店員は俺に恐れてからあたふたしつつも

 逃げ場が無いため結局その場に留まった

 

 バンッ!

 俺がレジの机に平手打ちをかます

 店員は唐突な激しい音に驚き

 体から後ろへ飛び上がっていた

 

 机に叩きつけた掌をゆっくりと上げる

 そこには…500円玉があった

 店員は理解不能という感じにその500円玉を見ていた

 俺はその店員にこう言った

 

 「スペシャル豚まん下さい」

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