一話 セーフティゾーン
西暦2820年 ある平原にて
タタタタタタッ
「ふぁーー...ねむ」
1人の青年を先頭に、3人の異能児は獣道を駆けていく。
「そりゃ一ヶ月近く寝てなかったら眠くもなるよ」
と、可愛らしい声が聞こえてくる。
「ははは、久しぶりに休憩でもするか?お!!運がいいな。このまま真っ直ぐ2キロくらい進んだ先に深い空洞があるから、ホープとリゲルは先に潜ってな。俺、飯調達してくるわ。」
そう言ってエリアはどこかへ行ってしまった。
「こんなに霧濃いのに...相変わらずすげえ目してんな」
「ほんと。テキトーに言ってんじゃないかって不安になっちゃう」
「ああ、どれだけ長くいても慣れねぇもんは慣れねぇな」
などと言いながらも、俺とホープはスピードを落とさず走っている。
「あ、あれか?」
「あれだね」
ポツポツと生えている大木で少し見えづらいが、なにか大きな岩のようなものに穴が空いているようだ。見た感じ、浅めの空洞にしか見えない。
「ちっ、あれじゃ全然休めねぇぞ。すぐロボに見つかりそうだ」
「そうみたいね…」
「はあ...何が運がいいな、だよあいつ」
ブツブツ文句を言いながらも、走る。
近くに来て気づいたのだが、かなりでかい。高さは20m、横幅50mといったところか。コンクリートで出来ているため、恐らく人工物だろう。となると、なにか役に立つものが手に入るかもしれない。ついさっきまでの不満は無くなり、俺はワクワクしながらも警戒しつつ中を覗く。
「「...」」
マジかよ。
なんとなく壁がもやもやと揺らめいている気がする。これってまさか...
驚きのあまり固まってしまう。大当たりだ。
俺とホープは無意識に声を揃えてつぶやく。
「「セーフティゾーン...」」






