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小林トレイン【コバトレ】  作者: ジュン・ガリアーノ
9/19

第8両・来るもん

終電。


小林トレインにも終電はある。

さすがに24時間走るのはやってません。

寝ないとね。

そう。夜は帰って寝る。


けれど、今夜はどーにもまだ寝れそうにない。


それは。。。






駅員の水口は自分のホームから出発する終電を見送った。


『ふうっ。よし、きょーはこれでおしまいっ』



仕事が終わった後、その日の気分でツマミを買い、好きな映画やドラマを見ながら一杯やるのが水口の楽しみなのだ。


が、しかし、終電が終わったにも関わらず、ホームのベンチに誰かがまだ座ってうつむいていた。

ぱっと見、若い女のようだ。


(誰だろ?酔っぱらいかな?)


そう思いながら水口はその女の子に近づいて声をかけた。



『あのー、お客さん。もう終電終わっちゃったんですけど』


けど、その女はうつむいたままだ。


『あの、お客さん?もう終電終わっちゃったんで、改札閉めますよ。出てもらってもいいですかね?』


けど、尚も女はうつむいたままだ。

水口も少しイラついた。

そして


『あの、すいません。聞こえてます?

もう終電終わっちゃったんで出てもらっていいですか?❗』


と、ちょっと強く言った瞬間、女はガバッと顔を上げた。

そして直後


『来るもん❗待ってるんだから❗』


と、叫んだ


不意に言われて水口も動揺したが、気を取り直して話した


『いや、来るって。。。もう終電終わっちゃったんですって。どなたと待ち合わせか分からないですけど、もうこのホームには今日は誰も来ませんよ』


けどその女は


『来るもん。約束したんだから』


と、譲らない。

水口は、何なんだと思いながらもその女をホームから出そうと説得を試みるが、女は頑として


『来るもん。だから待ってるの』


と、これしか言わない。


『あの、でしたら尋きますけど、どなたをお待ちしてるんですか?話聞きますから』


そー言っても、今度は何も話さない

水口がほとほと困り果てていると、ちょっと離れた所から


『どーしたの?水口?』


と、運転手の茂田から尋かれた


『いやシゲさん、あのこの女の人ですね。。。』


と、水口が事情を説明しようとしたら、その女が急に



『水口さんに話したくて❗ちょっと私の話聞いてよ❗聞いてくれるって言ったでしょ❗』


と、大声で言うもんだからたまらない。

茂田も勘違いして


『水口。自分の女ならなんとかしろよ。何か訳ありみたいだし、今日はこのまま帰っていいからその女と一緒に出ろよ❗』


なんて言う始末


『違っ❗シゲさん、この人は。。。』


と、水口は茂田に事情を伝えようとするが


『お前の女だろ。だったらお前がなんとかしろ。それにもし関係ねーとしても、お前を頼ってんだろ?男ならなんとかしてやれよ』


と言って、取り合ってくれない


『あー、マジでどーして。。。』


水口の前から旨い酒とツマミ。それと、観たいドラマが遠のいていくのを感じた。

水口は観念して


『じゃあ、話聞きますから、とりあえず一緒に外出てくれます?』


と、その女に尋くと、女はうなずいてようやく椅子から腰を上げた


(ドラマを観たかったのに、今のコレ、俺が主演じゃね?どーなんのマジで?)


水口は仕事で疲れきった頭でそんな事を考えながら、その女と駅から出た。



自分が主演だと思ったドラマの予期せぬ結末を、かすかにすら想像出来ないまま。。。

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