第17両目・大濱とメタ・トレイン
お久しぶりです!
約6年ぶりの更新です!
なぜ今さら?と思うかもしれませんが、再開すべき時が来たからです
物事の『今』とは、認識して初めて今になるからです
と、カッコつけましたが、実際は会社の人に知られた(知ってもらえた)からです w
なので、また書きまーす♪
若干不定期連載ですが、よろしくです
駅員の1日は忙しい
事務処理から顧客対応まで多岐に渡る
特に顧客対応は大変だ
なんせ、何があっても遅延無し
立ち入る者はひき殺して進む小林トレイン
通称:コバトレ
なので、入るクレームも、それまでの鉄道とは『質』が違うからだ
『。。。殺す!』
とかは日常茶飯事だし
『小林トレインは、この法律に照らし合わせた際、決して許されるべきものではなく、またサステナブルな世界を目指すというSDGsの掲げるアジェンダにも逆行しており。。。』
などの、くそウザイ意識高い系からのクレームも入る
そんな時は
横文字使って悦に入ってんじゃねーよ
ウゼェ。消えろ
と、思うし
また中には
『縺。繧?s縺ィ螻翫>縺ヲ縺セ縺吶°?!!!』
みたく、何を言ってるか分からない罵声もある
そんなクレームを心から憎み、しかし、同時に愛しているのが彼
『大濵』だ
彼は普段、クレームを心の底から嫌っていた
もし、憎みのエネルギーを集めて魔王を復活させる事が出来るとしたら、クレーム対応中の彼1人で即復活させられるレベル
なので彼はクレーム対応中に、いつも
さっさと終われこのやろう
お前のクレームなんざ、どーでもいい
早く終わらせろ!
時間もったいねーんだよ!
と、いつもそう思っている
しかし同時に、逆に彼がそのクレームを愛する、たった1つの理由があった
それは
『おおはまぁぁぁぁぁ!』
と、上司から呼ばれた時だ
その上司の声のトーンは、端からするといつも同じに聞こえるのだが、大濵には分かるのだ
その時自分に声をかけている理由が
ただの『質問』なのか
それとも『激詰め』へのプロローグなのかが
なので『激詰め』だと悟った時、大濵はクレーム対応中に切に願う
『このクレームよ。永久に続け』と
しかし、彼のその願いも虚しくクレームは収束しようとしていた
『。。。じゃあ、そういう事でよろしく』
ガチャ
『お客様、お客様!まだ!あっ!ちょ!お叱りをください!』
ツーツーツー。。。
『おおはま。終わった?』
上司の福家が言った
運転手の福家とは双子の兄弟だ
『。。はいっ!終わりました』
『収まったの?』
これは一見質問に思えるが、決して質問ではない
終わったんだから早く来い。という意味だ
大濱はそれを察し
『収まりました!』
と、答えた
そして今から来るであろう嵐に備え、福家の元へ行った
すると嵐の予想に反し、福家は笑っていた
そして大濱に尋ねた
『大濱さあ、アレどうなってる?』
その瞬間、大濱の頭は高速回転した
そして考えた。アレとは何だ?と
その大濱に福家は言った
『メタ・トレイン構想の件なんだけど』
と
『メタ・トレイン』
これからの時代の『仮想現実の鉄道』の事
今、Facebookが社名をメタに変更(2021年)し、大手企業がこぞって参入している『メタバース』
このメタバースの事業とは、一言で言えば
『仮想現実で行う事業』の事だ
実は今、このメタバース事業が、とてつもない勢いで拡大してきている
メタバースとは
古くは『セカンドライフ』というゲーム
今なら『フォートナイト』というゲームだ
どちらも自分の分身となる『アバター』を使い、そのゲームの中で活動していくというモノ
従来のゲームと違うのは2点
1点目は『現実世界での換金』
ゲームの世界で稼いだお金を、現実世界で換金出来る事
2点目は『VRとの互換性』
VRと連動する事により、外に出ず、家にいながらにして仕事やイベントを行う事が可能になったのだ
例えばIBM社は、朝、自宅でVRゴーグルをつけ
ログインで出勤
現実世界と全く遜色の無い仮想現実の世界で仕事をする
そして
ログアウトで退勤
と、いう形を、すでに実現している
なので、場所を問わずに稼げたり交流出来るメタバース
これが浸透していけば、今後人間の生活は
『アバターでの活動がメイン』になり、現実世界に人はほとんど出歩かなくなる
それが明確に予測されてるので、大手企業は今このシェアを奪おうと必死になっている
そして、ここでこのままだと大打撃を喰らうのが鉄道業界だ
アバター生活がメインになれば、そもそも
『出勤という光景』が世界から消えるからだ
会社までの『移動時間0秒』になれば当然だ
そうなれば、某感染症で旅行業界が喰らったのと同様、もしくは、それ以上のダメージを被る事は避けようがない
けど大濱は、福家からこの対策について案を出すように言われていた事を、すっかり忘れていたのだ
もちろん忙しかったのもあるが、忘れてた一番の理由は、大濱は、そんな世界にはならないと思っているからだ
アバター主体の生活だ?
現実世界を捨てて?
ザッカーバーグ(Facebook創業者)も頭狂ったのか?
位にしか思っていなかった
しかし、それを忘れていた事により、福家から激詰めされるのは、未来ではなく『今』であり『現実』だった
なので大濱は覚悟して答えた
『すいません。。まだ、考えられてません』
と。。
嵐がくる
そう覚悟した大濱
しかし、意外な事に福家は
『そうだよね~ www 忙しかったし、まだ考えられてないよね。ハハハ』
と、笑ってくれた
大濱は福家のその予想外の笑顔に安堵し
『そ、そうなんですよ~ちょっと忙しくて。ハハハ。すいません』
と、半分うつむきながら、半笑いで答えた
その大濱にさらに優しく笑う福家
『そうだよね~~ハハハ』
そして
『そうなんですよ~~ハハハ』
安堵し答える大濱
『ハハハ』
2人とも笑いに包まれた
『ハハハハ』
『て、ゆうかさ!!!!!!!』
いきなり福家のトーンが上がった
『ふざけてんの?!!ねぇ?!!!!』
いきなりの不意打ちに、さすがの大濱も度肝を抜かれた
そして、一瞬でも覚悟を解いてしまった自分を激しく後悔した
驚きと恐怖で声が出ない
『考えとけって言ったよね?!!!マジで舐めてんの?』
『いえ。。そんな事は。。。』
声を絞り出す大濱
その大濱に福家は言う
『このメタ・トレイン構想は、俺らの未来がかかってるんだよ!このままいけば、もうすぐ鉄道自体が失くなるんだよ!だから前に言った通り、今の所3つしかないの!』
『3つ。。。』
『そう。3つ!1つ目は、利用客が激減する分、逆単価を上げる事。これには現実の鉄道を使う付加価値を考えないとダメ』
『はい。。』
『2つ目は、利用客を減らさないように、駅を増やして、より身近に使えるような存在にする。コストはかなりかかるけど』
『は。。い』
『3つ目は、メタバース内での移動を、ポイントクリックで出来るようにするんじゃなくて、メタバース内の交通機関を使ってしか行けないように、国に制限を申し出る事』
『はい。。。』
『でも、どれも決定打に欠けるから、ちゃんと構想考えてきてって言ったじゃん!』
『はい。。。』
『なのに何も考えてきてないとか、ありえないから!マジでありえない!!大濱が考えなかったせいでこのまま鉄道潰れたら、マジでどうすんの?!』
大濱は福家のその激詰めに対し
『いや。。。まあ。。その』
と、だしろぎながらも内心
(んな事あるわけねーだろ)
(なにがアバター生活だ。バカヤロウ)
(攻殻機動隊に脳髄まで犯されてるんじゃねーのか?)
と、思っていたが、福家にそんな事言う事は出来ない
どうしよう。。。?
と、大濱が顔を真っ赤にしながら悩んでいると
『もういいよ。今度はちゃんと考えといて。まだ直近の問題でもないから』
と、福家は大濱に告げ、その日は帰る事になった
直近じゃないから
なんて言うなら、あんなにキレなくてもよくないか?
と、大濱は思いながら、帰り支度を始めた
ただこの一件から大濱は、後に、小林トレインが小林トレインならではの重要な施策を担う事になるのだが、大濵にはメタバースより、それこそ直近の悩みがあった
それは
最高の『牛の置き物』を探し出す事だった
全ては
愛しのエリーの為に




