しっと?
あれから長い長い冒険をしました。
途中で竜人族の女の子や悪魔族の女の子やモンスターの女の子やモンスターの女の子やモンスターの女の子がたくさん仲間になりました。
今のマスターの周りには女の子がたくさんです。
わいわいがやがやときどき爆発で楽しそうです。
私も混ざってわいわいしたいです。
でも私は一匹ぽつんと小瓶の中です。
それでもいいのです。
このガラスの小瓶はマスターが作ってくれた私のお部屋です。
マスターから私だけへのプレゼントなのです。
マスターの魔法でこの中は快適空間です。
この小瓶だとマスター愛用のリュックサックに引っ掛けてもらって一緒にお出かけできるからいいのです。
いいのです。
いいの……。
やっぱり私も混ざりたいです!
身体をぎゅぅーっと伸ばしてきゅぽんと小瓶のふたを開けて外に出ます。
にゅるりんとちょっとばかり狭い小瓶の口からつるりんと外に出ます。
私たちスライムはわずかな隙間さえあればどこからでも出入りできるのです。
小瓶から外へと出た私は、棚の上に降りてそこからさらに床にダイブします。
べちゃっと音を立てて着地です。
このままぴょんぴょん跳ねていきます。
ぴょんぴょん跳ねます、ぴょんぴょん跳ねます。
マスターのお部屋につきました。
私のぷにぷにぼでーではドアノブを回せません。
ですが大丈夫。
ドアと床の隙間から入り込めます。
身体をにゅーんと伸ばした状態でナメクジよろしくじわじわ進むのです。
マスターのお部屋に許可なく進入したのです。
犯罪です、犯罪です、もひとつついでに犯罪です。
しかし私は開けたままのリュックから覗く妖しげな宝石に目を奪われてしまいました。
スライムに目なんてありません、比喩です、比喩。
そして私は身体を縮めて元に戻るとぴょんと跳ねました。
不思議な宝石に向かってただただ進みました。
まるで宝石が私を誘惑しているようです。
琥珀色の綺麗な宝石です。
私は誘惑に負けてその宝石に、マスターの私物に許可なく触れました。
そして―――