わたしのおうじさま?
べちゃり。
そんな感覚が伝わってきました。
いよいよ取り込まれてしまう。
そう覚悟しましたがどうもおかしいです。
取り込まれるのではなく、どうもバブリーキングが溶けているようです。
身体をぎゅっと回転させると後ろ側にいつかの魔法使いの男の子がいました。
魔法の杖をバブリーキングに向けて火炎を放射しています。
バブリーキングがどんどん溶けていきます。
ほんとうに、この人間に助けられてばっかりです。
私は身体をぎゅうっと縮めると、勢いよくその人間に向けて飛びました。
人間の胸にぽすんっ、と当たって魔法の杖を持っていないほうの手で受け止められました。
あたたかいです。
こんな温かさははじめてです。
その男の子はぽかーんとしながらも杖から勢いよく炎を投射し続けてあっというまにあんなに大きかったバブリーキングを溶かしてしまいました。
「なあ、フライア。こいつどうしよう……?」
男の子が後ろを振り向いて話しました。
後ろからは赤い髪の女の子が歩いてきました。
そして言いました。
「スライム……そいつも焼いちゃえば?」
いやです!
断固としていやなのです!
私は精一杯のいやいやという思いを込めて身体をぷるぷるさせました。
「う~ん、どっかで見たような……あ! 俺が回復薬投げつけたときの!」
覚えていてくれました。
うれしいです。
そして男の子は私を持ち上げると頭の上に載せました。
なぜでしょうか。
頭に物を載せて運ぶ人間はこの辺りにはいないはずですが。
「連れていくの?」
「ああ、なんか気に入った」
なんか気に入られてしまいました。
このままだと一緒に行くことになるでしょう。
でも、ここでお別れするともう会える気がしません。
頭にのせてくれたのでこのまま一緒に行こうと思います。