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いねむりすうじつ?

私はあれから跳ねつづけました。

もう休憩のつもりで居眠りをしないと心に決めて。

ところで私たちスライムに心ってあるのでしょうか?

身体の中にちょこっとかたい部分、俗にいう核があってそこから同じ知識を持った個体が分裂して増えるのです。

みんなおなじです。

でもちょっとだけ違います。

でもちょっとだけです。

元を辿っていけばいつか最初の誰かに辿り着くのでしょうか?



私はいま西に向かっています。

進んでいるつもりです。

方角なんてわからないので勘です。

でもここさいきん竜族のかたをよく見かけるようになってきているので間違えてはいないはずです。

なんで危険なところにいくの?

そう思う方もいると思いますが、実は竜族のかたの支配域のちょこっと南に海底洞窟があるのです。

そこは潮が引いたときだけ入り口が見えて、満潮でも中には空気があるという洞窟なのです。

私はそこを目指しています。

旅の途中で赤い鶏さんと小さなアルラウネさんに聞いたのです。

彼女たちは私とは反対方向。

東側にある森を目指しているとのことでした。

それぞれ快適な場所が違うのです。

私はじめじめしたところ、贅沢を言えば綺麗なお水のあるところがいいんです。


岩と砂ばかりの荒野はそろそろおしまいのはずです。

もう少ししたら小さな小川があるはずです。

私の身体もかなりしぼんでいます。

そろそろ水分を補給しないと乾季モードに入ってしまいます。

そしてお腹も空きました。

食べ物がほしいです。


ぴょんぴょん跳ねます。ぴょんぴょん跳ねます。

小一時間ほど休憩せずに跳ねつづけていると、小川が見えてきました。

濁った水ではありません。

綺麗とも言えませんが水分補給にはばっちこい。

バチャンと飛び込みます。

身体いっぱいに水を吸収して、汚れだけを絞り出します。

最近できるようになったワザです。

これで身体のなかにあった砂や塵がなくなってすっきりです。

相変わらず『回復薬』は残しています。

これがある限り私は毒スライムと思われ、ほかの魔物に襲われることはないでしょう。


身体が元通りになったところで小川をわたり切ります。

渡ったその先には袋が落ちていました。

その袋からはみずみずしい葉っぱがのぞいていました。

私はお腹が空いています。

なので、いただきまーす。

もしゃもしゃ食べます。どんどん食べます。

久しぶりのご飯です。

袋の中にもぐってもぐもぐもしゃもしゃ。

ふと暗くなったような気がしました。


「またスライム!?」


この声は前にも聞いた竜人族の声ではないですか。


「そんなに食べたいなら」


きゅっと袋の口を閉められて持ち上げられました。

そしてぶんぶん振り回されます。

まるでハンマー投げの前動作のようです。


「袋ごと飛んで行けぇー!」


手を離されました。

どこまでも飛んで行ってしまいそうです。

お空のかなたまでいってきらーんと音がしてしまいそうなほど飛んでいます。

いったいどこまで飛んでいくのでしょうか。


ときどき、ばさばさと近くを何かが飛んでいる音がします。

これはもしかしなくてもドラゴンです。

しかし彼らも毒スライムは食べません。食べないはずです。

すると袋の端をつかまれました。

びりびりと破られます。

そしてぎろりとしたドラゴンさんの鋭い目つきが見えました。

怖いです。

ドラゴンさんは私を見ると、袋ごと私を投げ捨てました。


あーれぇー。


今度はどんどん落ちます。

どこにおちるのでしょうか。

袋の破れた隙間からは青色が見えます。

おそらく海の近くに落ちるはずです。

でも海には落ちたくありません。

もうべとべとはいやなのです。


ひゅーん。べちゃ。


固い岩の上に落ちました。

平気です。

私たちスライムのゼリーボディは衝撃吸収率がとてもいいのです。

そしてここは海底洞窟の近くではないでしょうか。

入り口を探してみようと思います。


それでは、また今度お会いしましょう。



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