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ながれついた?

おはよござます。

身体がべとべとで気持ち悪いです。

どうやら眠っている間に海まで流されてしまったようです。

海といえば海スライムさんたちの活動範囲です。

私たち陸スライムとはあまり仲が良くないです。


ほら、こんなことを話している間にも海底から大きなウミガメが泳いできています。

私たちスライムはクラゲと同じです。

泳ぐ術のない陸スライムは水の流れに任せてゆーらゆら。

ウミガメに目をつけられると食べられてしまいます。

これは惰眠を貪っていた自分が悪いです。

ああ、さようならみなさん。

私は今日ウミガメの一部になります。


しかしウミガメさんは私を食べませんでした。

ある程度まで近づいてくるとこう言いました。


「なんで毒スライムがここにいるんだい? 海が毒に侵されるじゃないか」


どうやら身体の色で勘違いされたようです。

食べられることはなさそうです。

魔法使いの男の子に感謝です。

私はウミガメさんに言いました。


「だったら砂浜で送ってください。大丈夫です、その間なんとか毒を出さないようにします」


そういうと、ウミガメさんは私を銜えて泳ぎ始めました。

速いです。やはり泳ぎの得意な方は違います。


あっという間でした。

浅瀬に住む海スライムの方々に怒られることもありましたがなんとか砂浜にたどり着きました。

ウミガメさんにさようならをすると、私は身体の中にある塩分と余分な水分を絞り出します。

ぎゅぅっと、雑巾を絞るように身体をひねります。

水を吸いすぎてぶよんぶよんになっていた身体は元に戻りました。

サイズでいうなら人間の握りこぶしくらいです。

まだまだ小さい子供です。


海岸はサンドワームさんたちの住処だと聞いています。

彼らは地面の下でずっと待っています。

そして餌が通ると突然現れてばくっと食べてしまいます。

とくに私のような小さなスライムは一口です。

ぴょんぴょん跳ねて、砂浜からさっさと離れましょう。

身体に砂が混じるのは嫌なのです。


砂浜と草地の境目まで来ると、突然地面の下から黄色い棒のようなものが飛び出ました。

それはサンドワームでした。

私を囲むように次々飛び出してきます。

ああ、みなさん、こんどこそさようなら。

私は今日サンドワームの一部になります。

彼らは毒スライムだって食べてしまうのです。


「こんなスライムみたことないぞ」

「色が鮮やかなほど毒が強いと聞いたことがある」

「なら食べないほうがいいのか?」


サンドワームさんたちがなにやら話し合いを始めました。

よくよく思ってみると普通の毒スライムさんの色は濃い緑色。

私の身体は鮮やかな黄緑色です。

ほんとにあの『回復薬』の小瓶を投げてくれた男の子に感謝です。

そして、今のうちにサンドワームさんたちの間をすり抜けてしまいましょう。

彼らは縦の移動は速くても横の移動はミミズと変わりないのです。


草地を抜けて街道に出ました。

しばらくはここをぴょんぴょん跳ねます。

誰だって整備された道のほうが移動しやすいのです。

でも、人間に見つかったら危ないのでなるべく端のほうを跳ねてすぐに隠れられるようにします。

昨日は寝すぎてしまったので今日は頑張ります。

私の新たな住みかを見つけるために。


ぴょんぴょん跳ねます、ぴょんぴょん跳ねます。

やがて道がなくなってきました。

ここから先はまた荒れた大地です。

荒野に水はありません。

だから、一度海に近づきます。

ほんとうは嫌なのですが、仕方なく海水を吸収します。

身体の大きさが人間の握り拳三つ分くらいになりました。

これなら二日は大丈夫だと思います。


荒野の冒険です。

岩と砂ばかりですが気にしてはいられません。

砂まみれになって、大きな岩の下までやってきました。

スライムの粘着力を舐めないでください。

私は思い切り岩に向かって跳ねました。

そして身体をべちゃっと貼り付けます。

私はナメクジのように壁を登ることができるのです。


どんどん登ります。

ぐんぐん登ります。

途中、私が入れるちょうどいい窪みを見つけました。

ちょっと休憩します。


Zzz...

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