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声劇台本:彼は空を見上げながら

作者: すずめ

声劇台本です。

こえぶや、ニコ生などで、ご自由にご利用ください


ただし、動画など、後に残るものに使用される場合はご連絡くださいませ。

(タイムシフトで一時的に残る場合はOK)



2ちゃんねるのスレッド:『空を見上げて「バカな・・・早すぎる・・・」ってつぶやいたら』に触発されて書いた作品です。

【配役】

高田 純 ♂ 中学二年。イケメンだが、ときどき、左腕を押し付けて「鎮まれ……俺の左手」という癖がある

山川 太郎 ♂ 高田の隣のクラス。窓際の席で、外を見ながらなにかを呟く癖がある。

鈴木 加奈 ♀ 27歳。数学教師。独身。結婚相手募集中の常識人

【台詞数】 

高田23

山川21

加奈24


(高田と山川が、ただの厨二か異能者かは、演技者様にお任せします

 SEは読むかどうかは、お任せします)





加奈「ねえ、高田君。どうしたの。こんな屋上に一人でぼーとして」

高田「……」

加奈「たかだくん? たかだくーん?」

高田「ああ、先生か……今、空を見てたんだ」

加奈「空?」

高田「……そう。『奴ら』の痕跡が空に残っていないかと思ってね」

加奈「奴ら? 何それ?」

高田「……い。いや、なんでもない。わすれてくれ。……その方が先生のためにも……」

加奈「さっぱり、わかんないですけど……」

山川「そうだね。彼女には教えない方がいい……とアマちゃんの君ならおもうのかも、しれないね?」

高田「き、きさまは……」

加奈「あ、C組の山川くんだ。こんにちは」

山川「……ヤマカワか。懐かしい名だ。確かに、そう呼ばれた事もあったね……」

加奈「いやいやいや。多分、毎日出席取るたび呼ばれてるよね?」

山川「ふ……人間が決めたことなど、この僕には関わりのないこと」

高田「……きさま、また人の秩序を……」

山川「ははん。人の世に混沌を招くのが僕の役割。君になら分かってもらえると思っていたのだけれどね」

加奈「……あれ? 出席取るたび、山川君ってよばれてるでしょ……って話よね?」

山川「……ふ」

高田「……確かに、彼は山川だ。それは間違いがない。でも……」

山川「……ふふふ」

加奈「高田君。でも、なんなの?」

高田「それは……いや、それは『盟約めいやく』に触れる。言うことが……できないんだ。すまない。俺を許してくれ……」

加奈「いやいやいや。許すも何も」

山川「そうだね。もはや彼と僕との関係は、許すか許さないか……そんな次元をはるかに超えているんだよ」

加奈「そ、そんな話してた!?」

山川「……おや、こんな話はお気に召さなかったかい? では別の話をしようか。そうだね……迫りくる『災厄』の話は、どうだい?」

高田「き、きさまっ。まてっ。それはっ」

山川「ははっ。やはり、君はアマちゃんだ。どうせ、例の時間には、皆が知ってしまうことじゃないか」

高田「だからと言って、今、情報を流出させれば、それが何を引き起こすか……わかっているだろう?」

山川「分かったわかった。黙っておこう。秘密を護るのには、ボクたち『結社』にもメリットのある話だからね」

加奈「だーかーらー、二人とも何の話をしてるのかっていってるのっ!」

高田「鈴木先生」

加奈「え……やだ、高田君ったら、急に手を握って顔を近づけて……」

高田「鈴木先生」

加奈「(やだ……これって、ひょっとして、告白……? 加奈、おちつくのよ? 相手は教え子、私は教師。心をなびかせたりなんかしたら、いけないんだから。ああ、でも、上手に傷つけないように断らなくちゃ。加奈、ふぁいとっ!)」

高田「今は、俺を信じてくれ……頼むから……何も、何も聞かないでいてくれ」

加奈「(あ……あれ……告白じゃない? そ、そうよね、加奈ったら。あはは)……よ、よくわかんないけど……わ、わかった」

高田「……ありがとう、必ずこの礼は……」

山川「ふふふ、あははっ……今のうちに、そうやって平和な日々を楽しんでおくと良い。もっとも……その時間も残りわずかだろうけど」

高田「……何だと、貴様。何の事を……?!」

山川「……ほら、あれを御覧」

加奈「ただの空で、なーんもみえないけど?」

高田「あれはっ……ばかな、早すぎる! あれが来るまでには、余裕があった筈……」

山川「……いいや。すべてはこの『しょ』に記されている通りなんだよ」

加奈「山川君、それ……和英辞典だよね」

高田「……そうか、鈴木先生にはそう見えるんだな。あの忌々しいあれが……」

山川「ふふ……愚者には真実はみえない。いつの世も、ね」

加奈「どっからどうみても、和英辞典なんだけどー」

高田「……そう、鈴木先生。それでいいんだ。先生が正しい……きっと、その方が……」

山川「そう、これはただの和英辞典。……そう言うことにしておこう。でも――」

高田「でも――俺は動かねばならない。鈴木先生を護るためにも」

加奈「守る? なにから?」

山川「ふふ……鈴木先生。今は彼の好意を享受きょうじゅしておいた方がいい。幸福とは刹那せつなの輝き……いずれ消えゆくものなのだから」

高田「消させなどしない! 絶対に阻止して見せる」(SE(足音):だっだっだっ……)

加奈「あ、あの、高田くーん。どこ行くの? 昼休み、あと二分で……」

山川「ふふ……では、ボクも君の闘いを見届けさせて貰うとしよう……彼が絶望に打ちひしがれる姿は、きっと最上の美酒びしゅだからね」(SE(足音):すたすたすた)

加奈「こぉら……まちなさいっ!(SE:がしっ)」

山川「くっ……ボクの肩をこうも容易たやすく掴むだとっ」

高田「せ、先生?」

加奈「『せ、先生?』じゃありません! あと少しで授業がはじまるの。かってにどっかいくのは禁止! 山川君もちゃんと自分のクラスにもどるもどる」

山川「……こ、この威圧感。幾多いくたの戦場をめぐって来たこのボクが……ま……まさか『女王』の?」

高田「今は逆らわない方が……いいのか。あえて日常を生きろ……そういうことなんだな」

加奈「そういうこともなにも、先生の事はちゃんときくの! だめよ、さぼっちゃ。ほら、ちゃっちゃと歩く!」

山川「く……(小声で)たかだか30年しか生きていないくせに……」

加奈「(迫力のある声で)先生は20代です! ふざけたこと言ってると、お仕置きしますよっ……!」

山川&高田「ご、ご、ご、ごめんなさーい」

ちゃんちゃん。


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