最終話 メリッサの部屋で
性描写あり。
あのシリウスが女子寮の一室にいる。私は特待生が長かったので、特権で個室を割り当てられていた。今更だが、個室で本当に良かったと思っている。
「お前の部屋、何もないな。ベッドと机しかない。あと小さなクローゼットだけか」
「部屋では勉強しかやることないもの。はい、これドレス。ちゃんと返したからね」
メリッサは、シリウスにドレスを手渡した。
「……」
「なに、どうして帰らないの?」
「このドレス、俺が見つけたんだ。きっと似合うと思って」
「……ん?」
「ここで、着けてみてはくれないか?」
「うっ、なに言ってるの?ここで?」
メリッサは真っ赤になった。シリウスがいるこの部屋で、このドレスを脱ぐの?
「えっ!?気は確かなの?」
「ああ、気は確かだ。それに一度も袖を通さないなんて、もったいないだろ?」
「もったいないけどさぁ……。それ、やめない?」
「やめない。お前がドレスを着けるまで帰らない!」
頑として言うことを聞かないシリウスにメリッサは、ため息をついた。
「はぁ、仕方ない。だったら、絶対に振り向かないでよ。後ろを向いていて!!」
メリッサは魔石ランプをつけて、厚手のカーテンを閉じた。
(妙な展開になってきた……)
ちらりとシリウスを見ると、ちゃんと壁に向かって立っている。
メリッサは、ホワイトミンクのショールを椅子の背もたれに掛けると、背中の紐を外そうとした。しかし、背中の紐を掴めても、上手く両手で解けない。このマーメードドレスは、編み上げタイプになっていて、一人では脱げないことに今更、気がついた。
「無理だわ。背中に手が届かなくて脱げないの。ごめんね。だから今日は諦めて」
「だったら、俺が外すから」
「えっ!?」
「どれ、貸してみろ」
シリウスはドレスの紐に手をかけ、固く結んである紐を解いた。
「ちょっと待って、ついでにネックレスも外して。ピンクサファイアっていう高そうな宝石みたいだから、早く外したいの。壊さないようにね」
「よし、分かった」
メリッサは、緩く編んだ長い三つ編みを前に持ってきて、うなじを差し出した。
「……」
「……なるべく早くしてね」
「……お前、首筋にほくろがあったんだな」
「うん……わかったから、お願い。早く、外して」
「〜〜〜」
ネックレスのホックが小さいせいでシリウスが手間取っている。
顔が近いせいか、背すじに息がかかって、くすぐったさで身体がビクンと反応をする。鳥肌が立つのと恥ずかしさで、メリッサの耳が赤くなった。
「うっ!シリウス。その鼻息、どうにかして。鳥肌が……」
「あっ、本当だ。首すじに鳥肌が立ってる……スゲー」
「〜〜〜くすぐったいから!」
「うん……分かった」
シリウスがやっとネックレスを外し、再びドレスの紐に手をかけた。スルスルと穴を通して、交互に紐を外していく。
「あっ、まっ、待って!全部外したら、ドレスが脱げちゃう。後は自分でできるから!!」
(やがて、腰まで見えちゃうところだった。っていうか、物凄くいやらしいんですけど!!)
シリウスが壁に向かって立っているうちに、そそくさとマーメードドレスを脱ぎ捨てると、水色のドレスに袖を通した。
(背中のくるみボタン……どうしよう)
「シリウス、このドレス。背中が、くるみボタンなんだけど……」
ビスチェタイプのドレスが落ちないよう、メリッサは強く胸を押さえつけている。隠してるつもりなのに、弾力に溢れた乳白色の柔肉がドレスの縁からせり出していた。
それでいて、華奢な肩や背中が丸見えなので、さすがのシリウスも耳が赤くなっていた。それを察したメリッサ自身も余計に恥ずかしい。
「ドレスのサイズ小さかったか?」
「……少し胸周りは狭いかも」
「お前、意外とあるんだな」
「……恥ずかしいから、早くボタン閉めてよ」
シリウスが無言で背中のくるみボタンを閉めていく。彼の指先が微かに背中に触れ、メリッサに緊張感が走る。意識しないように振舞うのが精いっぱいだった。
「ネックレスもあるから、これも着けろ」
シリウスがサファイアのネックレスを豊かな胸元にかけた。胸の隙間に収まったそのサファイアは、まるで大海を閉じ込めたかのような青い輝きを放っていた。
試着し終わったメリッサは、くるりと一回りをした。サファイアが綺麗に映える、プリンセスラインの水色のドレス。白いレースに所々に銀糸で氷の結晶模様が施されている。ふわふわの裾がとても綺麗。
「どうかな?」
シリウスが、無言でそっぽを向いている。私に着替えさせといて無言とは……。
「着替えたんだから、何とか言ったらどうよ」
「俺の見立てに間違いはなかったな。お前の白い肌と水色のドレスがピッタリだ!」
「ふふふっ。ありがとう!これを売れば高く買い取ってくれるでしょうね」
「はぁ!?」
シリウスは信じられないと言った目でメリッサを睨んだ。
「他の人にあげるなら、売らなくてもいいけどね。サイズ直しが面倒だけど」
「それは、お前にやる」
「へぇ!?なんで?」
静かな部屋で二人きり。緊張した様子のシリウスは、思いきり深く息を吐いた。
「どうした?」
「その前に。……聞きたいことがある」
「なによ?」
「お前、これからどうするんだ?」
「私?これから植物ハンターになるつもり。そして、いつか『植物大図鑑』を出版するのが私の夢なの」
くるくると軽快に回って、メリッサはベッドに座った。
「……そうか、頑張れよ。あと、悪かった。ずっと雑草女ってバカにして」
その言葉にメリッサは眉をひそめた。
「……どうしたの?やっぱりお腹でも壊した?」
「おい、俺をなんだと思ってるんだ?」
「傲慢貴族?」
「なんだそれ。あははっ!」
「しっ!!大声を出さないで。男子がいるってバレたら大変なんだからね」
メリッサは、小声で注意をする。
険悪だった二人が、今になってこんなにも話が続いている。今までには、なかったことだ。
「あのさ、植物ハンターってのは、1人で森の中へ行くのか?」
「いいえ、たぶん冒険者ギルドで人を雇うと思うけど?」
シリウスは意を決した面持ちで片膝をつき、メリッサに懇願をした。
「そのドレスくれてやるから、その代わり俺も植物ハンターの仲間に加えてはもらえないか?」
「はぃ!?」
「だっ、だから、一緒に仲間に加えてもらえないかって言ってるんだ」
「だって、あなたは宮廷魔法師になるんじゃないの?」
「城の中で魔法使いとして働くより、お前と一緒に広い世界を冒険したい」
「はぁ!?あんた何言ってるの?カンタルス辺境大公の長男でしょ?跡取りでしょ?」
「身分よりも大切なものがある!」
メリッサは床に座り込み、シリウスに迫った。
「身分より大切なものってなによ!!そんなに冒険したかったら、ロイドを連れて勝手に二人で行きなさいよ。植物ハンターは私の夢よ。私の夢は私だけのもの。あんたの都合で私の夢を勝手に奪おうとしないで!!」
メリッサの放った言葉に一瞬顔を歪めたが、シリウスは両手を掴んできた。
「俺は、別にお前の夢を奪おうなんて思ってはいない。ただ、俺も一緒に夢を追わせてほしい」
「だから、どうしてよ!!理由が知りたいわ!!」
やっぱり熱でもあるのか、お腹でも壊したのか、いつものクールなシリウスではない。目の前にいるのは、不器用で不格好なシリウスだ。あのシリウスがいきなり、目の前で土下座をした。
「俺は、お前がずっと隣にいてくれなきゃダメなんだ……頼む。俺を傍に置いてくれ」
その女々しく呟くシリウスの言葉にだんだん腹が立ってきた。メリッサは、すぐさま胸ぐらを掴んでは、激しく揺さぶり、胸板を何度も叩いた。目には涙を浮かべて。
「……万年二位とか、雑草女とか言って、四年間も散々馬鹿にし続けたくせに!!」
「俺は――」
「あんたのせいで貴族令嬢に因縁つけられて毎日迷惑だったんだから!!」
「お前の――特別に―――」
「あんたが私に追跡魔法をかけていたこと知ってんのよ!!」
「だから、あのときは―――」
「私、あんたに殺されそうになったこと、忘れてないからね!!」
「うっ―――」
「私が、どれほどあんたの言葉で傷ついたのか、分かってないでしょ!!!」
シリウスは反論も出来ずにうつむいたまま、動かなくなった。メリッサは涙が止まらなかった。怒りをぶつけているだけなのに、涙が出るのはなぜだろう。
しばらく二人は、床にしゃがみ込み、互いを掴み合っていた。
「俺は……お前のことが苦手だった」
「……それで?」
「はじめはそのおしゃべりな口を塞いで平伏させたかったというのが本当のところだけど……」
シリウスは辛そうな顔をして私の涙に触れてきた。
「俺の家柄と容姿で言い寄ってくる貴族令嬢とは違って、平民のお前はずっと真面目に勉学に励んでいた。それが身分関係なく、実力勝負で俺自身と対抗しているかと思うと……だんだん愛おしく思えてな」
「はぁ?愛おしく!?こっちは必死で――」
触ってきた手を振り払おうとしたが、シリウスは、強く握り返していた。
「この学園でお前だけだった。何のしがらみもなく、おべっかもなく、ただ『一人の人間』として俺を真っ直ぐに見つめ返してくるのは」
「えっ……」
「だから、お前をわざと煽っていた」
シリウスが目を細めて、寂しそうに微笑む。熱っぽく見つめるアイスブルーの瞳はとても綺麗で、メリッサはたじろいだ。
「だって、ロイドは?竹馬の友じゃないの?」
「アイツは、俺じゃなくて親父に忠誠を誓っている。だから昔から、俺を出世の道具としか見ていないんだ」
(あの脳筋馬鹿は、今まで、シリウスを出世の道具としか見ていなかったってこと?)
「今更だけど、四年間、お前にしつこくして悪かったと思っている。あと、大怪我させたことも、心から謝りたい。だから、メリッサ。俺を許せとは言わない。だけど、傍にいさせてほしいんだ」
今のシリウスは、真剣な顔をしている。今までにない緊迫感。これは本心からの言葉だと確信した。
「お前が大怪我をした時、お前を失ったらどうしょうという焦りと、絶望感に苛まれた。きっとお前は、もう俺の方を見てくれない。隣にお前が居ないだけで、胸が痛くなった。居ても立ってもいられなくて、嫌がられるとは分かっていても、お見舞いの品を贈った。このドレスもわずかな望みをかけたんだ」
シリウスは、ゆっくり立ち上がると紳士のようにメリッサをベッドに座らせた。そして自分もその隣に座る。
「ははっ……お前がゼフィロスのドレスを着ているのを見たときは、胸が張り裂けそうなほど、苦しかったし、悲しかったよ。俺が選んだこのドレスは、同情で贈られたと思われてたしな」
シリウスは、傲慢で態度のでかい男だけど、私も人のことが言えない。私だってゼフィロスに「一人の人間」として見てほしかった。もしかして、シリウスと私は似た者同士かもしれない。
メリッサは深く考えると、天を仰ぎ、大きくため息をついた。そして、しょんぼりして猫背になっているシリウスの背中を優しく叩いた。
「植物ハンターの仲間にしてもいいけど、条件がある。一つ、私にウソをつかないこと。二つ、素直に謝れるようにすること。三つ、無駄な見栄を張らないこと。これが条件よ。これを破れば即解散だから」
「いいのか?」
「何が?」
「こんな俺でも……お前の特別になれるだろうか?」
「えっ!?私の特別になりたいの?」
強気のシリウスが珍しくしおらしい。あの氷の貴公子が、捨てられそうな子犬のように見えてきた。
「……ねぇ、これから始まる未知なる冒険のパートナーになる気はある?」
「えっ……今、何って?」
「だ~か~ら~!植物ハンターのパートナーになる気はあるかって聞いたのよ」
たちまちシリウスの口角は大きく広がり、満面の笑みを零した。
「ある。大いにある!頼む、俺を植物ハンターのパートナーにしてくれ!」
(なんだろう……これ。こんなに表情筋が動くシリウス初めて見た。今まで行なってきた悪事を清算してくれるのなら……また悪態ついたら解散すればいいだけだし)
「まっいいか!それじゃあ、決まり!よろしくね、シリウス!」
メリッサはシリウスと固い握手をした。よほど嬉しかったのか、掴んだ手を引き寄せ、抱きついた。そして、脇腹を持ち上げ、小さな部屋でぐるぐると回しはじめたのだ。
軽々と両手で持ち上げられ、回されたメリッサは、単純に楽しかった。先程までの涙が少し落ち着いてきたみたいだ。
「あははっ、あはははははっ!あぁ〜あ、こんな大逆転があったとはな!地獄から天国へ来た気分だ。これからもよろしくな、メリッサ!」
「あっ、シリウスが、私の名前を初めて言った!」
「これからは、たくさん君の名前を呼ぶよ。メリッサ、メリッサ、メリッサ」
「しっ、声が大きい!!あと、目が回る。シリウス〜〜!!」
完全に目が回ってぐったりしたメリッサは、シリウスに横向きに抱きしめられたまま、ベッドに転がった。
「ぅ゙〜〜っ。シリウスやりすぎ!!」
「あぁ、すまん」
「……あと、また背中のボタン外すのを手伝って」
シリウスが上半身を起こした。
「俺のドレスが気に入らないのか?」
「違うよ!これを着たままだと、苦しくて寝れないでしょ!!私もう眠いし、夜着に着替えたいの」
「えっ、あっ……もう着替えるのか」
メリッサは立とうとしたが、三半規管がまだ正常ではなく、よろけてしまった。
とっさにシリウスがメリッサを支えると、ベッドに座らせた。
「ほれ、後ろを向いて。俺が外してやるから」
「……慣れたのかな?随分、余裕があるわね」
「ふん!余裕なんて……ないかもな。俺も男だから」
「ん?」
シリウスは、背中のくるみボタンを一つ一つ外していく。
「ネックレスも外してね。高いものなんでしょ?」
「……分かった」
サファイアのネックレスを外そうとするシリウス。
「メリッサは、『順序』は大切にする方なんだよな」
「何に対しての?」
「恋愛」
「そうだよ『順序』は大切だよね」
「順序が飛び越えるのはだめなのか?」
「例えば?」
「…告白をしたその日に、その……関係を持つとか?」
「告白をした日に?う〜〜ん。それはさすがにないよな。でも、互いに好きすぎるなら別だけど。でもこれって一般論だよね?」
「えっと、そうだな」
「……シリウス、まさか、今から襲うつもりじゃないよね?」
ネックレスを外したシリウスは、くるみボタンをゆっくり外しはじめた。
「まさか、襲うわけない」
「嘘ついてないもんね」
「あぁ」
「ハンターの三箇条に誓って言えるよね?」
「……嘘ついたら?」
「もちろん解散だよ」
「襲ってもいいかな?」
「……だめに決まってる」
「ハンターの三箇条は、メリッサも従うよな?」
「嘘つかない、過ちはすぐに謝る、無駄な見栄を張らない。私、どれにもはまってないよ?」
「……俺に襲われたくない?」
「襲われたくない。痛そうなのは嫌だから」
「じゃあ、キスは?」
「したことないし、分からない。もう、外した?」
「いや。まだ、ボタンが三つ残ってる。キスをしてくれたら、ボタンを一つ外すよ。さぁ、どうする?」
「ちょっと調子に乗ってない?いやらしいよ?」
「こんな綺麗な背中を見て、何も思わない男は、性機能がおかしいんだ」
「性機能って、性機能って!!シリウスが性機能って言った!!」
ジト目でシリウスを見る私。
「どうする?キスしたら、ボタン外すよ、しなかったら、外さない」
「意地悪ね……じゃあ、一回だけ……」
シリウスが目を閉じると、メリッサはシリウスの右頬に唇を落とした。
「やっ、約束通りにボタンを外してよ」
メリッサは、そっぽを向いた。シリウスは、くるみボタンを外した。
「約束通り、ボタンを一つ外したよ。あと、二つあるけどどうする?」
「あと二回もキスするの?」
「いいや、あと一回はハグ。最後はディープキス」
「シリウス、いい加減にしなさいよ!」
「メリッサは、怖がりなの?恥ずかしがり屋なの?」
「いや、怖いとかでは……」
「三つ、『無駄な見栄を張らない』じゃなかったかな?」
(揚げ足取られてる?)
「……いいよ、やってやるよ!」
負けず嫌いのメリッサが、変な方向にスイッチが入った。
メリッサがシリウスと向かい合せになると、胸を押さえつつ、片腕を背中に回してハグをする。そして、互いの鼻先に触れ、互いに見つめ合い、そっと口づけをすると、シリウスの獰猛な舌が柔らかな唇に割り込んできた。
熱い吐息、舌の触感。互いの唾液が絡み合う。
息もつかない激しさに、小さな顎が外れそうになりながらも、脳内が蕩けそうになった。
シリウスの熱量と匂いに当てられて、ドレスが脱げないように胸を押さえていた手を離し、全てを受け入れるかのように、シリウスの首に腕を回した。
背中のボタンがいつの間にか全て外れ、重たいドレスがずるりと滑り落ちた。それはまるで蛹から蝶が羽化したかのように、メリッサの瑞々しくも滑らかな柔肌が露わになる。シリウスは目を潤わせ、至福の笑みを浮かべた。彼の手が背中に回されると、後ろの三つ編みの紐がするりと解けた。波を打った若草色の髪が背中に広がる。
「メリッサ、綺麗だ」
「……シリウス」
熱い体温に惹かれ、愛おしむように一つになれた。シリウスは思っていよりとても優しく、丁寧で、紳士的であった。そんな彼の背中に触れながら、涙がひとすじ頬を伝った。
(……温かい)
❇❇❇❇
カーテンの隙間から柔らかな光が差し込み、メリッサは目を覚ました。
隣には、シリウスが静かに寝息を立てている。寝てる姿は、毒気もなく、無垢な顔をしている。
(……まつ毛、長いな)
メリッサは、先程まで憎らしかったこの男に愛おしさすら感じるようになってしまった。このまま私に執着して、私をずっと見て欲しいと思うほどに……。
(……これって、シリウスの思う壺だったりして)
シリウスの作戦勝ちというべきか。私の負けず嫌いがきっかけで、シリウスへ『初めて』を捧げてしまった。でも、後悔はしていない。むしろ清々しいぐらいだ。
(……これからも、よろしくね。シリウス)
メリッサは、シリウスの大きな手を握りしめ、少しだけ目を閉じた。
〈終わり〉
《メリッサ、シリウスのその後》
十年後、バーモント国で『植物大図鑑』が書店や図書館に並ぶことになった。著作名は、メリッサとシリウスの名が記されている。
世界中の植物を網羅した『植物大図鑑』は特に医療薬品、生活魔導具の開発、魔物討伐等々、各界に大いに役立ち、自国だけではなく世界各国で出版された。
メリッサとシリウスは、のちにバーモント国王から『国民栄誉賞』を受賞され、パリストン家から破門されたシリウスは、フォレスト男爵に拝命され、褒美として小さな領地を賜った。
メリッサは、二児の母となり、自然豊かな領地で、孤児院を経営しながら教師をしている。
シリウスは、領地経営とバラ園を営んでいる。合間に十年かけて世界各国を巡った思い出を記そうと『植物ハンターの冒険譚』を執筆中。
二人は今、とても充実した人生を共に歩んでおり、領地では、おしどり夫婦としてみんなに愛されている。
★最後まで読んでくださりありがとうございました。




