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貴方がいるだけで

窓の外は静かに雪が舞い、

その白さとは対照的に、アーロンの胸の中は嵐のようだった。


ロゼリスの手を離せない。

離したら、またどこかへ消えてしまう気がして。

ずっと握っていたその手が、ふるりと微かに動いた。


「……っ」


アーロンの呼吸が止まる。

閉じられていた睫毛が震え、ゆっくりと瞳が開かれていく。


淡い光が宿るような、優しい黄金の瞳。

アーロンは息を呑んだ。


「……よかった……

意識が……戻ったんだな……」


声は震え、目には涙が滲んでいた。


ロゼリスは状況を掴めないまま身を起こそうとする。

アーロンはすぐに腕を伸ばし、そっと支えた。

そして、抑えきれない思いに突き動かされるように、

ロゼリスを胸へ抱き寄せた。


強く、強く。


「ロゼリス……

もう二度と離れんな……

いなくなるな……」


その声は掠れ、喉が震えていた。


「俺は……お前がいないと……生きていけない……

辛すぎて……俺自身が壊れる……」


その告白は、弱さでもわがままでもなく。

命の奥底から溢れた、真実そのものだった。

ロゼリスは驚いたように瞬きをし、そっとアーロンの背中へ両腕を回す。


力は弱い。

けれど、確かな温もりがあった。


「殿下……私は……ずっとそばにいますわ」


涙で揺れる声。


「……何度も……あきらめそうに……なりました……

でも……殿下のことを考えたら……

まだ殿下のそばで生きていたいと……

会いたいと……思ったのです……」


アーロンの腕が、少しだけ強くロゼリスを抱いた。

ロゼリスは顔を寄せ、震えながら続ける。


「婚約破棄は……無かったことにしたいですわ……

もう……アーロン殿下以外が婚約者なんて……考えられません……

ずっと……おそばにいても……いいですか……?」


アーロンはロゼリスの肩をそっと掴み、

まっすぐにその瞳を見つめた。

そして、はっきりと言う。


「ロゼリス……

俺は、お前だけを愛してる。

これからもずっとだ。

だから……そばにいてくれ……」


こぼれた涙が、ロゼリスの頬へ落ちる。

ロゼリスも涙を流し、震える唇で答えた。


「私も……ずっと……

殿下を……愛しておりますわ……」


二人はもう一度、

今度は離れないようにと願いを込めて抱きしめ合った。


互いの鼓動が触れ合い、

その温もりが、すべての苦しみを溶かしていく。

この瞬間から、二人はもう、決して離れない。

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