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君を護りたい、ただそれだけ

ロゼリスの胸が、かすかに上下している。まだ、生きている。

アーロンは震える息を吐き、彼女の身体に自分の上着をかけた。


「……やっと見つけたんだ。

絶対に、死なせない」


ロゼリスをしっかり抱き抱えると、馬に飛び乗り、王宮へ向けて走り出した。

雪を蹴り、風を裂き、ただ一つの願いだけを抱いて。



王宮に着くと、アーロンは自室のベッドにロゼリスを寝かせた。

すぐに城医を呼び寄せ、薬を煎じ、手当ての準備を始める。


震える手で、ロゼリスの傷にそっと触れる。

冷たい肌。

動かないまぶた。

かすかにかすかに続く息。


アーロンの胸が痛みで軋んだ。

濡らした布で血を拭うたびに、堪えていた涙が頬を伝う。


「ロゼリス……

本当に、生きていてくれてよかった……」


唇が震え、声も掠れた。


「痛い思いをさせた……すまない……

もう二度と……こんな目には遭わせない。

絶対にだ」


彼は丁寧に、丁寧に薬を塗り、包帯を巻いていく。

ロゼリスの指が冷たすぎて、怖くなるほどだった。


「……ロゼリス。

どうしようもないほど、愛している」


その言葉は、誰に向けたものでもない。

彼女に届くことを願う祈りだった。


「だから……目を覚まして。

これからもずっと、そばにいてほしい」



煎じた薬を口元へ運ぶが、ロゼリスは弱々しく身じろぎし、薬が零れ落ちてしまう。


アーロンは少しだけ目を伏せ、覚悟を決めるように息を吸った。


自分の口に薬を含み、

ロゼリスの唇に優しく、触れるように口づけて、薬を飲ませた。

彼女を救いたい、それだけ。


アーロンはロゼリスの手を包むように握りしめ、その脈を確かめ続ける。


その鼓動は弱いが、確かにそこにあった。


「……ロゼリス……」



「さ……寒い……

殿下……助けて……」


震える寝言。

苦しそうな顔。


アーロンの胸が、また痛んだ。


「……大丈夫だ。ここにいる。離れない」


ベッドにそっと滑り込み、ロゼリスを胸に抱き寄せる。

温もりを分け与えるように、優しく包み込む。


すると

ロゼリスの表情が少しずつ和らぎ、呼吸が静かになっていく。

安心したように、彼女は深い眠りへ落ちていった。

アーロンはその髪を撫でながら、静かに目を閉じる。


食事も休息も忘れ、アーロンは夜通し看病を続けた。



その頃、捕えられていた殺し屋クロウから証言が入った。


「……リリネという女に……雇われた……」


これまでの襲撃、刺客、誘拐、すべての線が、一点に繋がった。


リリネ嬢は、自分の罪を必死に否定したものの、

証拠と証言は揃いすぎていた。


逃れることはできず、彼女は投獄された。

ロゼリスに向けられた全ての悪意は、暴かれた。


そしてアーロンの腕の中には

確かに、守るべき“最愛”がいる。

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