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魔窟でドキドキ!殿下との密着大作戦

戦いが終わり、魔窟の石段の奥からポタポタと水の音が響く。

ロゼリスは思わず飛び上がり、声をあげた。


「な、なんの音ですの!?まさか幽霊……お化け……!?」


恐怖のあまり、自然とアーロンの胸にぎゅっと抱きつく。


「……っ。急に抱きつくなよ。」

「ご、ごめんなさい!でも怖くて……!」


アーロンは優しくロゼリスを抱き寄せ、耳元で囁く。


「魔物は恐れないのに、幽霊やお化けが怖いんだな……」

「当たり前ですわ!この世に存在しないものほど怖いものはありませんの!」


小さく震えるロゼリスを、アーロンは背中に抱き上げる。


「なら、俺の背中に乗れ。すぐに戻れる。」

「は、はい……!」


ロゼリスはそっと背中に乗り、アーロンの温かさと安心感に包まれる。

その大きな背中に体を預けているだけで、胸のドキドキは止まらなかった。


ポタポタの音の正体が水の音だと知り、一安心するロゼリス。

(こんな状況で一人じゃなくて本当に良かったですわ。殿下がいてくれて、本当に心強いです。)

ロゼリスは、アーロンの背中に身を預けたままアーロンの暖かさを感じていた。


石段に戻り、二人はパンを頬張る。

暗がりの中、蝋燭の柔らかい光が二人を包む。


「…こんなふうにアーロン殿下と二人きりで……緊張しますわ……」

「そうだな……俺にとっては好都合だけどな。」


アーロンはロゼリスの視線を捉え、すっと距離を詰める。

肩が触れ、自然に二人は密着状態に。


「ち、近いですわ……!」

赤面し、目を逸らすロゼリス。


「おい!目を逸らすんじゃねぇ。俺だけを見ろ。お前は俺の婚約者なんだから。」


思わずアーロンの胸をポカポカと叩くロゼリス。


「そ、そんなこと言われても……殿下、ご自分の顔が美しすぎることを自覚してくださいまし!」


アーロンはふっと笑い、赤く染まったロゼリスの髪を指に絡め、そっとキスを落とす。


「……っ!?」

ロゼリスはフリーズし、鼓動が跳ね上がる。


二人は石段の上に質素なシーツと布を広げ、休息の準備をする。


「お願いがありますの……」

「なんだ?」

「水音が怖くて……その、抱きしめて寝てもいいですか?離れないでください……お願いします」


アーロンは柔らかく笑い、腕を広げる。


「ふっ……かわいいなお前は。いいよ。ほら、俺のそばに来い。」


ロゼリスはそっと身体を寄せ、ぎゅっとアーロンを抱きしめる。

暗闇の魔窟で、震えていた体も彼の温もりに触れ、次第に落ち着いていった。


アーロンはそっと頭を撫で、指先で赤髪を絡める。

「……可愛いな……本当に、俺の婚約者は俺しか見えないようにしないとな」


ロゼリスは目をぱちぱちと開き、赤面しながらも微笑む。

「そ、そんなこと言われましても……心臓が飛び出そうですわ……」

「ふっ……いいだろ。お前の心臓、俺に預けろ」

アーロンは少しからかうように微笑み、そっとキスを落とす。


ロゼリスの小さな手の感触、柔らかな髪の香り……彼はそのすべてを胸に刻むように抱きしめた。


「……こうしてると、安心するだろ?」

「は、はい……殿下のそばなら……安心ですわ」


魔窟の暗さも恐怖も、二人を隔てるものにはならなかった。

心臓の高鳴り、手の温もり、呼吸のぬくもり。すべてが二人の距離を縮める。


ロゼリスはそっと瞼を閉じ、心の奥で思う。

(……私、やっぱり……アーロン殿下のことが……好き……なのかもしれませんわ……)


アーロンはロゼリスを離さぬように、そっと抱きしめ続ける。

闇に包まれた魔窟で、二人だけの甘く静かな時間が、ゆっくりと流れていった。


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