〜第一章〜月謝星命祭〜参〜
作文家を辞める辞めんで極限まで悩みに悩み抜いた挙句に結局…作品を執筆することを継続することに致しました藤井雪彦{べこ丸}で御座います。
と言う訳で応援宜しく御願い申し上げます。
〜参〜
改めて大いなる野望を揺るぎなく決意したアバン。
ガナン国の地に赴いた通力使いたちを饗そうと王宮の調理場で王宮の調理師たちに自身と通力使いたちの昼食会の為のランチを作るよう命じた。
前国王サドッホ亡きあと王太子となったアバンは王宮の調理師たちが料理を作っている間に自身の寝室で、これからのガナン国とレーデル国との停戦協定を継続する為のレリーフ王宛の手紙を執筆している。
その行為が白巳の情報分析で全くの無駄な努力の白紙同然となることも知らずに…
ガナン国兵最高指揮官【カイオン・イマジェア将軍】が鬼気迫る表情で足早にアバンの寝室のドアを勢い良く開く。
「伝令っ!!王太子殿下っ!!申し上げますっ!!通力使いの者たちよりレーデル国のレリーフ王とメシア姫がレーデル国王子ディザイアの手によって襲撃に遭い元・レーデル国三冥帝ハロウィン卿に保護されたとのことで御座いますっ!!更に我が国の捕虜となって居た兵士たち五〇〇〇人もの尊い命がハロウィン卿の手により救われましたっ!!ハロウィン卿には大恩が出来ましたっ!!しかしっ!!ディザイアは国を乗っ取り、三冥帝カラカラ、マイアと共謀し、強引に国王となったとのことだそうですっ!!」
「なんだってっ!!レリーフ王とメシア姫は今どこにいらっしゃるっ!!」
「ハッ!!中立国の国王不在のアスワン国にいらっしいますっ!!ファミーユ王の【トト神の神の領域を活用した要人シェルター】に匿われていらっしゃいますっ!!ですがっ!!事態はそれだけでは済みませんっ!!レーデル国のメグモリの樹を三冥帝カラカラが邪悪な底知れぬ妖術で人喰い塔に変化させ、セトの民や二〇〇〇人を超えるほどの捕虜となっていた我が国の兵士が塔の生贄にされたとのことっ!!ディザイアは停戦協定を破棄し、再び戦争を始めるつもりだそうですっ!!奴らはこの聖地ゴンドワナを統一し独裁主義のゴンドワナ帝国にするつもりですっ!!戦争になりますっ!!」
「そんな…そんな…クソッタレがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
アバンは、突然の現実に心の整理が追いつかず執筆途中のレリーフ王宛の手紙を怒りの赴くままに大絶叫と共にビリビリに引き裂いた。
カイオンは、アバンへの怒りを抑えきれず1言アバンに問いかける。
「王太子殿下…御言葉ですが…元々…貴方さまがメシア姫さまと和平結婚なされていれば【こんな大惨劇にはなってなかったのですっ!!】3年半以上何を御考えなさっていらっしゃった…一体全体何をしてらっしゃった…」
カイオンの痛烈な1言がアバンの胸を抉られるように貫いた。
「……それは…フワァ…
アバンが言うまでもなくカイオンはアバンの襟首を掴み強引に押し倒した。
「貴方さまという御方はあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁっ!!何をチンタラチンタラしておったかぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁっ!!サドッホ前国王など…しかし貴方さまは偉大なるクリシュナさまをもドラゴンとなり閃光を吐き散らし殺した…しかも人喰い塔で犠牲となった我が国の兵士二〇〇〇人を超えるほどの尊い命っ!!偉大なるクリシュナさまの御命っ!!!!この大罪っ!!この怒りっ!!この恨みっ!!このカイオン一生涯忘れませぬっ!!」
襟首を掴まえられたアバンは大粒の涙を流し泣いている。
「……僕に……これから……どうしろと…」
「初陣ですっ!!【当然の貴殿の責任において】のことですっ!!」
「…僕は人を殺したくない…
そのアバンの返事が無責任過ぎると思い込んだカイオンはあまりの怒りを抑えきれず、思い切りアバンの頬を殴る。
「貴様っ!!ふざけるなぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁっ!!このっ!!吐き気を催すほど幼稚でっ!!どこまでもっ!!無責任でっ!!身勝手なっ!!腰の引けた負け犬兵士がぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁっ!!」
開きっぱなしのドアから突然、ミクルが翆の火のついたタバコをくわえ現れる。
「おいおい…恐れ多くも王太子殿下に暴力はいけねぇなぁ…王太子殿下、あっしらのいよいよの本格的な出番ですかい…我ら浄土一族、御命令とあらばいつでも出撃の準備は出来ておりますぜ。でしょうがねっ!!」
アバンは飛び起き一声する。
「もぅこうなりゃ覚悟を決めたっ!!ヤケクソだっ!!カイオンっ!!全兵士に出撃準備を出せっ!!僕もエリシオンで最前線で戦うっ!!」
「待っておくんなましっ!!最前線に赴くのは、わらわたちで御座いまする。王太子殿下さまは最後尾で指揮を執っておくんなまし」
パインとクシティガルバも現れた
……ホアンュゥ……ホアンュゥ……アバン……シンジャイケナイヨ……
そして残りの通力使いも揃った。
「アバンさまを御守りするのが私たちの務めであり使命♡クスッ♡」
「王太子殿下坊っちゃんっ!!御宅が死んだら俺さまたちが来た意味ねぇだろっ…じゃろうがねっ!!」
「うちがなんぼぅでも美味しい御料理こさぁちゃげるけえね。アバくん。死んだら…ききゃあせんよっ!!」
アバンは通力使いの励ましにまた泣く。
カイオン将軍が頼もしそうに通力使いの面々を見てアバンを見てハンカチで涙を拭ってあげる。
「王太子殿下…先ほどは大変申し訳御座いませんでした。いょおっしっ!!この百戦錬磨のカイオンっ!!久しぶりに血が滾るわっ!!王太子殿下の仰せの通り全兵士に出撃準備をさせますっ!!いざっ!!」
そう言ってカイオンは部屋を出て行こうとする。
林檎が「ちょっと待ってぇねっ!!カイオン将軍。これをっ!!」と言い、カイオンを制止する
林檎はサマンタバドラのチャックを開け中から太陽光充電スマートフォン【ソーラー・スマートフォン】を1つ取り出しカイオンに渡す。
カイオンは、いきなり渡された意味不明の機械に戸惑う。
「風峰林檎殿、何ですか?この機械は」
林檎が説明する。
「うちが簡単に説明しちゃげるね。これはソーラー・スマートフォンといって持ち運び出来るパソコン機能も備えた電話なんよ」
「電話ですと!?」
「そぅなんよ。とりあえずここに居る7人ぶん全員くばるけぇね。サマンタバドラの中にはソーラー・スマートフォンが五〇〇〇〇個入っちょるけぇね。ガナン国全兵士にくばるけぇね。電話っちゅうのはね。要するにこの機械を持っちょけば、いつでもどこでも相手の電話番号を打ち込んで、かければで会話や連絡が可能になるんよ」
林檎がそこまで言うとダリスコが「近頃の日本国の外界の老若男女の流行はその平べったいのに1人言をぶち撒けるこったな。しかし何を馬鹿な…俺が知ってるに電話とは色は漆黒…のどかな雰囲気の家庭の茶の間にあり漆黒の本体から漆黒の受話器が漆黒のグルグルで繋がっており、その家の主婦がスーパーから購入した夕飯用のネギとか肉とかが入っている買い物袋を持ちながら友人とダラダラと長話で親しくおしゃべりをする…じゃろうがねっ!!」と言う。
そのダリスコの言葉を聞いたカイオンは余計に混乱し、要らないと言い林檎に返す。
林檎はダリスコを軽く睨む。
……ケキャキャキャキャ…ケキャキャ……
どこからか笑い声が聴こえる。
白巳が「皆さまっ!!ハロウィン卿ですっ!!」と言う。
寝室のベランダにいつの間にかハロウィン卿とヴァギXIIIが居る。
「ケキャキャ…アバン。始めましてだな。俺はクリシュナとは戦友でね。お前はこれから責任持って俺が育てる…アバン…言っとくが俺は…クリシュナの時のように生ぬるくないぞ」
アバンは「貴方さまが…ハロウィン卿!?」と力なく言った。
ハロウィン卿はアバンに歩み寄り「俺がこれからお前を一人前の戦士にする為に、俺が鍛えてやる。これを託そう…託すべき者に…」と言ってクリシュナが愛用していた【薙刀クリュサオル】を渡す。
「これはジジイのっ!!あぁ…ジジイ…ジジイ…」
「甘ったれるなっ!!これから俺がお前を鍛えるのにエリシオンを使っては、まるっきり意味がない…そうやってすぐ泣くのを辞めろっ!!男がビービー泣くなっ!!みっともない…全く先が思いやられる」
そしてハロウィン卿は深く溜め息をつくのだった。
こんな私のつたない作文を御愛読誠に有難う御座います。
今回もバトルものが全くなく、読者の皆さまを焦らしに焦らしあげて大変申し訳御座いません。
尚、次の章からいよいよ本格的にバトルものを描こうと思います。皆さま乞う御期待!!
応援宜しく御願い申し上げます。