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撮影会 その1

今回やや短めです。


「………というようのがここに来た流れよ。理解できたかしら?」

「「「いや、どういうことぉ?!」」」


 そんな風にミスト、シンシア、ルイスが叫んでいるのは王城にある宣材用写真を撮るためのスタジオの一つ。ここでは統国新聞の記者たちが写真撮影のため、魔導具の調整を行ったり照明の準備をしており、レイゼ含めた4人は椅子に座りながら待機していた。

 事件収束の後サラの言う通り、1分もたたずに帰ってきたレイゼであったが彼女の指示で店から出た後、店の前に待機していた統国新聞の記者たちに確保されるかのように彼女達は魔導車に乗せられ、ここまで移動してきたという事である。


「なんで写真なんて……ただでさえこんな格好なのに……!こんなの軍の連中のいい笑いものなんだけど……!!」

「いまさらそんなこと気にするのかしら?聞いたわよ?あなた、シンシアにお姫様抱っこされて宿舎に戻ってきたって聞いたけど?」

「あ”あ”あ”あ”ーー……!!やめろ思い出させるなぁーー……!!」


 ミストは頭を抱え、シンシアは苦笑い、ルイスは「あの時なぜ写真を撮らなかったんだ私は……!!」と斜め上の悔恨を抱いていた中、準備が終わったのか記者はレイゼに声をかける。


「レイゼ様、準備ができました!!よろしくお願いします!!」

「わかったわ。取っている間にあなた達もポーズを考えたり、笑顔の練習ぐらいはしておきなさいね」


 そう言い終えたレイゼはサラの魔法によって再びドレス姿になっており視線をピンと伸ばしたまま歩いていき、写真機の前に立ち、撮影を始めた。その姿には恥ずかしさは微塵も感じられず、堂々とした自信に満ち溢れていた。


「レイゼ様、すごい……かっこいいな……!」

「ああいう露出過多な格好をしていると、大抵同性から嫌われるものですが、彼女を見ていると嫉妬すらわきませんね……。」

「……まぁ、あのハートの強さは多少は見習ってもいいか。………人を着せ替え人形扱いしたのは許さないけど……!」

「お嬢様方、失礼しますね!こちら気分を穏やかにするお茶ですが、いかがですか?」


 と、そんなことを言っていると後ろからサラがやってきており、手に乗せていたトレイのお茶が入ったカップを3人に見せていた。結局前の店では対してお茶を飲めなかったこともあってか3人はそれぞれもらい口を付ける。

 鮮やかな花と蜂蜜の香りがするお茶を飲んだことで一息つくと、ミストはサラに尋ねる。


「……あんた、レイゼとはどういう関係な訳?ただの服屋の店長とその上客ってだけじゃないんでしょ?」

「ええ、元々私とレイゼ様は魔法女子学園の生徒でして、そこで知り合った関係で、今も仲良くさせてもらっています!ええっと、確か……あ!あったこれです!!むかし一緒に撮った写真です!!」


 そう言うと、サラは一枚の写真を3人の前に見せるそこには13歳程度と思われる2人の少女が写っていた。

 一人は長い茶髪が特徴的な少女。見たところサラで間違いなかった。だがもう一人の姿を見た時、思わず彼女達は驚きで目を見開いた。

 写っていた少女、おそらくレイゼの昔の頃であったが、その姿は彼女達が想像していた物とはかけ離れていた。その少女は伸ばされた長い銀髪を野暮ったく三つ編みに纏めて、肌をほとんど露出させない黒い修道服にシスターキャップを身に着けていた。また姿勢が悪く目が見えないほどの厚眼鏡をかけてうつむき気味のためか暗めでだらしない印象を与えていた。


「これが、レイゼ様……?!」

「全然違うじゃないですか……!!いつから今のような感じに?!」

「この写真を撮った日から1年後くらいですかね?あの時はすごかったですよ、みんなびっくりしてました!あーでもちょっと寂しかったですかね、だって私だけが知っていたレイゼ様の魅力がバレてしまったんですもの!!」

「いやそれは驚くわ。なるほど自分自身が喪女から痴女にランクアップできたから散々見た目の力って言ってたわけだ」

「そ…………?!」


 それはランクアップじゃないんじゃないかなぁ?とシンシアは言いそうになったが思わず黙る。なぜならば、いつの間にかレイゼがミストの隣に座っており、圧の強い笑顔でこちら側を見ていたからであった。

 恐怖で顔を引きつらせていたシンシアとルイス、リラックスしていたとはいえいつの間にか後ろを取られていたことに冷や汗を流すミストと違い、サラはあちゃーという表情をしていた。


「………あなた達、撮影が終わったわ。取ってもらってきなさい、いいわね?」

「「は、はい!!」」

「………はい」


 シンシアとルイスは小走りで撮影場所へと向かい、ミストはため息をつきつつ彼女達の後を追った。彼女達がいなくなるとレイゼは座っていたサラに距離を詰めて彼女の首に腕をまわし締め上げる。サラは咄嗟に右手を入れることで完全にキメられることは防げたがそれでもきつそうであった。


「………その写真は捨てるように言ったはずよね?私とあなたの友情の一枚ならもっとたくさんあるでしょ??なんでよりによってそれなのかしら???」

「………だ、だってこの写真のレイゼ様もかわいいじゃないですか……!」

「大抵の人間はこの写真を見てもかわいいだなんて思わないのよ……!!こんな姿見てかわいいだなんていうなんて奇特な人間はアンタと、」





















『やっぱり!レイゼはかわいいねぇ!憧れちゃうな!!』


「………あの子ぐらいよ」

「あの、回想に浸る前にそろそろ力、抜いて……きついって、そろそろきついってぇ……!!」

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