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6人の勇者候補 その2

誠に申し訳ございません。一身上の都合でしばらく更新することができません。6月1日には更新を再開できるよう努力しますのでこれからも「追放魔術師と欠陥魔法使い、伝統主義社会を破壊する。後ついでに世界を救う。」をよろしくお願いします。

感想、評価をしてくださると励みになりますので、よろしくお願いします。

『ッッ!!!』


 ヨハンが放った突然の発言にシンシア、ルイス、メーリルが固まると共に、ガイウスは神妙な表情で彼を睨み、ミストは移動して窓の外から周りを確認する。少なくとも彼女が目視できる範囲には魔物の姿は見られなかった。


「どういう事?魔物の姿は見えないけど?」

「言ったろうあと二分、正確には1分35秒後に取り囲まれると。今我々を襲うとする魔物は索敵範囲外から追走しつつ、機を狙っているね。多分襲撃ポイントは平原だ。あそこでは逃げ隠れもできず、応援を呼ぶにも難しい」

「ヨハン様………それは訊いて得た情報ですか?」

「ど、どういうことなの……メーリル様……?」

「ヨハン様が勇者になったことで得たスキルは『翻訳』。見たこともない聞いたこともない言葉でも、それが文字、意志疎通と認識することができればそれらを理解することができる、というものです。ヨハン様はそれを応用し草木や地面の言葉も断片的に訊くことができるんです」


 メーリルの説明に合わせてヨハンは自分の片耳に手を当てポーズをとる。よく見れば耳の周りからは暖かい光がわずかに放たれていた。


「正直、最初得た時は統一国の主要地域の言語はほぼマスターしていたから無意味と思っていたが、まさかこんな副産物もあるとは思わなくて歳がいなく喜んで……」

「そういう自慢話はクソどうでもいいんだよ!!………襲うとしてる魔物どもは、一体何だ、何匹いる?」

「………風や地面から訊く限り、マッドコングの可能性が高い。数は……少なく見積もって50匹だそうだ」


 ヨハンからの報告にシンシアを除いた者達は目を細める。

 マッドコングとは大猿型の魔物であり魔法防御を固めた魔法使いを拳によって一撃ノックアウトできる膂力に相手の行動を見て行動を行える狡猾さを併せ持った「喋れないだけのオーガ」とも呼ばれる非常に危険な魔物である。

 本来ならば深い森林地帯にしか生息せず、縄張り争いに負けた比較的弱いマッドコングが現れただけで緊急クエストが発令されるレベルの魔物。それが50体も現れるなど異常事態でしかない。


「……おそらく件の飛竜の大量発生が原因だろう。飛竜によって縄張りを追われたマッドコングたちがこの辺に集まっていた、と考えるのが妥当だろうが……まぁそんな考察は今はいいか。

 このままではよくて死亡者多数。運が悪ければ全滅だ。諸君らには働いてもらう」


 ヨハンは指を鳴らすとともにガイウス、ルイスにかけていた念動魔法を解除し、さらに通話魔法を発動他魔導車に乗っている者達に通達を始める。

 拘束が解けたガイウスは肩をまわしつつ近くに置いてあった迷彩緑色のマントを付けると、入り口の前に立った。

 その背部上面には勇者紋が大きく浮かび上がっていた。


「あのゴリラ共は俺と俺の仲間達、そしてそこヨハンで潰す。お前らは防御しつつ中にいる他の女たちを守れ」

「ちょ、ちょっと!!待ってよガイウスさん!!」

「正気ですか、4,5体ならともかく50越えは流石に連携を取らなければ……」

「それに私達も行きます!!こんなところで隠れるなど巫女としてできるわけがありません!!」

「待たねぇし正気だ。お前らが隠れなきゃなれねぇ理由は一つ、女だからだ。女が戦場に立って(タマ)の取り合いするなんざ言語道断。そういうクソなもんは全部!!

 男の仕事だぁ!!!」


 少女たちの声を無視して、走行中の魔導車休憩スペースの入り口を開けたガイウスは勢いよく飛び出すと、地面に着地したタイミングで大きく跳躍する。そうすることで大きな屋敷一つ分の高さにまで跳んだガイウスは思わず歯噛みする。俯瞰的な視点になったからこそ分かった。正直半信半疑であったが、視界の先には確かに群れを成している赤い毛皮が特徴的な3メートル級の魔物、マッドコングの群れがいたからである。


(魔導車に乗ってたとはいえ気づけなかったとは、クソッタレが!!)

「来い!!馬鹿サル共ぉ!!バトル・ハウル!!」


 ガイウスが思いっきり叫ぶと、それまで距離をとって後方から魔導車を追っていたマッドコング達は動きを止めその視線を叫んだガイウスに向けると、怒気を纏って彼がおりてくるであろう着地地点まで走ってくる。


(釣れたのは後方の猿、約20匹程度か!!クソまだ足りねぇ!!)

「だったら、もっと派手に集めてやらぁ!!アイギス・バスター!!」


 彼の真下には既にマッドコングが集まっておりこのまま落下すれば確実にミンチになることであったが、ガイウスは拳に前面がギリギリ隠れる程度の大きさの防御魔法を発動すると共に体に強化魔法を発動、落下のタイミングに合わせ腕を引きそのまま地面を殴りつける。

 それによって発生した衝撃波によりマッドコングは吹き飛ばされ、衝撃波に巻き込まれなかった個体も警戒したのか、様子見を行っていた。


「挑発効果が消えちまったか……だがおせぇぜ!!テメェらは俺の射程に入った!!スキル、決闘、発動!!」


 ガイウスが宣言すると彼の体から暖かい光と共に赤い閃光が放たれ、それが半円球ドーム状に展開されると、ドームの中に入ってしまったほとんどのマッドコング達の体に赤い光の輪が出現し体を拘束する。唯一拘束されなかった個体は何が起こったのか分からず周りを見ていたが、そのように油断していたマッドコングの懐にガイウスの拳が突き刺さり血反吐を吐かせる。


『●●●●●●ッッーーー!!!』

「よそ見してんじゃねぇぞ、こっからタイマンなんだからなぁ!!!」


 ガイウスの叫びを皮切りに拘束されなかったマッドコングも威嚇のための叫び声をあげ、その拳を放つが、彼はそれを紙一重で回避するとマッドコングの腹部に向かって鋭い拳を放ち、めり込ませ、背部から血しぶきを巻き散らかせるのであった。

 拳によってマッドコングが息絶えるとともに拘束されていたマッドコングの内の一体の拘束が外れ、自由になる。そして自由になると共に大声をあげてガイウスに向かっていくのであった。


(仲間が死んでも怯まずかぁ、頭の螺子が飛んでる魔物ってのは本当に嫌だぜ……!!だが)

「男が、怯むわけにゃ、いかねぇよなぁ?!!」


 ガイウスは再び息を整え向かって来るマッドコングに拳を構え、迎撃するのであった。

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