3 地獄、慰問潰しの孤児院!
☆☆☆良い子孤児院。
「ギャアアアアーーー」
「俺!騎士役!」
子供達が遊んでいるわ。それも無軌道に、動きが読めない。
ここの孤児院長は一人のお婆さんだ。
ほそぼそとやっている。30人もいないけど、慰問潰しと名のつく孤児院だわ。
「おんや~、もう、年でのう。手が余るのじゃ・・」
エリザベス様が。
「くだらないわね!慰問に来てやったわ!さっさと、並びなさい!」
「うわ~、チビ!俺と同じ年齢じゃねえかよ。偉そうに命令すんな!」
「何ですって!」
子供達に混じって一緒に喧嘩している。
魔の孤児院だわ。
「お姉ちゃんは何をしてくれるの?」
「ヤーイ!ヤーイ!何かやってみろよ!」
こうやって、煽って、慰問に来た令嬢を泣かせていたのね・・・・
思い出せ私、私も子供だった。良く庭で遊んでいたわね。そう言えば、子守メイドのフラワは・・・
ストン!
私は座ったわ。目は半目。
「何だよ。寝ちゃったよ」
「行こう、うわ。あのチビ姉ちゃん!サムを持ち上げて、振り回している!」
「助けなきゃ!」
観察だわ。私も子供の頃はやんちゃだったわ。
子守メイドフラワは私が木に登るのを止めなかったわ。
☆回想
『お嬢様、危ないですわ。お気をつけ下さいませ!』
『フラワ、どうして、今、木から降りるところよ。後もう少しで地面だわ・・・キャア!』
木から下りる時に注意されたわ。それも、後、もう少しで地面につくところを。
フラワに抱えられて大怪我はしなかったわ。
『フフフ、高い所に登っている時はお嬢様自身が気をつけられています。そこで注意をしたら気がそがれて危ないのです。後、もう少しで、地面につくところで人は油断するもの。これが、20年間子守メイドをしていた私の経験ですわ』
・・・・・・
声を集中して拾う。
「キャア!」
「フン!くだらないわ!私は令嬢よ!敬意を表しなさい!」
エリザベス様は大丈夫ですわ。手加減が出来ますわ。
問題は・・・
「ハンス!次、俺に木に登らせてよ!」
「ああ、いいよ。降りるよ」
危ない!
私は飛び起き。木に向かう。
「キャ、うわ。滑った!」
ガチ!
「危なかったわね!」
「え、お姉ちゃん!」
私は地面に頭から落ちるハンスを抱きかかえた。大怪我はしなかったわ。
後で話を聞いたら、慰問に来る貴公子と令嬢は孤児院長を馬鹿にする?
中にはお菓子を投げ捨てて拾えと暴言を吐く。
だから、孤児院長を守るために、暴れて、慰問潰しの孤児院の悪評を流した?
「まあ、そんな家門、どこかしら」
「何でも、ダミアンとリリアンというカップルだよ」
まあ、偶然かしら。ダミアン様はそんな事はしないわ。
「とにかく、ほとんどの貴族たちはそんな事はしません」
「「「はい!」」」
誤解を解いたら皆良い子になったわ。
エリザベス様と仲良くなったわ。
エリザベス様が慰問品を配りますわ。
「気をつけ!」
「「「「はい!」」」
「前へならえ!」
「これから、慰問品を配りますわ。小さい子が先よ!提供はフリード公爵家よ!」
「「「はい、フリード公爵家は良い貴族!」」」
「フン、良い子は職業を紹介しますわ!」
「「「はい!」」」
・・・・・
それから、私はトキア様に観察眼の良さを賞賛されたわ。
「ゴホ!ゴホ!これより、シスターアリシア様も『出入り』に参加してもらいますわ」
「え、出入りって抗争では・・・」
「フン、くだらない謙遜はいらないわ!ついてくれば良いのよ!」
「はい、トキア様、エリザベス様」
・・・・・・
私は簡易な高台に乗せられて、軍師の役になった。
全体を見回し指示を出す。
「そこ、大将はあのハゲです!ハゲを討ち取って下さい!ハゲです!ピッカピカのハゲですわ!」
「「「「ウオオオオオーーー!」」」」
「伏兵がいます!伏兵を隠すとしたら、あの路地です!」
「「「「ウオオオオオオーーーーー!」」」」
強い者にはトキア様をあてて、ククククク!圧倒的ではないか?
ついに、決戦の場になったわ。
向こうは総勢三百、三隊に分けている。こちらも同じだ。
「親分さん。敵の強い部隊には、こちらの最弱をあてましょう。敗走してもらいます。実力がなければうまく負けられません。
相手の二番目に強い部隊にはトキア様の部隊を、三番目に強い部隊をエリザベス様の部隊をあてます。一勝を捨てて、完全に2勝を狙いましょう」
「おう、それで行くか」
・・・・・
策は的中し。敵は敗退。どっかの侯爵家が後ろ盾らしい。第2子と、どっかの伯爵家の令嬢を結婚させて、貧民街を再開発をさせるのが計画らしいですわ・・・
しかし、撃退したが。
「でも、貧民街の再開発は必要ですわ」
「ゴホ、ゴホ、それなら、考えていますわ。エリザベスちゃんの実家、フリード公爵家に、貧民街の代表と対等な立場で交渉し、お互いに利益のあるようにしますわ」
「え、エリザベス様、公爵家ですか?あの、婚約者を半ぬっころしにした令嬢」
「フン、くだらない婚約者だったから、ぶっ飛ばしたのよ。トキア様は伯母様よ。王女殿下よ!」
「失礼しましたわ!」
・・・・・・
その後、実家から連絡が来たわ。
屋敷に戻ろう。そう言えば、そろそろ1年だわ。