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怒涛のソロ活(末っ子4)  作者: 夏目 碧央
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個人活動

 それから、各々の活動が始まった。ユウキ兄さんは表には出ないけれど、作曲活動に余念がないらしい。マサト兄さんはアメリカから、ダンス動画を配信し始めた。タケル兄さんは司会業やクイズ番組の出演、カズキ兄さんは今まで溜めていた曲にダンスをつけてリリース、テツヤ兄さんはモデル業を始めた。テツヤ兄さんは様々なブランドから引っ張り凧だ。

 みんな、頑張っている。再結集した時に、今よりも成長した姿でいたい、そういう思いがある。シン兄さんは留学先の勉強が忙しいとして、俺は……。俺だけが、何もなかった。そりゃ、曲を作る事はできる。でも、いい曲を作る事は難しい。歌を歌う事も、ダンスを踊る事もできる。何かしら動画に撮って世に出せば、やってる感は出せるだろう。でも、なんか違う。そんな事をしても、自分に納得ができない。俺は、何をやりたいのだろう。何をしたら、今よりも成長できるのだろう。


 個人活動をするにあたって、会社からインスタのアカウントが割り当てられた。これからは個人個人で発信していいという事だ。

 家にある物や空の写真を撮って、インスタに上げてみた。最初は面白がってあれこれ上げた。他のメンバーも色々上げていて、個性が出て面白いと思った。

 テツヤ兄さんは、過去に一度時代劇に出た事があった。若手俳優をたくさん集めて話題になった、新選組のドラマだ。かのイケメンで有名な沖田総司役には、どうしてもテツヤ兄さんがいいという事で、制作陣の熱心なオファーを受けてうちの会社がOKを出したのだ。テツヤ兄さんは、忙しいグループの活動と何とか両立して参加したのだ。その時に、何人かの俳優仲間とすごく仲良くなったようで、テツヤ兄さんは時々その仲間と遊びに行く事があった。

 今まで、その時代劇の撮影の時以外はほとんど四六時中一緒にいた俺とテツヤ兄さん。なにせ、仕事の後もうちに泊まりに来る事が多かったから。でも、個人活動になったら、あまり一緒にいる時間がなくなってきた。泊りがけでモデルの仕事に出かける事もあるテツヤ兄さん。俺は何もしていない。なんか、一人家に取り残された気分だ。

 テツヤ兄さんもインスタに頻繁に写真を上げていた。俺がちょっと慌てるような、俺とテツヤ兄さんのツーショット写真なんかも上げていた。それは、ドキリとするけれども嫌な気分ではない。ところが……。

 役者仲間の事を、テツヤ兄さんは「誠会まことかい」と呼んでいた。大抵5人で行動しているようだ。その誠会のメンバーで飲みに行った時の写真を、テツヤ兄さんがインスタに上げた。

 なんか、すっごく仲が良さそう。仲が良いという事は知っていても、実際に仲良さそうにしている姿を目にするのはちょっと……つらい。肩を抱き合ったりして、顔なんかけっこう近くて。

 一度くらいならスルーするけどね。三度目の誠会の写真を見たら、思わずぶちっと何かが切れた。俺は、インスタのアカウントを削除した。見たくない。見なければ心を乱される事もないものを、目に入るからつらいのだ。自分が上げる写真なんて、この際どうでもいい。俺は、テツヤ兄さんが他の人と仲良くしている所を見るのが嫌で、インスタを辞めた。


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