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ハナニアラシ 3

 たまたま廊下からその会話を耳にしたあたしも「まーくん」は卒業することにした。そもそも小学校に入学してからクラスも一緒になった事は無く遊ぶどころか話す機会もほとんど無かった。あたしも「たかだか幼稚園が同じ」だっただけの関係に変わり無い。

 「小林くん」と呼び掛けたのはそれからだいぶ経った四年生になってから。あの時、小林くんは不思議そうな、何か言いたそうな顔をしたけれど、これまで呼んでいた「愛美」では無く「立花」と返したので、やっぱり正解だったのだ。


 そんなほろ苦い思い出はさておき、小林くんのバイト先が飲食店というとカフェとかファミレスとかそんな感じだろうか。

 あの無愛想な小林くんが接客をしているところが思い付かないので、きっとキッチン担当だ、と勝手に決めつけた。バイトは水曜日を休みにしている、と教えてもらったから、水曜日に来れば小林くんに会えるかもしれないけれど、白貴にあたしだけ受かってしまった気まずさに合わせる顔が無かった。それでも万が一鉢合わせた時の為に絶対に制服で近所うろつかないようにしている。バスを降りると一目散に家に帰る毎日だ。

 小林くんと顔を合わせると嬉しい反面、緊張してどうしてもぎこち無くなってしまうので、無意識に…いや、意識的にかもしれない…バイトがお休みの水曜日は小林家に来るのを避けてしまっていた。

 自分から避けているくせに姿を見れないのは寂しくて、理沙ちゃんから貰った写真を切り抜いて生徒手帳に挟んで持ち歩いているのはナイショだ。


 そんな感じで初めは週に一、ニ回で、料理に慣れて失敗が少なくなって来たら週に三、四回のペースでお裾分けを持って小林家に行くようになった。


 いつの間にか避けていた水曜日も気にしなくなり、

そのうちの何回かは小林くんと会うこともあったが、いつもこーくんが居るので、必要以上の会話をすることも無かった。


「あ、小林くん。こーくんは?」

「洗濯」

「ありがとう。キッチン借りるね」


 こんな感じで今日も最低限の会話だ。

 大体二日に一回くらいの頻度で小林家に来るので、鍵が開いていれば勝手に中に入っていいよ、と言われている。

 お邪魔します、と声を掛けて上がり込んだら今日は小林くんが居たけれど、こーくんが二階で洗濯物を取り込んだり畳んだりアイロン掛けしたりしている時に来てしまうことが多いので、わざわざ玄関先まで出て来てもらうのも悪いしお言葉に甘えている。

 キッチンでタッパーからお皿に料理を移し替えてタッパーを洗う。これもこーくんがしてくれていた事だけど、受験生なのにあまり家事ばかりさせるのも悪いので自然とあたしがするようになった。


 この後、二階から降りてきたこーくんと和やかに会話するあたしを小林くんがじっと見ていたことには、全く気付かなかった。

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