プロローグ ALL I WANT
糞真面目に巫山戯倒したくて思いついた話です
生暖かい目でご覧下さい
ーーー日本に100万回生きた猫って言う話があるんだけど、その猫はいいよね…
100万回死ねばちゃんと死ねるんだからーーー
とある都市の郊外の片隅、何処にでもありそうな…いや、ぱっと見廃ビルと区別つかないようなクッソボロいビルがある。
まあ数ある部屋の中で一角しか使われてない辛うじて廃ビルじゃ無い死に損ないみたいなもんだが…
そんなビルの一角で人知れず営業してる事務所がある。
名をSome'sOfficeと言う適当にも程がある名前の事務所だ。
そんなやってんのか分かんないところにある巫山戯た名前の事務所がちゃんと営業出来てんのかと言えば、答えはノーだ。
ここしばらく依頼どころか人っ子一人訪れた形跡は無いし事務所の中で人が動いた形跡も見受けられない。
そんな事務所の扉を久しぶりに開く奴がいた、そいつが事務所の中を見渡す。
…そこに一応職員は居た。
今にも死にそうなミイラみたいな男が一人。
その男はここ暫く収入が無かったせいか事務所のソファーに倒れ込んで今にも餓死寸前だ。
そんな男を見て鞄に手を伸ばし一つのハンバーガーを取り出す。
そしてそれを持って男の前に近づき…
目の前で頬張りやがった。
その光景を死にかけの男は恨めしそうな目で睨み、その行動で残りのエネルギーを使い果たしたのかその場で息絶えた。
男が息絶えたのを見届けたらそそくさと流し台の方へ行きそこにあるコーヒーメーカーで食後のコーヒーを入れようとするが水道も電気も止まっていてコーヒーが入れられなかった。
そりゃそうかと思いそいつが流しから離れようとしたら…
ソファーの方から放たれた銃弾に頭を撃ち抜かれた
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「人が飢え死のうとしてる時に目の前でバーガー頬張ってんじゃねえぞぶち殺すぞ」
それは頭を撃ち抜く前にいう言葉じゃ無いだろうか…
そこには至って健康的な見た目をした男が立っていた。
「ったく久しぶりに帰ってきたと思ったらふざけた真似しやがって。おいデス、まだバーガー残ってるか?」
「急に酷いじゃないかカナート君、今ので最後だよ」
「…お前にだけは酷いとか言われたくねぇ」
先程の物騒なやり取りの後何食わぬ顔で餓死した男と頭を撃ち抜かれた男が言い争いをしていた。
「それに折角頭を撃ち抜いてくれるんだったらそのまま一思いに殺しきってくれよ」
「それが出来たら苦労しねぇよ、長生きし過ぎて頭おかしくなったのか?死にたがりの不死身ヤローが」
「食料が買えないからって餓死するまでだらけて空腹をリセットしようとした君も大概だろう」
…内容は大分ぶっ飛んでることは気にしてはいけない、これが彼らの日常会話なのだ。
「お前、金も命も余るほど持ってんなら偶には飯くらい奢れや」
「食べなくても一回死ぬだけの人の為に何で奢らなきゃいけないんだい?ただでさえ命あげてるのに」
「へーへーいつも強制労働させる為に命をいただきありがとうございますデシケ様」
「…君本当何で個人事務所なんて立ち上げたの?」
デシケ・ポナフキーは呆れた顔でそう突っ込むともうどうでも良くなったのか別の話に切り替えた。
「それはそうとカナート君、また新しい依頼だ」
「なんだ、また面倒な自殺補助をやらす気か」
「ああ、永きを生きて大抵のものを手に入れた僕が唯一手に入れられてないもの、"死"を手に入れる為にまた協力して欲しい」
そうしてデシケ・ポナフキーの新たな自殺計画が始まろうとしていた。
…最後になって申し訳ないが、この話の主要人物は大抵不死身か準不死身な奴らの集まりで倫理観大分ぶっ飛んでるし僅かながらのグロ表現とか出てくるかも知れないからそう言うの苦手なやつはあまり読むのをお勧めしないぞ。