3: 闇の精霊があらわれた!
後書きをロキくんの日記にしてみました!良かった読んでください!
気付けば肩には精霊がいた。精霊は僕の戸惑う反応を見て笑っている。
『こんにちは、ロキ。私はアイビー、見ての通り闇の精霊だよ!これからよろしくね!』
精霊はニコニコ笑って自己紹介をした。
「よろしく、アイビー。僕はロキ。ロキ・ガーランドって名前だよ。……知ってると思うけど魔勇者だよ」
『うん、全部知ってるよ!っていうか、やっと話せたね!もう、早く話したくてうずうずしてたんだよね!!』
闇の精霊は僕の肩の上ではしゃぎ回った。というか、いつから僕の肩にいたんだろう?
『君が村を出てからずっと傍にいたよ?気付かなすぎてついつい痺れを切らして話しかけちゃったんだよね』
さらっと心を読まれた。どうやら、精霊は人の心を読む事が出来るらしい。
『あ、心を読んでる訳じゃないよ?』
バッチリ読んじゃってるよ……?
その後、何度か心を読まれたのでどうやっているのかを聞いてみたが、本人……本精霊は『なんとなく?』としか答えなかった。
「じゃあ、出発しよっか。アイビー、準備はいい?」
『いつでも、大丈夫だよ。ところで、今からどこに向かうつもりなの?』
「え、魔王城だけど?」
そう答えるとアイビーは『えぇ……』と困惑した声を出した。どうしたのだろうか?
『流石に急すぎない?色んな所を見て回ったりしないの?ほら、初めて村から出たんだよ?ゆっくり行っても魔王城は逃げないよ?』
「いや、でも僕魔王城の場所分からないからゆっくり行ったら着けない……」
そう答えるとアイビーは『え!?』っと驚いた。
『魔王城の場所分からないのに魔王城行こうとしてたの!?』
「え?うん。ほら、魔王城に近づけば近付くほど魔物は強くなっていくからそれを頼りに行こうかなって考えてたんだけど」
そう答えると、アイビーは手を頭に当てて
『はぁ……』っとため息をついた。
『こんなに頼りない魔勇者様が世界にはいたのね……』
「えっと……なんか、ごめんね」
取り敢えず、謝っておく。アイビーは目を細めて僕を見て再びため息をついた。
『もう、いいわ。私が魔王城の場所知ってるから案内してあげるわよ』
「え、アイビーそれ本当!?」
『貴方に嘘ついてどうするって言うのよ』
アイビーが三回目のため息をついた。
『なんにせよ、次から何か行動を起こす時は計画と準備をちゃんとしてからするように!わかった?』
「うん、ありがとうアイビー!」
アイビーに深く頭を下げて感謝した。アイビーは冷たく『いいわよ』と言ったが、その表情は少し嬉しそうだった。
その後はアイビーに連れられて、近くの街までやって来た。
「そういえば、アイビー。ここに来るまでに魔物を見なかったよね。なんでなの?」
アイビーと出会ってこの街に来るまで魔物を一度も見なかった。それが気になった僕は、アイビーに質問をした。
『いい質問ね、ロキ。魔物が出て来なかった理由だけど、ここら辺は魔素が薄すぎるから魔物が出現しないのよ。出てきたとしても、虫くらいの大きさの雑魚しか出ないわよ』
魔素とは世界中に散らばっている魔のエネルギーの事である。魔素が固まると魔物になる。倒した魔物は時間が経つと魔素に戻り、再び世界中に散らばり始める。魔素は危険ではあるが、人々の生活に大きく役立っている。例えば、魔法使いが使う魔法には魔素が必要であるし、魔素を利用した魔道具という物もある。
『そんなことより、明日からはもっとキツくなるから今日中に旅の道具の点検と準備はしておきなさいよ?そして、よく寝て体調を整えること、いいわね?』
色々とアイビーに大事な事をアドバイスされた。アイビーがいなかったら今頃どうなっているのだろう。本当に感謝の言葉しか頭に思いつかない。
「うん、ありがとうアイビー」
『ふふっ、気にしないで。さぁ、早く行きましょ?』
「うん!」
僕は、アイビーを肩に乗せて街へと入って行った。
街に入ると、アイビーは姿を消していた。人がいるところでは姿が見えなくなるらしい。ただ、見えなくなるだけで僕の肩にはしっかりとアイビーはそこにいた。
不足していた道具を揃えたり、明日への準備などをした後、適当な宿を取った。
アイビーは宿に着いた瞬間、溜まっていた疲れが一気に来たのかすぐに眠りに着いてしまった。ハンドタオルで作ったベッドにアイビーを寝かせ、日課にし始めた日記を書いて僕もその日は眠った。
〜魔王城へ向けて旅を始めて1日目〜
僕の旅が始まりました。不安なことがいっぱいで心配です。でも、今日はいいことがありました。
それは、魔勇者の僕のパートナーに出会えた事です。アイビーって言う闇の精霊なんですけど、彼女はとても物知りで僕の知らない事をなんでも教えてくれました。しかも、魔王城へ僕を案内してくれるそうです。魔王城への道を知らなかった僕にはありがたい話でした。これからも魔王城への旅を頑張ろうと思います。そして、魔勇者としてみんなの英雄になれるように頑張ろうと思います!