1: 勇者
自分の書きたいように書きます。気に食わないかもしれませんが、着いてきてください!
僕は村の少年のロキ・ガーランド。
現在僕は、広場に集まり村の子供達と一緒に太陽に向かって祈りを捧げる。
今日というこの日は僕達にとって特別な日である。
この世界は十五を迎える事によって成人として認められる。
そして、成人として認められる僕達にはもう一つの特別な日でもある。
加護またはスキルとも呼ばれているそれは、誰もが十五の年に与えられる。
加護の内容は本人には決められない。神様の都合で良い物にもなれば悪い物にもなる。
(お願いします。神様……僕は…………)
身体を震わせて心の底から祈り続けた。
(勇者になりたい……)
数秒後に頭に響いた言葉は僕のこれからの人生を大きく変えることになる。
「父さん!聞いてよ!僕ね!」
「お兄ちゃん!私、夢が叶いそうなの!」
「あ、兄貴!!どうでしたか!?」
祈りを終えた村の人々の声があちこちから木霊する。
村の広場の中で家族同士で喜んだり、悲しい顔をして広場から去っていく者など様々な者がいた。
「おーい、ロキ!どうだった!?」
広場の向こうから綺麗な黒髪を腰まで伸ばした青い瞳者を持った一人の女の子がこちらに向かって走ってくる。
彼女はシーナ・ロックウェル、僕の幼馴染だ。
「あー、うん。それなんだけどね……」
僕は、頭に響いた言葉を彼女に伝えた。
「ゆ、【勇者】!??凄いよ!ロキ!おめでとう!!」
「しっ!こ、声がデカいよ!!シーナ!」
「だって、だって!勇者だよ!いいなー!かっこいいなー!!」
シーナが僕の前でキャッキャッと叫ぶ。
勇者というのは村の中で少なくて二人、多くて四人出ると言われている加護である。
そして、勇者の加護を受け取った者は……
「でも、そっかぁ。勇者か。じゃあ、ロキはこの村から出て言っちゃうんだね。」
彼女の言った通り勇者の加護を受け取った者は魔王を倒す旅に出る事になる。
「まぁ、ね。ところで、シーナはどんな加護を授かったの?」
「あ、そうそう!私は【騎士】の加護を授かったの!」
「え!?シーナも凄いじゃん!」
「ふふっ。でもロキ程じゃないよ〜」
僕達はお互いの加護について暫くはしゃぎあった。気づけば日は落ちて広場には僕ら以外に人はいなかった。
「じゃあ、僕は準備があるから……」
「うん、行く時は声掛けてね?見送りくらいはしたいから……」
「わかった。じゃあ、またね」
「うん!またね!!」
シーナと別れた僕はそのまま家に向かって歩いた。
……ちっぽけな嘘をつき、それに騙された幼馴染の嬉しそうな顔に対して罪悪感を感じながら……
家に帰ってから僕は旅の準備を始めた。
出発は今日の深夜……。誰にも言わずに出て行くことを決めた。
結果から言うと、僕の貰った加護は最悪だった。
僕の加護は【魔勇者】。
正真正銘、世界の悪役だった。そんな僕が行く場所はあそこしかない……。
魔王城。それが僕の最初の旅の目的地だ。