第8話 装備確認
プレハブの内装を整えた俺たちは昼食を終え、ダンジョンに降りるための準備を始めていた。
「んじゃ、まずは俺の装備を公開するな。じゃーん!」
じゃーんってなんだよって思いつつ健太の装備を確認する。相変わらずのライト付きのヘルメットに長袖長ズボン。さりげなく眼鏡も目を守る役割があってある意味うらやましい。右手には100円ショップで買ったと思われるカバー付きの果物ナイフがあり、使わないときは腰のとこにでも挿して置くとか。両肘、両膝にはサポーター、そして長靴。これだけでもすごい見た目なのだが一番目を引いたのは左手に持っている盾として使うと思われる物だろうか…
「それなんだ?」
「盾に使えねーかなと思って買ってみた!」
予想通りだったがそれはどうなんだ…トレーの上でかぶせる取っ手付きの蓋だぜ?しかも金属制。
「ほら、スライムの酸俺の腕被ったけど火傷程度だっただろ?金属なら溶けるまで行かないと思って」
「んーまあいいんじゃない?」
そもそもスライム博士が言っていたがスライムは酸だけじゃなく他の攻撃もあると思うぞ?それに酸を防ぐだけなら鍋の蓋でもよかったと思うが、それに気がついていないがまあ黙っておこう。
「あと荷物は…」
次にリュックの中身を見せてくれたけど…
・水
・携帯食料
・軍手
・タオル
・ロープ
・軟膏×2
・紙袋
まあ割りと普通だった。ちなみに軟膏は怪我した時用で出血が止まりやすくなるやつと火傷用らしい。ゲームみたいに回復薬とかはもちろん売っていないからな。
「んで、これがよっすーの武器な」
渡されたのでそのまま受け取るとそれはお菓子とか作るときに使う麺棒だった。
「……武器?」
「鈍器的な?程よく重くて威力ありそうじゃね」
「つまりこう…」
俺は麺棒を健太に向かって振り上げた。麺棒が武器とか大概ふざけてる。
「ちょっ俺じゃなくて殴るのはスライムだ!!」
「いやいやいや、練習が必要だと思うナー」
まあ当てるつもりはないが多少怒っていることをわかってもらうためにも、俺は心を鬼にして健太目掛けて手加減をして振り下ろした。
「「いってぇぇーー!」」
健太が盾で受け止めたため腕がびりびりする。もちろん受け止めた健太もそのただじゃすまない。
「あーーーーーった…盾が変形した!!」
「ほー物理攻撃には弱いってことだな。事前にわかってよかったじゃないか」
「もーこれじゃ後で使えんな~」
いや…変形しなくても酸とか受けた後とか使えないだろう?
まあ悪ふざけはこの辺にして後俺の持ち物は同じく水と携帯食くらいだ。色々持ち歩いても重いし、危険だと思ったらさっさと逃げるつもりだから余分なものはいらない。
「…犠牲が出ないといいな」
「何か言ったか?」
「いや、別に」
俺はこっそりと両手を合わせて拝んでおいた。