第60話 2人と遭遇
水溜りから引き上げた2人に順番に治癒を掛けていく。するとファーナさんの時と同じように水を吐き出しゴホゴホと咳き込み始めた。これでもう大丈夫だろう。
「ううううう…酷い目にぃ~」
「……」
2人はよく似た容姿をした女の子で、今は自分達の体の状態を確認しているようだ。その後周りを確認するために視線を動かし始め、俺達と目が合った。
「…誰?」
目がパッチリとしていて俺達よりは年が下だと思われる女の子の1人がこちらを見て首を傾げた。もう1人はまだぼんやりとしていてまだ俺達には気がついていないように見える。
「溺れたのか?こんな浅いとこでっ」
「溺れ…っそうよ!確か3階層に移動したら全部が水で…ってじゃあここどこよ」
健太さんや…あんたも溺れてたでしょうが。昨日のことなのにすっかり忘れているようで、どんな頭してるんだよおい。
「どこって3階層だけど…」
「うそおっしゃい!だって入ったときは水に囲まれていたのよ?私そこから移動した覚えないんだからっ」
「ミネ…落ち着く」
「だってリノ~~~」
ミネと呼ばれた少女がリノと呼ばれた少女の言葉によって大人しくなった。今ならきっと話も聞いてくれるだろうということでさっきまでの状況を説明すると、2人はおどろいた顔をしていた。
「…ってことは命の恩人?!」
「まあそうだな…」
「うわーリノ~~失敗しちゃったよーっ」
「ミネはあせりすぎ…まず、落ち着かないと…ね?」
どうやら納得してくれたみたいなので俺達は帰るべく水溜りの中へと入ろうとしたら、ミネと呼ばれた少女に腕を掴まれた。
「ちょっとまって!ちゃんとお礼したいからっ」
「でも俺達帰るところだし…」
「えーとえーと…あっ私ミネルヴァ!」
「リノル…です」
「明日っ明日も来るならここで会いましょう?そのときちゃんとお礼させてっ」
「わ、わかったから離せよ…」
約束をするとやっとミネルヴァは手を離してくれた。それから俺達は1階層へと戻っていく…泳げないファーナさんは手を引いてパネルの前まで連れて来たのは言うまでもない。
「あれって残りのここの探索者ですよね?」
「んーそうだなパネルの情報を見る限り増えていないしな…」
「女の子が2人でダンジョンとか厳しくないか?」
「え…」
「え?健太…ファーナさん最初1人だったぞ」
はっとしたところを見るとどうやら健太はそのことはすっかり忘れていたようだ。1人でも2人でも女の子だけは少しつらいかもしれないな…まあ俺達よりも強い可能性もあるから大丈夫だと思いたいが。
それよりも明日…明日ね…
例のファーナさんからお菓子を奪っていく貴族の関係者じゃないといいのだけどな。そんな心配もしつつ俺達は今日のダンジョン探索を終えた。




