第6話 買出し
次の日朝早くから健太がやってきた。俺は少し遅めの朝食を食べていたところだったのでいやそうな顔でむかえる。健太はまた昨日と似たような見た目でヘルメットと鍋の蓋を装備している。俺の母さんなんてかわいそうな子を見る目でながめているくらいだが、まあいつものことだ。
朝食を終えるとプレハブの鍵を手に外へと向かった。もちろん俺の後ろには健太がついてきている。
鍵を開けドアノブをまわし扉を開ける。プレハブの中はまだ午前中だというのに軽くむわっとした空気が立ち込めていた。
一箇所しかない窓を開け空気を入れ替える。部屋の中を見渡すと穴が開いた箇所が目に入った。
「………」
「おっ…早速ダンジョンいく?いっちゃう??」
「いや、今日はこの部屋でいりそうなものを買いに100円ショップとかホームセンターにいくつもりだけど?」
「あーそうだよな~なんか使えそうな装備とかは欲しいもんな!この鍋の蓋とか壊したら親にしかられるわっじゃあ俺もついでに何か買うか」
微妙に会話が噛み合っていないがどうやら健太も買い物についてくるらしい。まだ部屋には何もない…まあ廃品なら積んであるが、取られるものもないので開けて換気をしたまままずは100円ショップへ向かうことにした。
流石の健太もヘルメットや鍋の蓋は置いてきたようで今はリュックだけ背負っている。あの格好のままついてこられたら他人の振り必須だったから助かったわ。
100円ショップに着いた。少し大きめなこの店の入り口は自動ドアで、たくさん買い物して両手が塞がっていても出入りが出来る親切な店だ。その自動ドアをくぐり中に入ると冷房が効いていて涼しい。
ここでの目的の一つは窓につける簡易カーテンだ。棒に布を通して設置するタイプで、カーテンと棒で200円と安い。柄を選んで籠に入れると次は棒の長さを決める。その間健太が後ろをうろついていてうざい。自分の買い物をしつつもたまに戻ってきて視界に入る。大人しく買い物してるようだからまあ放置しておく。
「後は…そうそうこれ」
ジグソーパズルみたいになっていて繋げて使うマット。絨毯とか入れられればいいのだがそれは流石に予算が足りない。苦肉の策として棚や机のない歩く場所だけこれを使うことにした。金額的に20枚が限界だが…
会計を済ませ荷物を受け取ると健太の会計が終わるのを待つ。何をそんなに買ったのか俺の荷物とさほど変わらないほどの大きな袋を持って戻ってきた。
2人とも荷物が多くなってしまったので一度家に帰り玄関に置いた後、ホームセンターにいくことにする。
ホームセンターでも俺だけじゃなく健太もなにやら買ったようで、再び大きな荷物を抱えて家に戻ってきた。