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第59話 ファーナ、無双のごとく

 前方にはイノランタ、健太のマントには2匹のトンヤー…何これ。ぶらぶらとマントにぶら下がる子豚…やっぱりマントは罠装備なんじゃないのか?


「近くで見たの初めてですけどかわいいですねぇ~」


 ファーナさん…一応魔物だってわかっているよね。これ倒さないといけないんだけども、大丈夫かな?そんな俺の心情はもちろん2人にはわからないのだが、ファーナさん…なんでかがんでトンヤー撫でてるの。


「あ…っファーナさん危ないっ!!」


 今まで無視してきたせいなのかトンヤーを触っているせいなのかイノランタがファーナさん目掛けて突進してきた。

 俺の声に気がついたファーナさんはチラリとイノランタを見ると腰の短剣を取り出し刃を横にして数歩下がる。すると勢いをつけて突進してきたイノランタはその刃に触れ短剣の刃がすぅーーーっと体に通過していく。そんなイノランタが通りすぎた後には牙が2本と魔石が転がっていた。


「え…」

「なっ?!」

「やった…っ相手の突進を利用させてもらいました!」


 俺と健太はポカーンとファーナさんを眺めてしまった。相変わらず健太のマントにはトンヤーがぶら下がったままで。


「ファーナさん…?」

「はい…あっこっちも倒しますね~」


 さっきまでかわいがっていたトンヤーをこともなげにプスプスと刺して止めを刺す。マントにぶら下がっていたトンヤーは肉を落として消えていく。


「わ…このお肉おいしいんですよー」


 さっきまでかわいがっていたのに女の人ってこえぇぇぇ~…


「おいしんだ…」

「はい!」

「ファーナさんにあげるよ…」

「欲しいんですけどそれだと約束が…」

「あげるよ」

「もってけ…」

「は、はい…もう返しませんよ?」


 今回は健太じゃなくファーナさんのターンだったわ…それにしても食べ物とかも落ちるんだな。得体の知れない魔物の肉とか俺達は食べる気にはならないが、ファーナさんのところでは普通なんだ…食文化の違いというヤツなんだろうか。


 それからしばらく進んで出てくる魔物(まあトンヤーとイノランタしか見なかったが)を何匹か倒したところで俺達は再び3階層の入り口のタッチパネルの元へと戻ってきた。再び水溜りに入らないと帰れないところが少し不便だと思う。ちなみに肉は全部ファーナさんがお持ち帰りだ。


「なんとか3階層でも狩れそうでよかったですね~肉も手に入りますし!」

「ソウダネ」


 つい片言になってしまうのはゆるしてくれ…だってあれからも肉が持ち帰れるとなったらファーナさんがトンヤーを倒しまくって、怒ったイノランタの突進が酷かったんだ。俺と健太はそれに巻き込まれそれはもう大変だった…


「あれ…?」


 ファーナさんが水溜りのほうを見て固まっている。その見ているところに俺も視線を向けると、どう見ても人が2人浮いて…浮いて?!


「ちょっ健太そっち引き上げて!!」

「わかった!」


 俺と健太は浮いていた2人を水から引き上げた。



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