第56話 3階層への準備
『ソリスト』多分これは1人で試してみてもわからないスキルだろう。なので今回は試すことも覚えることもせず俺は次の日ダンジョンの前で2人と合流した。
2人とも昨日手に入れた装備を着けているのだが、ファーナさんは緑色をしたベレー帽で左側にリボンがついていてかわいらしい帽子。まれに『必中』というスキルが発動するもので大きくそれた攻撃でも当たる物だ。もちろん健太も欲しがったのだが見た目が見た目なのでやめてもらった。どう見ても高校生男子が被る帽子ではない。
そして相変わらず健太はマントを装備していた今回のマントの色は黄色。やっぱり特に効果はなしで防御力が2上がるだけ。
ということで俺のところに来たのが腕輪なのだが…今のところ使い道がないという状態だ。『スキルリング』というもので手に入れたスキルを腕輪に覚えさせることが出来るもので装備者が装備中にそのスキルを使えるというもの。今使っていないスキルは『ソリスト』のみなので流石にこれをつけるのはどうかというところだな。まあ…装備だから他の人でも使えるところが強みだ。
「あれ。よっすーは腕輪つけねぇーの?」
「ん、ああ。まだ何もスキルつけてないし、防御が上がるわけでもないからな」
「そっか」
「それよりも健太…今から水の中はいるのにマントはリュックにしまっておいたほうがいいんじゃないか?」
「なんで…?」
頭が痛い…マントがひらひらしたままこいつは泳げるとでも思っているんだろうか。ただでさえ装備の分泳ぎにくくなるというのにそれすらわからんのか…
「はぁ~…それで泳げるのか?」
「あっそうか!!」
納得してくれたようで眼鏡をくいっとあげ…ん、眼鏡?眼鏡が普通だったのですっかり眼鏡のこと忘れてたわ。マントと一緒にそれもリュックにしまってもらう。
そう俺達は本来なら装備強化のための金策の予定だったのだが、細かいものを売ったりしていたら少しだけ装備を強化することに成功。といっても俺の合成で防御力を少し上げただけなんだが…なので一度3階層を少し歩いてみることにしたのだ。
「ぼやけてよくみえねぇ…」
「ところでファーナさんは泳げる?」
「……」
無言で目をそらすとか…つまり泳げないってことか?
「泳げないの?」
「…ごめんなさいっ」
「まあ泳げないなら仕方ないよ。んー…ちょっと待ってて」
俺は一度ダンジョンから出て家に戻った。倉庫に入っていたあるものを持って再びダンジョンの1階層へ。
「あ、お帰りなさい」
「ほらこれで何とかなるだろう」
「…なんですかこれ?」
しわくちゃになったビニールをファーナさんに渡す。どうやらこれが何かわからないみたいだ。
「ああ浮き輪か…なるほどな!」
健太はすぐわかったしやっぱりファーナさんのところにはないもののようだな。もう一度ファーナさんから受け取り俺は浮き輪を膨らませた。膨らませている間不思議そうにずっとファーナさんがこっちを見ていた。正確に見ていたのは浮き輪だけどじっと見られるのは恥ずかしいからやめて欲しいもんだな。




