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第3話 何か落ちてた

「…へ?」


 俺は間抜けな声を上げ背後を眺めた。さっきまであった出入り口が閉まっている。通路が薄暗くなったのに気がつき振り返って見て気がついたんだ。


「おい……出れなくなったぞ!どーするんだっ」

「あれま…んー…出口を探す?」


 言っていることはまともなんだが、相変わらず健太はのんきだ。


「そんなことは当たり前だろう?そうじゃなくて、すぐ出れなかった時や、出口が無かった場合を考えないと…」

「考えても無駄じゃね?まずは探して見なけりゃどうなるかわからねぇーし」


 なんでこいつはこんな状況で落ちていていられるんだ…ほんとため息しかでねぇ。


 騒いでいてもなんともならないとわかった俺たちは、そのまま通路を奥へと進んでいくことにした。


 懐中電灯に照らされた通路は薄暗いながらもその形や作りを見ることが出来、洞窟のようにも見える。そのまま少し歩いていくと所々に何かが落ちているのを見つけた。懐中電灯の光りを向けると光を反射して表面が少しつやつやしていて、半分透けているのか反対側の岩壁のようなものが見えた。


「なんか気持ち悪いな…」

「んー…そうか?俺はむしろ触って確認してみたいんだけどっ」

「いやいやいや。流石にそれはやめたほうがいいんじゃないか?」


 やべー…健太の目が落ちてるものに釘付けだ!


「よく見てみろって!あれ、生き物じゃね??」

「生き物…いや、どっちにしても下手に触るもんじゃないだろっ」

「大丈夫だって」


 たしかに落ちているものはゆっくりと動いているかのように見える。その様子を眺めていると健太がその生き物かもしれないものの目の前に立っていた。


 身を屈め健太はそっとそれに手を伸ばした。よく見ると健太は持ってきていた軍手をつけていて、一応出来る限りの警戒はしていたみたいで…


「ぬっ?」

「どうした?」

「ぷるんぷるんだ!それによくみるとこの中になんか入っているが…も、もしかして…っ」


 何かに気がついたらしい健太がフルフルと身を震わせている。一体何に気がついたのかわからないがその嬉しそうな顔は一体なんなんだ?


 それを左手でもったまま右手でくいっと眼鏡の位置を直した健太は目を輝かせ喋りだした。


「……スライムだ、これはスライムに違いないっだってほらよく見てみろよこのプルプルしていて透明感のある体!それに中には核ってやつか?それがあるし、さらにちゃんと動く!生き物の証拠だっ」

「……は?」

「だからスライムだって!あのゲームとかでよく見るやつだよ!」

「それはわかるが…ここはゲームの中じゃないだろう?」

「そんなことはわかっている!!だからここの洞窟の中が理由は知らないが、えーと…ほらあれ、異…異世界か!それに繋がったと言うか、むしろここダンジョンみたいに見えねぇ?」


 とりあえずスライムかは置いておいて健太の熱意だけは俺に伝わった。


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