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第20話 パーティ狩り

 入り口からダンジョンの中に入るとファーナさんが座り込んで地面に短剣で落書きをしていた。入り口が開いたのに気がつくと慌てて立ち上がりお尻についた砂を払った。


「よかった~こないのかと思ったよ…」


 昨日と同じぐらいには来たはずなのだが、どうやらファーナさんは早めに来て待っていてくれたみたいだ。ゴソゴソとウエストポーチを漁り中からTシャツを取り出した。


「はい。…今度こそ返したからね?」


 若干目をそらしながらTシャツを返す姿に俺はつい笑みが漏れてしまった。それに気がついたファーナさんはちょっとだけ頬を膨らませなにやらぶつぶつと言っていたがまたそれもかわいらしいなとちょっと思う。


 折角なので今日はこのまま3人で狩りをしてみようという話になり、俺達は雑談を挟みつつスライムを狩るのだった。


 俺は早速気になっていたことの1つを聞いてみることにした。聞いたことのない地名『スルガンナ』この場所のことだ。


「よっと…スルガンナの場所?そうね…私にとってはこのダンジョンを出た外になるんだけど、あなた達からだと…かなり遠い可能性があるわ」

「ちょっとまってっ俺達もここ出たらもう住んでるところだぞ?というかよっすーの部屋なんだが…」

「まあそういうことなの。このダンジョンの入り口が繋がっていればどこに住んでいる人だろうとこれちゃう…だから言葉が通じない人とか普通ね。それにしても部屋からなんて楽でいいねっ」


 楽でいいというのは一体どういう意味なんだろうか?俺はスライムを殴りつけつつこのことを聞こうと口を開きかけた。


「だってね私なんて隣の村で宿を借りて、さらにその北の森の奥にあるダンジョンなんだよ?」


 聞くまでもなくファーナが勝手に喋ってくれたどうやら彼女は会話が好きらし。


「おっとあぶねっ」

「視線はスライムから離さないように…えいっ」


 視界の端に飛んでくる酸が目に入り慌てて避ける。落ち着いて狩ればファーナさんはぜんぜん俺達より狩れる人みたいだ。


「助かった。軽い火傷とはいえ痛いしな」

「そうだよ~この間ほんとあっちこっちひりひりして大変だったんだから」


 くすくすと笑いあっているといつの間にか少し先へ進んでいた健太が離れた場所から声をあげた。


「よっす~~!!違う色のスライムがいるっやべーーーっ」


 叫びつつこちらへ戻る健太。それを追うようにすいてくる数匹のスライム達…普通のスライムに混ざり1匹だけ緑色をしたスライムがいた。それを見たファーナさんも声をあげる。


「ああ…っそのスライムの攻撃だけは絶対受けちゃだめ!!」


 急いで矢を番え弓を放つが慌てているのかスライムにかすりもしない。緑のスライムはふるふると震えるとやはり何かを吐き出した。それは緑色をしていて健太に当たるとドロッとしたものがぽたぽたと足元へと落ち地面に吸い込まれていった。


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