第2話 地下
薄暗い地下へと続く階段を降りていく。時折後ろを歩いている健太が壁や足元を照らし周りを確認しているのか光がふらふらと移動していた。そのおかげで状況もわかりやすくなっているのだが、壁や天井、それに床というか階段も土や岩で出来ており、洞窟みたいに見える。
「…98、99、100。おおっ丁度100段だなこの階段」
健太はのんきだった。俺はそんな階段の段数はどうでもよくて、地面に穴が続いていないのにこれだけの深さに潜れる穴が不可解でならない。
階段を降りきるとひとまず壁伝いに周りを確認して歩く。そこはそれほど広さはなく、6畳…いや8畳かもしれないがそれくらいの広さが壁で囲まれていた。
「なんもないな」
「いや…あそこだけ変だ」
丁度階段から真っ直ぐ前に向かったあたりの壁に一部他の壁と違う場所があった。それは表面がつるっとしていてまるでスマホなどの表面と同じ作りに見える。
「ほんとだ、なんかタッチパネルみたいだな。んー…えいっ」
「ばっおま…試すなら自分の手でやれよ!」
あろう事か健太は俺の手首を掴みそのパネルみたいな所に押し付けた。ちょっとは警戒しろって話だ。
『ピピッ…セイタイハンノウ…カクニン。ショウゴウ…ナシ。シンキトウロク…カンリョウ。』
するといきなりそのパネルから声のようなものが聞こえてきた。
「ちょっ…なんか登録されたんだけど!」
「なんの登録なんだろう…俺もやってみるかな」
先に人にやらせておいて触る分には問題ないとわかったとたん健太もパネルに触れた。そしたらやっぱりおんなじ声が同じ内容を言ってきた。
2人のなにかしらの登録が終了すると、周辺から軽い振動が伝わってくる。一瞬地震かとも思ったがよく周りを見ているとそのパネルの直ぐ横手の壁がゆっくりと開くのがわかった。
「うをををおをををお…!!」
「お前の声のがうるさいわっ」
健太が興奮して叫ぶから逆にこっちは冷静に様子を眺めることが出来る。振動が止まると目の前にはさらに奥へと続く通路があわられていた。思わず自分の喉がゴクリと鳴るのが静まり返った地下で響くのが聞こえたきがする。
慎重にまずは手だけ通路に入れてみるが何も違和感もなくすんなりと通路に手が入った。出し入れを繰り返し安全を確認下後、今度は頭から入り懐中電灯で左右の壁を確認する。そうするとやっぱりこっち側にも同じようなパネルがついていた。
そのパネルがなんなのか確認しようと眺めていると、すでに中に入ってしまった健太が通路の先から声を掛けてくる。
「なにしてんだ、よっすーも早くこいよっ」
「…おい、おまえは警戒というものを知らんのか」
ため息をつきつつもすでに健太が中にいてなんともなさそうなので俺もそのまま通路に足を踏み入れた。
…それが失敗だったと気がついたのは、2人が足を踏み入れてしまった後で、気がついた時にはすでに背後に開いていた出入り口は完全に閉じていた。